98 / 314
第98話 楓の気持ちとあーん
しおりを挟む
”春”の演奏を聞き、愛翔はさすがに押し黙ってしまう。桜も何も言わない。
次のステージが終わり、そろそろ午前の部が終わろうとする頃
「あれって楓の気持ちだよな。きっと」
愛翔が呟き、桜は
「そうね、そうするとずっと楓もあたしと同じ想いを持っていて、それでもあたしの背中を押してくれたのね」
2人が微妙な雰囲気になりながら座っていると
後ろから愛翔に抱きついてきた女の子。愛翔の頬にキスを落としながら
「愛翔~、ちゃんと聞いてくれた?」
楓だった。
「桜も来てくれてありがとう」
桜にも抱きつく楓。普段よりテンションが高めのようだ。
「楓。その……」
愛翔が言いよどむけれど
「うん、愛翔は聞いてくれただけで良いの。桜もその、ごめんね」
楓の謝罪に桜は首を横に振った。
「ううん、謝るのはあたしのほう。ずっと一緒にいたのに自分の事ばかりで楓の本当の気持ちに気づいてなくて、それなのに楓はあたしの背中を押してくれて。でも、これからは違うのよね。愛翔にあの歌を聞かせたって事は」
桜の言葉に楓も少しばかり申し訳なさそうに答える。
「1度は桜の背中を押しておきながら、やっぱり気持ちが溢れちゃったの。だからね、これからは幼馴染兼恋のライバルよ。競争相手は多いみたいだけど、私も負けるつもりはないから。どんどん愛翔にアピールしていくからね」
「あははは、お手柔らかに頼むよ」
愛翔もホッとしたのか苦笑しつつも、いつの間にか愛翔の左腕に抱きついていた楓の頭を撫でていた。
午後のシフト前に食事をということで喧騒の中、わずかな時間ではあるけれど文化祭を楽しむ3人。
「結構食べ物系も色々あるなぁ。中学の文化祭でもこんなだった?」
日本の文化祭は初めての愛翔は感心しきりで桜と楓に聞いている。
「ん~、中学だとここまでじゃないわね。高校生になって色々違うって事かなって」
楓の返事に桜も相槌をうっている。
「あ、丘先輩。こんにちは」
目ざとく見つけた楓が挨拶をしている。
「あ橘さん。住吉君に華押さんも一緒ね」
「丘先輩のクラスは何してるんですか?」
「うちは屋台村って感じね」
「屋台村ですか?」
「ほらほら、入って。百聞は一見に如かずっていうでしょ」
丘は愛翔の背中を押し、桜と楓も誘った。
中には屋台風の店をいくつか並べてあり丘の言う通り屋台村然とした作りになっている。
「へえ、屋台村って確かにそうですね」
愛翔が興味深そうに見回す。
「あ、焼きそばに、たこ焼き、フライドポテトあ、ヨーヨー釣りに射的?」
桜がさっそく焼きそばをロックオンしフラフラと近づいていく。
クスクスと笑いながら楓がフライドポテトを手にし、それならと愛翔はたこ焼きを買ってきた。
「買っていただいた食べ物は、お持ちいただいてもかまいませんし、そちらの席で食べていただいてもいいですよ。いえむしろそちらの席で是非」
販売係の女生徒が3人を案内していた。
「そ、それじゃ、せっかくだし座らせてもらおうか」
愛翔が誘い、桜と楓が一緒に机を囲んだ。
「あ、この焼きそば、ソースがちょっといいかも。愛翔も食べてみて」
桜が嬉しそうな笑顔で自然に焼きそばをシェアする。
「お、本当だ。うまいな。これはお返しだ」
愛翔も当たり前のようにたこ焼きを桜の口にもっていく。
「愛翔、わたしには?」
楓も愛翔に強請り
「ほら、美味いぞ」
楓も蕩ける笑顔で愛翔に食べさせてもらっている。
そして、いつの間にか3人の周囲の席は満席になって大量のカップルが”あーん”をしていて、ふと愛翔と目の合った丘が良い笑顔でサムズアップをしてきた。
食事を終え愛翔たちが席を立つと丘が寄ってきた。
「住吉君、華押さん、橘さん。とっても素敵な客寄せありがとう。でもちょっと口の中があまーくなっちゃった」
クスクスと笑う丘に
「そういう事でしたか、でも美味しかったですよ」
愛翔が笑顔で返して
「これから、俺たちクラスの執事メイドカフェでホール係やるんでよかったら来てくださいね」
さらっと宣伝をして愛翔たちはクラスに戻った。
次のステージが終わり、そろそろ午前の部が終わろうとする頃
「あれって楓の気持ちだよな。きっと」
愛翔が呟き、桜は
「そうね、そうするとずっと楓もあたしと同じ想いを持っていて、それでもあたしの背中を押してくれたのね」
2人が微妙な雰囲気になりながら座っていると
後ろから愛翔に抱きついてきた女の子。愛翔の頬にキスを落としながら
「愛翔~、ちゃんと聞いてくれた?」
楓だった。
「桜も来てくれてありがとう」
桜にも抱きつく楓。普段よりテンションが高めのようだ。
「楓。その……」
愛翔が言いよどむけれど
「うん、愛翔は聞いてくれただけで良いの。桜もその、ごめんね」
楓の謝罪に桜は首を横に振った。
「ううん、謝るのはあたしのほう。ずっと一緒にいたのに自分の事ばかりで楓の本当の気持ちに気づいてなくて、それなのに楓はあたしの背中を押してくれて。でも、これからは違うのよね。愛翔にあの歌を聞かせたって事は」
桜の言葉に楓も少しばかり申し訳なさそうに答える。
「1度は桜の背中を押しておきながら、やっぱり気持ちが溢れちゃったの。だからね、これからは幼馴染兼恋のライバルよ。競争相手は多いみたいだけど、私も負けるつもりはないから。どんどん愛翔にアピールしていくからね」
「あははは、お手柔らかに頼むよ」
愛翔もホッとしたのか苦笑しつつも、いつの間にか愛翔の左腕に抱きついていた楓の頭を撫でていた。
午後のシフト前に食事をということで喧騒の中、わずかな時間ではあるけれど文化祭を楽しむ3人。
「結構食べ物系も色々あるなぁ。中学の文化祭でもこんなだった?」
日本の文化祭は初めての愛翔は感心しきりで桜と楓に聞いている。
「ん~、中学だとここまでじゃないわね。高校生になって色々違うって事かなって」
楓の返事に桜も相槌をうっている。
「あ、丘先輩。こんにちは」
目ざとく見つけた楓が挨拶をしている。
「あ橘さん。住吉君に華押さんも一緒ね」
「丘先輩のクラスは何してるんですか?」
「うちは屋台村って感じね」
「屋台村ですか?」
「ほらほら、入って。百聞は一見に如かずっていうでしょ」
丘は愛翔の背中を押し、桜と楓も誘った。
中には屋台風の店をいくつか並べてあり丘の言う通り屋台村然とした作りになっている。
「へえ、屋台村って確かにそうですね」
愛翔が興味深そうに見回す。
「あ、焼きそばに、たこ焼き、フライドポテトあ、ヨーヨー釣りに射的?」
桜がさっそく焼きそばをロックオンしフラフラと近づいていく。
クスクスと笑いながら楓がフライドポテトを手にし、それならと愛翔はたこ焼きを買ってきた。
「買っていただいた食べ物は、お持ちいただいてもかまいませんし、そちらの席で食べていただいてもいいですよ。いえむしろそちらの席で是非」
販売係の女生徒が3人を案内していた。
「そ、それじゃ、せっかくだし座らせてもらおうか」
愛翔が誘い、桜と楓が一緒に机を囲んだ。
「あ、この焼きそば、ソースがちょっといいかも。愛翔も食べてみて」
桜が嬉しそうな笑顔で自然に焼きそばをシェアする。
「お、本当だ。うまいな。これはお返しだ」
愛翔も当たり前のようにたこ焼きを桜の口にもっていく。
「愛翔、わたしには?」
楓も愛翔に強請り
「ほら、美味いぞ」
楓も蕩ける笑顔で愛翔に食べさせてもらっている。
そして、いつの間にか3人の周囲の席は満席になって大量のカップルが”あーん”をしていて、ふと愛翔と目の合った丘が良い笑顔でサムズアップをしてきた。
食事を終え愛翔たちが席を立つと丘が寄ってきた。
「住吉君、華押さん、橘さん。とっても素敵な客寄せありがとう。でもちょっと口の中があまーくなっちゃった」
クスクスと笑う丘に
「そういう事でしたか、でも美味しかったですよ」
愛翔が笑顔で返して
「これから、俺たちクラスの執事メイドカフェでホール係やるんでよかったら来てくださいね」
さらっと宣伝をして愛翔たちはクラスに戻った。
0
あなたにおすすめの小説
バイト先の先輩ギャルが実はクラスメイトで、しかも推しが一緒だった件
沢田美
恋愛
「きょ、今日からお世話になります。有馬蓮です……!」
高校二年の有馬蓮は、人生初のアルバイトで緊張しっぱなし。
そんな彼の前に現れたのは、銀髪ピアスのギャル系先輩――白瀬紗良だった。
見た目は派手だけど、話してみるとアニメもゲームも好きな“同類”。
意外な共通点から意気投合する二人。
だけどその日の帰り際、店長から知らされたのは――
> 「白瀬さん、今日で最後のシフトなんだよね」
一期一会の出会い。もう会えないと思っていた。
……翌日、学校で再会するまでは。
実は同じクラスの“白瀬さん”だった――!?
オタクな少年とギャルな少女の、距離ゼロから始まる青春ラブコメ。
小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!
竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」
俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。
彼女の名前は下野ルカ。
幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。
俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。
だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている!
堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!
∞
桜庭かなめ
恋愛
高校1年生の逢坂玲人は入学時から髪を金色に染め、無愛想なため一匹狼として高校生活を送っている。
入学して間もないある日の放課後、玲人は2年生の生徒会長・如月沙奈にロープで拘束されてしまう。それを解く鍵は彼女を抱きしめると約束することだった。ただ、玲人は上手く言いくるめて彼女から逃げることに成功する。そんな中、銀髪の美少女のアリス・ユメミールと出会い、お互いに好きな猫のことなどを通じて彼女と交流を深めていく。
しかし、沙奈も一度の失敗で諦めるような女の子ではない。玲人は沙奈に追いかけられる日々が始まる。
抱きしめて。生徒会に入って。口づけして。ヤンデレな沙奈からの様々な我が儘を通して見えてくるものは何なのか。見えた先には何があるのか。沙奈の好意が非常に強くも温かい青春ラブストーリー。
※タイトルは「むげん」と読みます。
※完結しました!(2020.7.29)
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
この男子校の生徒が自分以外全員男装女子だということを俺だけが知っている
夏見ナイ
恋愛
平凡な俺、相葉祐樹が手にしたのは、ありえないはずの超名門男子校『獅子王院学園』からの合格通知。期待を胸に入学した先は、王子様みたいなイケメンだらけの夢の空間だった!
……はずが、ある夜、同室のクールな完璧王子・橘玲が女の子であるという、学園最大の秘密を知ってしまう。
なんとこの学園、俺以外、全員が“訳アリ”の男装女子だったのだ!
秘密の「共犯者」となった俺は、慣れない男装に悩む彼女たちの唯一の相談相手に。
「祐樹の前でだけは、女の子でいられる……」
クールなイケメンたちの、俺だけに見せる甘々な素顔と猛アプローチにドキドキが止まらない!
秘密だらけで糖度120%の学園ラブコメ、開幕!
俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた
夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。
数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。
トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。
俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる