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第156話 検査結果
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”住吉愛翔緊急入院”、”住吉愛翔倒れる”、”復帰は予定は不明”、”日米交流戦からの帰宅途中で”
あっという間に愛翔の不調はマスコミにより拡散された。
「じゃあ、しっかり休んで体調を戻すことに専念してくれ」
「はい、ありがとうございます」
グレーのスーツをしっかりと着こなした男性が愛翔の病室から出て来た。
それと入れ違いに入っていく桜と楓。
「愛翔。気分はどう?」
学校から直接お見舞いにやってきた桜と楓に
「大丈夫だよ。大体念のための検査入院なんだから。あ、あんな倒れ方した以上検査はしておかないと俺自身も気になるからな」
愛翔は笑って返す。
愛翔のその答えに2人は少しだけ表情を緩める。
「それで愛翔さっきの人は?」
楓が気になったのだろう。愛翔に尋ねた。
「ああ、ステラスターFCの事務担当の人。しばらくは休養するようにって言われた」
「それでおじさんは?こられるって?」
桜が気になるところを聞く。
「すぐに飛んでくるような事を言ってたけど。俺が止めた。まさか今日明日に死んじまうような話でもないんだしってね」
「死ぬなんて、愛翔縁起でもない事言わないで」
桜が心細さを隠すことなく口にした言葉は、それでも愛翔の心に届く。
「あ、ああ。そうだな。そんなつもりで口にしたつもりはなかったけど、ふっと弱気になっていたのかもしれないな。桜と楓がいてくれれば俺は大丈夫だ」
数日後。愛翔の状態の検査結果の出る日。桜と楓は学校を早退して愛翔のそばにいた。
「その子たちは?」
白衣を着た医師が愛翔に尋ねる。
「俺の大切な人たちです。一緒に検査結果を聞いて良いですかね」
愛翔の希望に、医師は逡巡する。
「本来であれば家族以外の方の同席はご遠慮いただくのですが」
「この2人は家族とかわりません。それに俺の親は今アメリカなのでここに来れないですから」
「わかりました。きわめて例外的ですがご本人が希望ということで同席を許可しましょう」
「ありがとうございます」
愛翔は病室のベッドに、桜と楓は折りたたみの椅子に座り話を聞く体制をつくる。
「それで俺の状態はどうなんですか?この感じだと何かあったのでしょうけど」
愛翔が息を吐き、心を落ち着けながら医師に尋ねると。
「先にお話しましたように当初の血液検査の結果、住吉君の血液中の好中球、これは白血球の一種なのですがこれの数が少ないことが確認されました。そこで更に骨髄検査を行ったのですが……」
愛翔は自分の病状について予想をしてしまった。けれど、覚悟を決め口を開く。
「先生、俺は検査結果の細かい数字については分かりません。ですがなんとなく予想はしています。結論としては俺はどんな病気なんですか?」
「落ち着いて聞いてください。住吉君は急性骨髄性白血病だと思われます」
医師の言葉に愛翔は一瞬目を瞑り歯を食いしばる。その横で桜と楓が真っ青な顔で小さく拳を握りしめ心の動揺に耐えていた。
その様子を見て医師は説明に間を開ける。何度かの深呼吸により動揺を抑え付け愛翔が医師と目を合わせた。
「治療方法は?」
「抗がん剤を中心とした化学療法か、造血幹細胞移植、いわゆる骨髄移植となります。化学療法はすぐに始められますが、根治は難しく社会復帰したのちも薬を服用していくことになります。造血幹細胞移植は根治が可能ですが、ドナーを探すのに時間が掛かり、また適合性により成功率が大きく影響を受けます。この適合性は近親者ほど高い傾向があります。近親者以外での適合率は非常に低いので骨髄バンクに登録して適合ドナーが現れることを待つことになります。住吉君にご兄弟はみえますか?」
「生き別れた姉がいるはずですが、どこにいるかは俺は聞いていません。父なら知っているとは思いますが……」
そこまで話したところで桜が口を挟んだ。
「先生、血縁者以外で適合することは無いわけじゃないんですよね」
「ああ、もちろん。だから骨髄バンクというものがあって登録をしてもらっているんだよ」
「あたしの骨髄が使えないか調べてください」
「私もお願いします」
桜と楓があたまを下げる。
あっという間に愛翔の不調はマスコミにより拡散された。
「じゃあ、しっかり休んで体調を戻すことに専念してくれ」
「はい、ありがとうございます」
グレーのスーツをしっかりと着こなした男性が愛翔の病室から出て来た。
それと入れ違いに入っていく桜と楓。
「愛翔。気分はどう?」
学校から直接お見舞いにやってきた桜と楓に
「大丈夫だよ。大体念のための検査入院なんだから。あ、あんな倒れ方した以上検査はしておかないと俺自身も気になるからな」
愛翔は笑って返す。
愛翔のその答えに2人は少しだけ表情を緩める。
「それで愛翔さっきの人は?」
楓が気になったのだろう。愛翔に尋ねた。
「ああ、ステラスターFCの事務担当の人。しばらくは休養するようにって言われた」
「それでおじさんは?こられるって?」
桜が気になるところを聞く。
「すぐに飛んでくるような事を言ってたけど。俺が止めた。まさか今日明日に死んじまうような話でもないんだしってね」
「死ぬなんて、愛翔縁起でもない事言わないで」
桜が心細さを隠すことなく口にした言葉は、それでも愛翔の心に届く。
「あ、ああ。そうだな。そんなつもりで口にしたつもりはなかったけど、ふっと弱気になっていたのかもしれないな。桜と楓がいてくれれば俺は大丈夫だ」
数日後。愛翔の状態の検査結果の出る日。桜と楓は学校を早退して愛翔のそばにいた。
「その子たちは?」
白衣を着た医師が愛翔に尋ねる。
「俺の大切な人たちです。一緒に検査結果を聞いて良いですかね」
愛翔の希望に、医師は逡巡する。
「本来であれば家族以外の方の同席はご遠慮いただくのですが」
「この2人は家族とかわりません。それに俺の親は今アメリカなのでここに来れないですから」
「わかりました。きわめて例外的ですがご本人が希望ということで同席を許可しましょう」
「ありがとうございます」
愛翔は病室のベッドに、桜と楓は折りたたみの椅子に座り話を聞く体制をつくる。
「それで俺の状態はどうなんですか?この感じだと何かあったのでしょうけど」
愛翔が息を吐き、心を落ち着けながら医師に尋ねると。
「先にお話しましたように当初の血液検査の結果、住吉君の血液中の好中球、これは白血球の一種なのですがこれの数が少ないことが確認されました。そこで更に骨髄検査を行ったのですが……」
愛翔は自分の病状について予想をしてしまった。けれど、覚悟を決め口を開く。
「先生、俺は検査結果の細かい数字については分かりません。ですがなんとなく予想はしています。結論としては俺はどんな病気なんですか?」
「落ち着いて聞いてください。住吉君は急性骨髄性白血病だと思われます」
医師の言葉に愛翔は一瞬目を瞑り歯を食いしばる。その横で桜と楓が真っ青な顔で小さく拳を握りしめ心の動揺に耐えていた。
その様子を見て医師は説明に間を開ける。何度かの深呼吸により動揺を抑え付け愛翔が医師と目を合わせた。
「治療方法は?」
「抗がん剤を中心とした化学療法か、造血幹細胞移植、いわゆる骨髄移植となります。化学療法はすぐに始められますが、根治は難しく社会復帰したのちも薬を服用していくことになります。造血幹細胞移植は根治が可能ですが、ドナーを探すのに時間が掛かり、また適合性により成功率が大きく影響を受けます。この適合性は近親者ほど高い傾向があります。近親者以外での適合率は非常に低いので骨髄バンクに登録して適合ドナーが現れることを待つことになります。住吉君にご兄弟はみえますか?」
「生き別れた姉がいるはずですが、どこにいるかは俺は聞いていません。父なら知っているとは思いますが……」
そこまで話したところで桜が口を挟んだ。
「先生、血縁者以外で適合することは無いわけじゃないんですよね」
「ああ、もちろん。だから骨髄バンクというものがあって登録をしてもらっているんだよ」
「あたしの骨髄が使えないか調べてください」
「私もお願いします」
桜と楓があたまを下げる。
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