156 / 314
第156話 検査結果
しおりを挟む
”住吉愛翔緊急入院”、”住吉愛翔倒れる”、”復帰は予定は不明”、”日米交流戦からの帰宅途中で”
あっという間に愛翔の不調はマスコミにより拡散された。
「じゃあ、しっかり休んで体調を戻すことに専念してくれ」
「はい、ありがとうございます」
グレーのスーツをしっかりと着こなした男性が愛翔の病室から出て来た。
それと入れ違いに入っていく桜と楓。
「愛翔。気分はどう?」
学校から直接お見舞いにやってきた桜と楓に
「大丈夫だよ。大体念のための検査入院なんだから。あ、あんな倒れ方した以上検査はしておかないと俺自身も気になるからな」
愛翔は笑って返す。
愛翔のその答えに2人は少しだけ表情を緩める。
「それで愛翔さっきの人は?」
楓が気になったのだろう。愛翔に尋ねた。
「ああ、ステラスターFCの事務担当の人。しばらくは休養するようにって言われた」
「それでおじさんは?こられるって?」
桜が気になるところを聞く。
「すぐに飛んでくるような事を言ってたけど。俺が止めた。まさか今日明日に死んじまうような話でもないんだしってね」
「死ぬなんて、愛翔縁起でもない事言わないで」
桜が心細さを隠すことなく口にした言葉は、それでも愛翔の心に届く。
「あ、ああ。そうだな。そんなつもりで口にしたつもりはなかったけど、ふっと弱気になっていたのかもしれないな。桜と楓がいてくれれば俺は大丈夫だ」
数日後。愛翔の状態の検査結果の出る日。桜と楓は学校を早退して愛翔のそばにいた。
「その子たちは?」
白衣を着た医師が愛翔に尋ねる。
「俺の大切な人たちです。一緒に検査結果を聞いて良いですかね」
愛翔の希望に、医師は逡巡する。
「本来であれば家族以外の方の同席はご遠慮いただくのですが」
「この2人は家族とかわりません。それに俺の親は今アメリカなのでここに来れないですから」
「わかりました。きわめて例外的ですがご本人が希望ということで同席を許可しましょう」
「ありがとうございます」
愛翔は病室のベッドに、桜と楓は折りたたみの椅子に座り話を聞く体制をつくる。
「それで俺の状態はどうなんですか?この感じだと何かあったのでしょうけど」
愛翔が息を吐き、心を落ち着けながら医師に尋ねると。
「先にお話しましたように当初の血液検査の結果、住吉君の血液中の好中球、これは白血球の一種なのですがこれの数が少ないことが確認されました。そこで更に骨髄検査を行ったのですが……」
愛翔は自分の病状について予想をしてしまった。けれど、覚悟を決め口を開く。
「先生、俺は検査結果の細かい数字については分かりません。ですがなんとなく予想はしています。結論としては俺はどんな病気なんですか?」
「落ち着いて聞いてください。住吉君は急性骨髄性白血病だと思われます」
医師の言葉に愛翔は一瞬目を瞑り歯を食いしばる。その横で桜と楓が真っ青な顔で小さく拳を握りしめ心の動揺に耐えていた。
その様子を見て医師は説明に間を開ける。何度かの深呼吸により動揺を抑え付け愛翔が医師と目を合わせた。
「治療方法は?」
「抗がん剤を中心とした化学療法か、造血幹細胞移植、いわゆる骨髄移植となります。化学療法はすぐに始められますが、根治は難しく社会復帰したのちも薬を服用していくことになります。造血幹細胞移植は根治が可能ですが、ドナーを探すのに時間が掛かり、また適合性により成功率が大きく影響を受けます。この適合性は近親者ほど高い傾向があります。近親者以外での適合率は非常に低いので骨髄バンクに登録して適合ドナーが現れることを待つことになります。住吉君にご兄弟はみえますか?」
「生き別れた姉がいるはずですが、どこにいるかは俺は聞いていません。父なら知っているとは思いますが……」
そこまで話したところで桜が口を挟んだ。
「先生、血縁者以外で適合することは無いわけじゃないんですよね」
「ああ、もちろん。だから骨髄バンクというものがあって登録をしてもらっているんだよ」
「あたしの骨髄が使えないか調べてください」
「私もお願いします」
桜と楓があたまを下げる。
あっという間に愛翔の不調はマスコミにより拡散された。
「じゃあ、しっかり休んで体調を戻すことに専念してくれ」
「はい、ありがとうございます」
グレーのスーツをしっかりと着こなした男性が愛翔の病室から出て来た。
それと入れ違いに入っていく桜と楓。
「愛翔。気分はどう?」
学校から直接お見舞いにやってきた桜と楓に
「大丈夫だよ。大体念のための検査入院なんだから。あ、あんな倒れ方した以上検査はしておかないと俺自身も気になるからな」
愛翔は笑って返す。
愛翔のその答えに2人は少しだけ表情を緩める。
「それで愛翔さっきの人は?」
楓が気になったのだろう。愛翔に尋ねた。
「ああ、ステラスターFCの事務担当の人。しばらくは休養するようにって言われた」
「それでおじさんは?こられるって?」
桜が気になるところを聞く。
「すぐに飛んでくるような事を言ってたけど。俺が止めた。まさか今日明日に死んじまうような話でもないんだしってね」
「死ぬなんて、愛翔縁起でもない事言わないで」
桜が心細さを隠すことなく口にした言葉は、それでも愛翔の心に届く。
「あ、ああ。そうだな。そんなつもりで口にしたつもりはなかったけど、ふっと弱気になっていたのかもしれないな。桜と楓がいてくれれば俺は大丈夫だ」
数日後。愛翔の状態の検査結果の出る日。桜と楓は学校を早退して愛翔のそばにいた。
「その子たちは?」
白衣を着た医師が愛翔に尋ねる。
「俺の大切な人たちです。一緒に検査結果を聞いて良いですかね」
愛翔の希望に、医師は逡巡する。
「本来であれば家族以外の方の同席はご遠慮いただくのですが」
「この2人は家族とかわりません。それに俺の親は今アメリカなのでここに来れないですから」
「わかりました。きわめて例外的ですがご本人が希望ということで同席を許可しましょう」
「ありがとうございます」
愛翔は病室のベッドに、桜と楓は折りたたみの椅子に座り話を聞く体制をつくる。
「それで俺の状態はどうなんですか?この感じだと何かあったのでしょうけど」
愛翔が息を吐き、心を落ち着けながら医師に尋ねると。
「先にお話しましたように当初の血液検査の結果、住吉君の血液中の好中球、これは白血球の一種なのですがこれの数が少ないことが確認されました。そこで更に骨髄検査を行ったのですが……」
愛翔は自分の病状について予想をしてしまった。けれど、覚悟を決め口を開く。
「先生、俺は検査結果の細かい数字については分かりません。ですがなんとなく予想はしています。結論としては俺はどんな病気なんですか?」
「落ち着いて聞いてください。住吉君は急性骨髄性白血病だと思われます」
医師の言葉に愛翔は一瞬目を瞑り歯を食いしばる。その横で桜と楓が真っ青な顔で小さく拳を握りしめ心の動揺に耐えていた。
その様子を見て医師は説明に間を開ける。何度かの深呼吸により動揺を抑え付け愛翔が医師と目を合わせた。
「治療方法は?」
「抗がん剤を中心とした化学療法か、造血幹細胞移植、いわゆる骨髄移植となります。化学療法はすぐに始められますが、根治は難しく社会復帰したのちも薬を服用していくことになります。造血幹細胞移植は根治が可能ですが、ドナーを探すのに時間が掛かり、また適合性により成功率が大きく影響を受けます。この適合性は近親者ほど高い傾向があります。近親者以外での適合率は非常に低いので骨髄バンクに登録して適合ドナーが現れることを待つことになります。住吉君にご兄弟はみえますか?」
「生き別れた姉がいるはずですが、どこにいるかは俺は聞いていません。父なら知っているとは思いますが……」
そこまで話したところで桜が口を挟んだ。
「先生、血縁者以外で適合することは無いわけじゃないんですよね」
「ああ、もちろん。だから骨髄バンクというものがあって登録をしてもらっているんだよ」
「あたしの骨髄が使えないか調べてください」
「私もお願いします」
桜と楓があたまを下げる。
0
あなたにおすすめの小説
バイト先の先輩ギャルが実はクラスメイトで、しかも推しが一緒だった件
沢田美
恋愛
「きょ、今日からお世話になります。有馬蓮です……!」
高校二年の有馬蓮は、人生初のアルバイトで緊張しっぱなし。
そんな彼の前に現れたのは、銀髪ピアスのギャル系先輩――白瀬紗良だった。
見た目は派手だけど、話してみるとアニメもゲームも好きな“同類”。
意外な共通点から意気投合する二人。
だけどその日の帰り際、店長から知らされたのは――
> 「白瀬さん、今日で最後のシフトなんだよね」
一期一会の出会い。もう会えないと思っていた。
……翌日、学校で再会するまでは。
実は同じクラスの“白瀬さん”だった――!?
オタクな少年とギャルな少女の、距離ゼロから始まる青春ラブコメ。
小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!
竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」
俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。
彼女の名前は下野ルカ。
幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。
俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。
だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている!
堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!
∞
桜庭かなめ
恋愛
高校1年生の逢坂玲人は入学時から髪を金色に染め、無愛想なため一匹狼として高校生活を送っている。
入学して間もないある日の放課後、玲人は2年生の生徒会長・如月沙奈にロープで拘束されてしまう。それを解く鍵は彼女を抱きしめると約束することだった。ただ、玲人は上手く言いくるめて彼女から逃げることに成功する。そんな中、銀髪の美少女のアリス・ユメミールと出会い、お互いに好きな猫のことなどを通じて彼女と交流を深めていく。
しかし、沙奈も一度の失敗で諦めるような女の子ではない。玲人は沙奈に追いかけられる日々が始まる。
抱きしめて。生徒会に入って。口づけして。ヤンデレな沙奈からの様々な我が儘を通して見えてくるものは何なのか。見えた先には何があるのか。沙奈の好意が非常に強くも温かい青春ラブストーリー。
※タイトルは「むげん」と読みます。
※完結しました!(2020.7.29)
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
この男子校の生徒が自分以外全員男装女子だということを俺だけが知っている
夏見ナイ
恋愛
平凡な俺、相葉祐樹が手にしたのは、ありえないはずの超名門男子校『獅子王院学園』からの合格通知。期待を胸に入学した先は、王子様みたいなイケメンだらけの夢の空間だった!
……はずが、ある夜、同室のクールな完璧王子・橘玲が女の子であるという、学園最大の秘密を知ってしまう。
なんとこの学園、俺以外、全員が“訳アリ”の男装女子だったのだ!
秘密の「共犯者」となった俺は、慣れない男装に悩む彼女たちの唯一の相談相手に。
「祐樹の前でだけは、女の子でいられる……」
クールなイケメンたちの、俺だけに見せる甘々な素顔と猛アプローチにドキドキが止まらない!
秘密だらけで糖度120%の学園ラブコメ、開幕!
俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた
夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。
数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。
トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。
俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる