幼馴染の初恋は月の女神の祝福の下に

景空

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第207話 東京での……

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「それで愛翔君の進路については分かったけど、桜ちゃんと楓ちゃんはT大志望で決定かしら?」
コホンと咳払いで空気をかえつつ丘が話を戻した。
「そうですね。実は今日も3人で山合塾のT大模試受けてきたんですよ」
手ごたえが良かったからだろう、楓が嬉しそうに話す。一方桜は少し考え込んでいる。それに気付いた楓が首を傾げなが桜をつついた。
「桜、眉間にシワが寄ってるわよ。何考えてるの?」
「うーん、まだ具体的な形になってないから、もう少し考えてからね」
「模試の手ごたえは良かったのでしょ?」
「模試は大丈夫よ。そっちじゃなくてね」
「ふーん、まあいいけど。悩みだったら私に相談してね」
「うん、大丈夫。本当に迷ったときには楓や愛翔に頼らせてもらうから。それに」
そういうと桜はやっとニッコリと笑顔を見せた。
「それに?」
「本当に実行するときには多分楓も一緒だと思う」
そんな桜の言葉に楓は首をひねるだけだった。
「それでも、とりあえずはT大合格が目標なのは変わらないから」
「3人一緒にT大に入ってくれると私は嬉しいんだけどね」
ん?と3人の視線が丘に集まる。
「え、えと、まだ気が早いとは思うのだけど、合格したら、よければ一緒に住まない?3人なら信用できるし。4LDKあたりを借りればその方が別々に借りるより割安だし」
そこで愛翔が何かに気付いたようで
「姉さん、初めての一人暮らしだよね」
「う、うん。ていうか愛翔君みたいに高校時代から一人暮らしする方が少ないからね」
「あ、まあ、それはそうか。でも、姉さんって高校時代以前に家事ってやってた?」
更に愛翔がそっとたずねると、丘の目が泳ぎ、ついには顔をそむけた。
「だ、だってやる機会がなかったのよ。しかたないじゃない。むしろあなた達3人みたいに家事スキル高い方が珍しいからね。なんであんなに出来るのよ」
珍しい丘の逆切れに愛翔の頬が緩む。
「まあ、俺は幼い頃から父さんが仕事で留守が多かったんで覚えたんだけど」
「あたしは愛翔にご飯食べて欲しくて覚えましたー」
「私は、最初は愛翔と同じで両親が忙しかったので手伝ってたらいつの間にかですね」
3人が3人ともそれなりの理由で出来るようになったと主張する。
「で、姉さんとしては家事を手伝ってほしいと、ありていに言っちゃいえばご飯を作って欲しいということだよね?」
愛翔が仕方ないなとばかりに口を開いた。
「う、うう。お願い。少しずつ覚えるから助けて」
3人の溜息が揃ったところで
「まあ、住むところが先に決まるってのは楽だから俺は良いけど……」
と桜と楓に愛翔が視線を送ると、苦笑しつつ2人も首を縦に振っていた。
「ありがとー、3人が一緒ならご飯の心配がいらなくなって……」
「姉さん?」
愛翔がジト目で丘をにらんでいた。
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