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第220話 狂ったコンビニとの邂逅
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「へえ、これがハンマーヘッドか。結構でかいな」
愛翔が見とれていると
「これが1914年に出来た日本初の大型クレーンなのね」
「へえ、これで50トンまでの荷物を動かせたんだ」
楓も桜もそれなりに楽しそうだ。そこで愛翔が地面を見て何かに気付いた。
「これ、ひょっとして線路のあとか?」
「え。どれ?」
「ほら、ここ真っ直ぐ溝があるだろ」
「でも、こんなすぐそばまで?」
桜は何となくそうなのかな?と見ている。
「だって、あのアームの下まで乗り付けないと余計な手間かかるだろ。まさかここまできてわざわざ人出で荷降ろしするのも勿体ないからさ」
愛翔の解説に桜もポンと手をうちなるほどと納得する。
ひとしきり見て回った3人。
「そろそろ会場に戻ろうか」
愛翔が時計を見ると3時になろうとしている。会場まで歩きとバスでおよそ15分、バスの待ち時間まで考えればそろそろ移動した方がよさそうだ。
「その前に、ここで写真撮ろうよ」
楓の提案でハンマーヘッド全景が入りそうな場所に移動する。
「すみません。写真撮ってもらっていいですか?」
近くを歩いていた老夫婦に愛翔が声を掛けた。
「いいですよ。おや、お兄さん両手に花でいいですね」
愛翔がスマホを渡すとニコニコと笑顔でご主人が構えてくれた。
いつものように桜と楓が愛翔の両腕に笑顔で抱きつく。
「はいチーズ」
シャッターを切る瞬間桜と楓の唇が愛翔の両頬に触れていた。
「いやあ、いいもの見せてもらったよ。青春してるね」
照れながらスマホを受け取り
「ありがとうございました」
愛翔たちは老夫婦に手を振って別れた。
「モールにコンビニがあるみたいだ。飲み物を買ってから戻ろうか」
写真を撮った3人はそろそろ戻ろうと移動を始め途中でコンビニによろうという話になった。
「そう言えば、愛翔がインターハイで差し入れてくれたスポドリ、どこで買えるの?」
飲み物と言えばと桜が愛翔に尋ねる。
「あれは、ステラスポーツセンターの売店で買えるはず。どうかしたか?」
「バスケ部のみんなが気に入って買えるところ教えて欲しいって頼まれたのよ」
「そんなに気に入ってもらえたのなら差し入れした甲斐もあるよ」
そう言いながら名前に数字のならんだコンビニの入口をくぐる。
「えーと、飲み物は……」
そこまで言って愛翔は言葉を失った。
ドリンクコーナーがビールで埋め尽くされている。いや、正確に言えば隅にノンアルコールのお茶やスポーツドリンク、コーラ等あるにはあるのだけれど、その比率が普通ではない。
「しかも、向こうに更にあるのか……」
高校生の自分たちには無縁とはいえ、その様相に見なかったことにする愛翔たち3人。
「うん、俺たちには関係ない」
そう言いながら、それぞれの手に飲み物を持ち会計を済ませる。
店から出ると、なんとなく急ぎ足でバス停に向かう。そしてある程度離れたところで
「あれは、何だったんだろう?俺はコンビニに入ったつもりだったんだけど」
愛翔がやっと緊張を解いたところで桜がスマホを取り出した。
「あ、あった。狂ったコンビニだって。店長の趣味で世界中のビールを集めて売ってるって」
「えーと、コンビニでそんなことできるんだ。本部はそんな仕入れしてくれないと思うんだけど」
「えーと、あ、あった。店長さんが独自ルートで仕入れてるらしいよ」
桜がふよふよと笑いながらスマホを見せる。
「え?あ、本当みたいだ。いいのか?数字のコンビニさん」
愛翔はその仕入れのあまりの自由度の高さに驚きを隠さない。
「でも、それが逆に話題になって良い感じみたいよ」
桜の言葉にそういうこともあるんだなと
「コンビニみたいな規格重視の企業ですごいなぁ」
などと言って苦笑していた。
愛翔が見とれていると
「これが1914年に出来た日本初の大型クレーンなのね」
「へえ、これで50トンまでの荷物を動かせたんだ」
楓も桜もそれなりに楽しそうだ。そこで愛翔が地面を見て何かに気付いた。
「これ、ひょっとして線路のあとか?」
「え。どれ?」
「ほら、ここ真っ直ぐ溝があるだろ」
「でも、こんなすぐそばまで?」
桜は何となくそうなのかな?と見ている。
「だって、あのアームの下まで乗り付けないと余計な手間かかるだろ。まさかここまできてわざわざ人出で荷降ろしするのも勿体ないからさ」
愛翔の解説に桜もポンと手をうちなるほどと納得する。
ひとしきり見て回った3人。
「そろそろ会場に戻ろうか」
愛翔が時計を見ると3時になろうとしている。会場まで歩きとバスでおよそ15分、バスの待ち時間まで考えればそろそろ移動した方がよさそうだ。
「その前に、ここで写真撮ろうよ」
楓の提案でハンマーヘッド全景が入りそうな場所に移動する。
「すみません。写真撮ってもらっていいですか?」
近くを歩いていた老夫婦に愛翔が声を掛けた。
「いいですよ。おや、お兄さん両手に花でいいですね」
愛翔がスマホを渡すとニコニコと笑顔でご主人が構えてくれた。
いつものように桜と楓が愛翔の両腕に笑顔で抱きつく。
「はいチーズ」
シャッターを切る瞬間桜と楓の唇が愛翔の両頬に触れていた。
「いやあ、いいもの見せてもらったよ。青春してるね」
照れながらスマホを受け取り
「ありがとうございました」
愛翔たちは老夫婦に手を振って別れた。
「モールにコンビニがあるみたいだ。飲み物を買ってから戻ろうか」
写真を撮った3人はそろそろ戻ろうと移動を始め途中でコンビニによろうという話になった。
「そう言えば、愛翔がインターハイで差し入れてくれたスポドリ、どこで買えるの?」
飲み物と言えばと桜が愛翔に尋ねる。
「あれは、ステラスポーツセンターの売店で買えるはず。どうかしたか?」
「バスケ部のみんなが気に入って買えるところ教えて欲しいって頼まれたのよ」
「そんなに気に入ってもらえたのなら差し入れした甲斐もあるよ」
そう言いながら名前に数字のならんだコンビニの入口をくぐる。
「えーと、飲み物は……」
そこまで言って愛翔は言葉を失った。
ドリンクコーナーがビールで埋め尽くされている。いや、正確に言えば隅にノンアルコールのお茶やスポーツドリンク、コーラ等あるにはあるのだけれど、その比率が普通ではない。
「しかも、向こうに更にあるのか……」
高校生の自分たちには無縁とはいえ、その様相に見なかったことにする愛翔たち3人。
「うん、俺たちには関係ない」
そう言いながら、それぞれの手に飲み物を持ち会計を済ませる。
店から出ると、なんとなく急ぎ足でバス停に向かう。そしてある程度離れたところで
「あれは、何だったんだろう?俺はコンビニに入ったつもりだったんだけど」
愛翔がやっと緊張を解いたところで桜がスマホを取り出した。
「あ、あった。狂ったコンビニだって。店長の趣味で世界中のビールを集めて売ってるって」
「えーと、コンビニでそんなことできるんだ。本部はそんな仕入れしてくれないと思うんだけど」
「えーと、あ、あった。店長さんが独自ルートで仕入れてるらしいよ」
桜がふよふよと笑いながらスマホを見せる。
「え?あ、本当みたいだ。いいのか?数字のコンビニさん」
愛翔はその仕入れのあまりの自由度の高さに驚きを隠さない。
「でも、それが逆に話題になって良い感じみたいよ」
桜の言葉にそういうこともあるんだなと
「コンビニみたいな規格重視の企業ですごいなぁ」
などと言って苦笑していた。
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