幼馴染の初恋は月の女神の祝福の下に

景空

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第278話 言語

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チャレンジャーチームのキックオフでゲームは始まった。
”フォーメーションと呼べるほどのものは無いけど、世界中から集まったというだけあって個人個人それぞれのレベルは高いな”
愛翔はゲームを観察しながらひとりひとりのプレースタイルを確認していく。
”センターフォワードは、足は並みで、足元へのパスが好みっぽいな。そしてドリブルの突破力は中々だ”
”俺の逆サイド、レフトウィングのあいつは、足は遅くは無いけどウィングとしては並み、エリアへのパスを好む、そしてライン際のボールさばきはちょっといないレベルか”
そしてミッドフィルダーを確認していく愛翔は頭を抱えた。”技術レベルは高いしスピードもあるけど司令塔役がいないじゃないか”
事実技術レベルの高い個人技で無理やり繋いでいる状況になっていて、普段は攻撃に専念しているであろうダリオ・ロ・ラザーロが時折声を掛け慣れない司令塔役をしているようだ。
”ディフェンダー陣は、センターバックの彼が取りまとめていて、一応連携したディフェンスが出来ているか”
”最後にゴールキーパーは、積極的に前に出てくるタイプか。手足も長いし判断もはやいな”
”となると、現状のチャレンジャーチームはあのセンターバックとゴールキーパーがキーパーソンとしてつないで、ダリオ・ロ・ラザーロさんがサポートしてきた感じか。俺の役割はライトウィング兼また司令塔かよ。いきなり言う事聞いてくれるんかね”
愛翔がそんな事を考えながら観察していると、妙なことに気づいた。それぞれが声を出しているし言っていることも間違ってはいない……
”ひょっとして、言葉が通じていない?”愛翔は、イタリアに来るにあたってイタリア語を勉強したが、サッカー王国と呼ばれるブラジルを意識して少しだけではあるけれどポルトガル語も頭に入れてきた。そうして言葉を意識して観察するとバックス陣は英語が通じるけれどイタリア語は分かっていない。ボランチに入っている選手、動きは良い、声も出ている、が言葉がポルトガル語だ。ところどころ気づいてたどたどしい英語も交えているけれど十分には通じずボディランゲージで補っている感じがする。
愛翔は盛大にため息をついた。そして”まずは通訳しながらだな”

そして前半が終わり、メンバー達がベンチに戻ってきた。
何やら言い合いをしているが、お互いの言葉が十分に伝わらずイライラしているのが愛翔には手に取るように分かる。
そこで愛翔は間に入ってみることにした。
「ちょっとまった。そっちのボランチの彼はもっと両サイドを広く使いたいそうだ。レフトウィングの彼は、もう少し先のエリアにパスを出してくれればスピードが活かせるって言ってる。逆にセンターフォワードの彼は足元にパスをもらえばきっちりと支配下に置くそうだ」
愛翔が英語、イタリア語、ポルトガル語でそれぞれの意見を伝えると(ポルトガル語はかなりたどたどしかったが)、メンバーたちが驚いたような顔で愛翔を見た。
「おまえ、住吉愛翔って言ったな。全部の言葉がわかって話せるのか?」
愛翔に詰め寄るメンバーたち。
「あ、お、おう。英語とイタリア語はまず不自由しない。ポルトガル語は難しい話は出来ないけど、大雑把なところはどうにかなる」
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