幼馴染の初恋は月の女神の祝福の下に

景空

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第310話 キャンピングカー

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翌日、フラッグスタッフ・パリアム空港に降り立った愛翔達3人は、まずレンタカーを確保するために空港近くの営業所にあしを向けた。
「キャンピングカーを1台借りたいんだけど、あるかな?」
愛翔が慣れた感じでスタッフに声を掛ける。
「今だと、この3台になります。レンタル期間はどのくらいの予定ですか?」
愛翔は、スタッフの質問に少しだけ考え
「そうですね、この車を余裕を見て7日間の予定でお願いします」
愛翔が選んだのは、キャビンが2階構造になっていて2階部分が透明なガラス張りのベッドルームになっている3人で使うには少し大きめのキャンピングカー。
「こういうので旅するのって憧れだったんだよな」
愛翔が子供の頃を思い出しニマニマと笑っている、その横で桜と楓は目を合わせ頷き合っていた。
「ね、楓。これは……」
「そうよね、楽しみね」
そんなひと時のあと、キャンピングカーをハイウェイUS89Nに走らせている。
「ふわあ、ここらあたりまで来るとジ・アメリカって感じするわね」
「そうよね、なんというか大自然?荒野?」
ルートサイドの風景を桜と楓は感慨深そうに眺めていた。
「アメリカにいると、これが普通になるけどな。都会はでかいけど、少し車で走ればどこでも大自然な感じだよ」
そんな風景を眺めながらのんびりと小1時間US89Nを走った愛翔たちは枝道に入った。そこからはAZ64Wデザートビュードライブと呼ばれる道路。両サイドはその名前の通りの砂漠で桜も楓も延々と続く砂漠に見入っている。
「ほええ、本当に西部劇の舞台なのねえ」
「目の前で本物を見ると違うわね」
ころころと転がるタンブルウィードを目で追い桜も楓も一見代わり映えのない風景に退屈することもなかった。
「今日の目玉はここだよ」
愛翔が車を道から外し駐車場に乗り入れていく。もともと今日からグランドキャニオンを含むアウトドアを回る予定のため3人とも動きやすい服装、歩きやすいトレッキングシューズを身に着けている。
車を降り案内に従って入っていった先で桜と楓が目を見開いた。
「すっごい」
「迫力ね」
「まだグランドキャニオンほどじゃないけど、このリトル・コロラド川渓谷も長い年月の間に自然が作ったV字渓谷だからな。これは地震のほとんどない地域ならではだね」
そして、ハイキングコース。見事なV字谷の底から見上げる景色も見事で3人は時間を忘れて見て回った。
ふと愛翔が気づいた時には空がが茜色に染まり始めていて慌てて車に戻る事になったのはご愛敬だろう。
「ね、愛翔。今日はどこに泊まるの?」
桜がニコニコと嬉しそうだ。
「少しむこうにRVパークがあるから、そこに車を停めて車中泊だな。シャワーやトイレがあるからそういったものまで車ですませるより楽だよ。それと……。うん、これはその時になってのお楽しみかな」
「えー、もったいぶらなくてもいいでしょ」
桜が強請るものの愛翔はニコニコと笑顔で黙っていた。
「ぷー。愛翔のケチー」
頬を膨らませる桜を楓が抱き寄せてなだめる。
「ふふ、愛翔がああいう時には素敵なサプライズを用意してくれてるはずだから今は我慢しましょ」
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