44 / 119
44,アンニュイな魔物。
しおりを挟む
しかし、いまのところ998階の魔物さんは、私を殺す気はないようだ。
それにしても、魔物さんなのに絶世の美人さん(しかもアンニュイ路線とは)、なかなか油断がならないものだ。とりあえず、私の乙女心に直撃。ちなみにこの美人魔物さんは〈魔物図鑑:視覚版〉によると、〈倦怠艶女〉という名のようだ。
「あの、ひとつ聞いてもいいですかね?」
〈倦怠艶女〉さんは気だるそうに言う。
「う~ん。まぁ聞けばぁ?」
「念のため確認の意味もこめて、〈牛頭人体(ミノタウロス)〉の体内で何を?」
「だからさ、お昼寝」
「えーと。なぜに〈牛頭人体(ミノタウロス)〉の体内でお昼寝を?」
〈倦怠艶女〉さんは、まだ寝たりないという様子で、
「あったくて気持ちいいから」
へぇ、魔物ならではの感覚だろうか。体内が気持ちいいとは。または〈牛頭人体(ミノタウロス)〉の体内は特別なのか。
ところで──大いに考えるべきことがある。
私がはじめに遭遇した数秒間、〈牛頭人体(ミノタウロス)〉はちゃんと活動していた。苦しそうでもなく、体内になんかいます、という反応があるでもなく。
ここで考えるべきは──その時点で、〈倦怠艶女〉さんはとっくのとうから、〈牛頭人体(ミノタウロス)〉の体内で眠っていたはずということ。
〈牛頭人体(ミノタウロス)〉の魔物的な特徴として、体内に別の生命体が入り込んでいても平気なのかもしれない。だって、そこは魔物だし。
案外、〈牛頭人体(ミノタウロス)〉の固有スキルが『上位魔物を体内で眠らせます』とかかもしれないし。
しかし、もしもそうでなかったら? 〈牛頭人体(ミノタウロス)〉の魔物的特徴とは無関係に、〈倦怠艶女〉さんがその体内で眠っていたのだとしたら?
そもそも、〈倦怠艶女〉さんは、どこから〈牛頭人体(ミノタウロス)〉の体内に入ったというのだろう?
私は一歩後退した。
瞬間、〈倦怠艶女〉に抱きしめられていた。〈倦怠艶女〉さんの身長は女性にしては高め(まぁ魔物さんだけど)。私は153cm。
だから立ったまま抱きしめられると、ちょうど私の顔が、〈倦怠艶女〉さんの胸に埋もれる身長差。至福のとき。
……いや、まてまて。あまりに自然だったが、〈倦怠艶女〉さんはあまりに一瞬で、距離をつめてきた。空間転移とかではなく、ただ通常の動作からして、異常に速い。
全速で動いた、とかではなく、われわれが半分眠りながら着替えるときのような、そういう日常動作の時点からして、神速。
これで本気で動かれたら、どうなるのだろう。
ところで──〈倦怠艶女〉さんは、私を抱きしめながら、後頭部を撫でてくる。
「君は、いい匂いがするねぇ。肌の感触もいいし」
「はぁ。どうもです」
「うんっ、君はさぁ、とっても寝心地が良さそう」
「え?」
キスされた。甘酸っぱい、私の初キス。
なんたることでしょう。
ちょっとうっとりしていたら、〈倦怠艶女〉が輝いて──消えた。
うん? 消えた? こんどこそ空間転移したのかな?
しかし、それにしても──静かだ。静かな998階の一角。しかし耳が静寂に馴れてくると、何かが聞こえてくる。
聞こえてはいけないものが、私の体内から聞こえる。
まったくの私の体内から、気持ちよさそうな寝息が聞こえてくる。ああ、これは──あのアンニュイな魔物が、私の体内で昼寝をし始めたのだ。
「冗談じゃない、これは冗談じゃぁぁないよ」
体内に入り込まれたけど、痛みもなければ重量もない。内臓が破壊された様子もない。呼吸も正常(心臓はバクバクいっているけど、これは寝息が聞こえてきたせい)。
とにかく、それでも〈倦怠艶女〉さんは体内にいる。気持ちよそうな寝息が聞こえてくるもの(というか寝付くの早いな)。
落ち着こう。別に体内で昼寝されても、異常がないのなら問題ない。
問題──ない?
見ると、〈牛頭人体(ミノタウロス)〉の死体が、ゆっくりと魔素に還っていくところだった。そうだった。この魔物さん、昼寝するために体内に入るときは、傷つけないように注意するようだ。だって、新しいベッドだもの。破壊して寝心地悪くしたくないよね。
だけど目覚めたら、もうそのベッドに用がなくなったら、体内から突き破って出てくるんだ。当然、そんなことをされたらベッドは、つまり私は死ぬ。
「あのー、〈倦怠艶女〉さん? 〈倦怠艶女〉さん?」
いや、無事に取り出す方法を思いつくまで、へたに起こさないほうがいい。さっきの〈倦怠艶女〉の言葉が本当なら、いままで2千年は眠っていたらしい。今回も、長い昼寝かもしれない。それこそ私の寿命が尽きるまで(まてまて。それだと998階をいつまで経っても攻略できないじゃないか)。
そこまで考えて、私はある可能性に行き当たる。【覇王魔窟】のルールとして、魔物は自分の担当する階より外には出られない。200階が998階になっていたのは階層のランダム化であり、〈倦怠艶女〉が違反したわけではない。
ここで私が、この階より外へ、【覇王魔窟】外へと出たならば、〈倦怠艶女〉だけはこの階に残るのでは?
試してみよう。〈緊急脱出トンカチ〉で自分の頭を叩き、【覇王魔窟】の外へ空間転移で出る。
晴天のもと、深呼吸。
そして、体内から気持ちよさそうな寝息を聞く。〈倦怠艶女〉さんの寝息を。
あー、〈攻略不可能体〉と思われる998階の魔物を、外の世界に連れて来ちゃった。はっはっはっ。
「困ったなぁ」
それにしても、魔物さんなのに絶世の美人さん(しかもアンニュイ路線とは)、なかなか油断がならないものだ。とりあえず、私の乙女心に直撃。ちなみにこの美人魔物さんは〈魔物図鑑:視覚版〉によると、〈倦怠艶女〉という名のようだ。
「あの、ひとつ聞いてもいいですかね?」
〈倦怠艶女〉さんは気だるそうに言う。
「う~ん。まぁ聞けばぁ?」
「念のため確認の意味もこめて、〈牛頭人体(ミノタウロス)〉の体内で何を?」
「だからさ、お昼寝」
「えーと。なぜに〈牛頭人体(ミノタウロス)〉の体内でお昼寝を?」
〈倦怠艶女〉さんは、まだ寝たりないという様子で、
「あったくて気持ちいいから」
へぇ、魔物ならではの感覚だろうか。体内が気持ちいいとは。または〈牛頭人体(ミノタウロス)〉の体内は特別なのか。
ところで──大いに考えるべきことがある。
私がはじめに遭遇した数秒間、〈牛頭人体(ミノタウロス)〉はちゃんと活動していた。苦しそうでもなく、体内になんかいます、という反応があるでもなく。
ここで考えるべきは──その時点で、〈倦怠艶女〉さんはとっくのとうから、〈牛頭人体(ミノタウロス)〉の体内で眠っていたはずということ。
〈牛頭人体(ミノタウロス)〉の魔物的な特徴として、体内に別の生命体が入り込んでいても平気なのかもしれない。だって、そこは魔物だし。
案外、〈牛頭人体(ミノタウロス)〉の固有スキルが『上位魔物を体内で眠らせます』とかかもしれないし。
しかし、もしもそうでなかったら? 〈牛頭人体(ミノタウロス)〉の魔物的特徴とは無関係に、〈倦怠艶女〉さんがその体内で眠っていたのだとしたら?
そもそも、〈倦怠艶女〉さんは、どこから〈牛頭人体(ミノタウロス)〉の体内に入ったというのだろう?
私は一歩後退した。
瞬間、〈倦怠艶女〉に抱きしめられていた。〈倦怠艶女〉さんの身長は女性にしては高め(まぁ魔物さんだけど)。私は153cm。
だから立ったまま抱きしめられると、ちょうど私の顔が、〈倦怠艶女〉さんの胸に埋もれる身長差。至福のとき。
……いや、まてまて。あまりに自然だったが、〈倦怠艶女〉さんはあまりに一瞬で、距離をつめてきた。空間転移とかではなく、ただ通常の動作からして、異常に速い。
全速で動いた、とかではなく、われわれが半分眠りながら着替えるときのような、そういう日常動作の時点からして、神速。
これで本気で動かれたら、どうなるのだろう。
ところで──〈倦怠艶女〉さんは、私を抱きしめながら、後頭部を撫でてくる。
「君は、いい匂いがするねぇ。肌の感触もいいし」
「はぁ。どうもです」
「うんっ、君はさぁ、とっても寝心地が良さそう」
「え?」
キスされた。甘酸っぱい、私の初キス。
なんたることでしょう。
ちょっとうっとりしていたら、〈倦怠艶女〉が輝いて──消えた。
うん? 消えた? こんどこそ空間転移したのかな?
しかし、それにしても──静かだ。静かな998階の一角。しかし耳が静寂に馴れてくると、何かが聞こえてくる。
聞こえてはいけないものが、私の体内から聞こえる。
まったくの私の体内から、気持ちよさそうな寝息が聞こえてくる。ああ、これは──あのアンニュイな魔物が、私の体内で昼寝をし始めたのだ。
「冗談じゃない、これは冗談じゃぁぁないよ」
体内に入り込まれたけど、痛みもなければ重量もない。内臓が破壊された様子もない。呼吸も正常(心臓はバクバクいっているけど、これは寝息が聞こえてきたせい)。
とにかく、それでも〈倦怠艶女〉さんは体内にいる。気持ちよそうな寝息が聞こえてくるもの(というか寝付くの早いな)。
落ち着こう。別に体内で昼寝されても、異常がないのなら問題ない。
問題──ない?
見ると、〈牛頭人体(ミノタウロス)〉の死体が、ゆっくりと魔素に還っていくところだった。そうだった。この魔物さん、昼寝するために体内に入るときは、傷つけないように注意するようだ。だって、新しいベッドだもの。破壊して寝心地悪くしたくないよね。
だけど目覚めたら、もうそのベッドに用がなくなったら、体内から突き破って出てくるんだ。当然、そんなことをされたらベッドは、つまり私は死ぬ。
「あのー、〈倦怠艶女〉さん? 〈倦怠艶女〉さん?」
いや、無事に取り出す方法を思いつくまで、へたに起こさないほうがいい。さっきの〈倦怠艶女〉の言葉が本当なら、いままで2千年は眠っていたらしい。今回も、長い昼寝かもしれない。それこそ私の寿命が尽きるまで(まてまて。それだと998階をいつまで経っても攻略できないじゃないか)。
そこまで考えて、私はある可能性に行き当たる。【覇王魔窟】のルールとして、魔物は自分の担当する階より外には出られない。200階が998階になっていたのは階層のランダム化であり、〈倦怠艶女〉が違反したわけではない。
ここで私が、この階より外へ、【覇王魔窟】外へと出たならば、〈倦怠艶女〉だけはこの階に残るのでは?
試してみよう。〈緊急脱出トンカチ〉で自分の頭を叩き、【覇王魔窟】の外へ空間転移で出る。
晴天のもと、深呼吸。
そして、体内から気持ちよさそうな寝息を聞く。〈倦怠艶女〉さんの寝息を。
あー、〈攻略不可能体〉と思われる998階の魔物を、外の世界に連れて来ちゃった。はっはっはっ。
「困ったなぁ」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
追放された俺の木工スキルが実は最強だった件 ~森で拾ったエルフ姉妹のために、今日も快適な家具を作ります~
☆ほしい
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺は、異世界の伯爵家の三男・ルークとして生を受けた。
しかし、五歳で授かったスキルは「創造(木工)」。戦闘にも魔法にも役立たない外れスキルだと蔑まれ、俺はあっさりと家を追い出されてしまう。
前世でDIYが趣味だった俺にとっては、むしろ願ってもない展開だ。
貴族のしがらみから解放され、自由な職人ライフを送ろうと決意した矢先、大森林の中で衰弱しきった幼いエルフの姉妹を発見し、保護することに。
言葉もおぼつかない二人、リリアとルナのために、俺はスキルを駆使して一夜で快適なログハウスを建て、温かいベッドと楽しいおもちゃを作り与える。
これは、不遇スキルとされた木工技術で最強の職人になった俺が、可愛すぎる義理の娘たちとのんびり暮らす、ほのぼの異世界ライフ。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる