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65,国取り疑惑。
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ラザ帝国に向けて出立。
メンバーは、私、ミリカさん、ベロニカさん。
さて。我々の大陸、いや現世界において最大の国家こそが、ラザ帝国。
ということくらいは、私でさえも知っている。アーテル王国にとっても、ラザ帝国がお隣さんというのは、実に心臓の悪い日々だった。
だがいまの女帝さんになってからは、こちらに好条件で平和条約が結ばれるなど、アーテル国としては良い風向きとなっている。
なぜか知らないが、女帝オーロラさんは、アーテル国が好きなのだそうだ。ふむ。確かに土壌はいいけど(そういうのは侵略する理由になりそうだけどね)。
いずれにせよ、別に女帝さんのことなどはどうでも良い。
その女帝さんが、まだ19歳で見目麗しいという話を聞いても、今の私は『じゃ、せっかくだから一目見ていこう』とはならないのだ。
私には大いなる目標がある。セシリアちゃんとの同性婚を可能にするという。
その目標達成から逆算していくと、まずは聖ルーン騎士団と『お友達』になる。手段としては、手っ取り早く収穫するしかない。
それが無理ならば、ローズ教そのものと『お友達』になる。手段としては、手っ取り早く収穫するしかない。
それが無理ならば、ラザ帝国そのものと『お友達』になる。手段としては、手っ取り早く収穫するしかない。
という計画を、その夜、野営しながらミリカさんとベロニカさんに話した。
すると、ミリカさんは嘔吐し、ベロニカさんは両手で顔をおおって泣き出す始末。どうしたのだろう。夕飯のシチューの具材にキノコを入れたけど、毒だった? 私は『耐毒体質Lv.1』があるからなぁ。
その夜。ぐっすり眠っていると、ミリカさんとベロニカさんに揺り起こされる。二人は、いつになく真剣な様子。そして深刻であり、絶望しているようでもある。
まずミリカさんが口を開いた。
「アリアさん。先ほどは、ショックのあまり食事中に嘔吐してしまい、申し訳なかった」
「いえ、ショックで吐いたんですね」
するとベロニカさんも告白。
「アリア。あたしも、ショックのあまり泣き出しちゃって、空気を悪くしてごめんなさい」
「ベロニカさんもショックだったんですね。しかし、なにがそれほど動揺させたんですか?」
ここでベロニカさんが、なにか気持ちの塊を吐き出すようにして叫んだ。
「アリア! きみがね、きみが──現世界において最大国家であるラザ帝国を乗っ取る話をしたから!だから、あたしたちはショックのあまり一瞬、心が病んだのっ!」
驚いた。一体、どうしたらそんな誤解を生むことに?
「乗っ取る? そんな大層なことは考えていませんよ。いいですか。私はただ、『お友達』になるだけです」
ミリカさんまで、謎の切迫感を発散しながら言ってきた。
「その方法! その方法が、問題なんだアリアさん! 収穫って──収穫って、どういうことだ! いったいアリアさん、あなたは何を収穫するつもりだ!」
ベロニカさんが重苦しい調子で、
「アリア。あなたの強化武器、武装Lv.1102とかいう、異次元に突入しちゃっているんでしょ? あのね。あたしが知る限り、武装Lv.999さえもいった者は、歴史上いないよ。
あの英雄王ジョンだって、最高で武装Lv.は656だったという。その状態で、英雄王ジョンは単身で複数の国を侵略した。もう500年も昔の歴史だけれど。
つまりだね、アリア。きみは、やろうと思えば、もうできる。たぶん、ラザ帝国さえも制圧することが、できる。たった独りで。きみのソロプレイは、そこまで来てしまった。なぜかは分からないけれど、きみは呆気なく、人間の限界を超えてしまった」
『人間の限界を超えた』? ある意味では、魔物化しているから間違ってはいないけれども。それでもやはり、私の素直な感想としては。
「またまたぁ~。私、【覇王魔窟】199階までしか上がっていませんよ。そりゃあ、199階まで行ったときは、まだ武装Lv.241でしたけども。
……私は、別にラザ帝国で地獄絵図を描いたりはしません。何を勘違いしているのか知りませんが、『お友達』になるための収穫というのは──もののたとえです。農家は、こういう言い方をするんですよ。とにかくポジティブなことは全て、『収穫』というんです」
ベロニカさん、疑わしそうだ。
「……あたしが、ロクウとかいう男から聞いた話だと──『収穫』と称して首チョンパ祭典を開催していた、とか。ちなみにロクウとやらは、目をきらきら輝かせていたよアリアちゃん」
これでは埒があかない。明日にはラザ帝国に入り、聖都に入るだろう。そこで私は、証明してみせよう。私のいう『収穫』というものが、どこまで平和的であり、人を傷つけないものなのかを。帝国を乗っ取るなんて、どうしたらそんな退屈な話にうつってしまうのか。
「お二人とも、もう寝ますよ。明日は、早起きして出発しますからねっっ!!」
ミリカさんとベロニカさんが顔をみあわせる。このとき、はじめて二人に、ちょっとだけ友情めいたものが芽生えたようだ。つまり、『アリアを見張れるのは自分たちだけだ』という絆が。
うーん、失敬な。
メンバーは、私、ミリカさん、ベロニカさん。
さて。我々の大陸、いや現世界において最大の国家こそが、ラザ帝国。
ということくらいは、私でさえも知っている。アーテル王国にとっても、ラザ帝国がお隣さんというのは、実に心臓の悪い日々だった。
だがいまの女帝さんになってからは、こちらに好条件で平和条約が結ばれるなど、アーテル国としては良い風向きとなっている。
なぜか知らないが、女帝オーロラさんは、アーテル国が好きなのだそうだ。ふむ。確かに土壌はいいけど(そういうのは侵略する理由になりそうだけどね)。
いずれにせよ、別に女帝さんのことなどはどうでも良い。
その女帝さんが、まだ19歳で見目麗しいという話を聞いても、今の私は『じゃ、せっかくだから一目見ていこう』とはならないのだ。
私には大いなる目標がある。セシリアちゃんとの同性婚を可能にするという。
その目標達成から逆算していくと、まずは聖ルーン騎士団と『お友達』になる。手段としては、手っ取り早く収穫するしかない。
それが無理ならば、ローズ教そのものと『お友達』になる。手段としては、手っ取り早く収穫するしかない。
それが無理ならば、ラザ帝国そのものと『お友達』になる。手段としては、手っ取り早く収穫するしかない。
という計画を、その夜、野営しながらミリカさんとベロニカさんに話した。
すると、ミリカさんは嘔吐し、ベロニカさんは両手で顔をおおって泣き出す始末。どうしたのだろう。夕飯のシチューの具材にキノコを入れたけど、毒だった? 私は『耐毒体質Lv.1』があるからなぁ。
その夜。ぐっすり眠っていると、ミリカさんとベロニカさんに揺り起こされる。二人は、いつになく真剣な様子。そして深刻であり、絶望しているようでもある。
まずミリカさんが口を開いた。
「アリアさん。先ほどは、ショックのあまり食事中に嘔吐してしまい、申し訳なかった」
「いえ、ショックで吐いたんですね」
するとベロニカさんも告白。
「アリア。あたしも、ショックのあまり泣き出しちゃって、空気を悪くしてごめんなさい」
「ベロニカさんもショックだったんですね。しかし、なにがそれほど動揺させたんですか?」
ここでベロニカさんが、なにか気持ちの塊を吐き出すようにして叫んだ。
「アリア! きみがね、きみが──現世界において最大国家であるラザ帝国を乗っ取る話をしたから!だから、あたしたちはショックのあまり一瞬、心が病んだのっ!」
驚いた。一体、どうしたらそんな誤解を生むことに?
「乗っ取る? そんな大層なことは考えていませんよ。いいですか。私はただ、『お友達』になるだけです」
ミリカさんまで、謎の切迫感を発散しながら言ってきた。
「その方法! その方法が、問題なんだアリアさん! 収穫って──収穫って、どういうことだ! いったいアリアさん、あなたは何を収穫するつもりだ!」
ベロニカさんが重苦しい調子で、
「アリア。あなたの強化武器、武装Lv.1102とかいう、異次元に突入しちゃっているんでしょ? あのね。あたしが知る限り、武装Lv.999さえもいった者は、歴史上いないよ。
あの英雄王ジョンだって、最高で武装Lv.は656だったという。その状態で、英雄王ジョンは単身で複数の国を侵略した。もう500年も昔の歴史だけれど。
つまりだね、アリア。きみは、やろうと思えば、もうできる。たぶん、ラザ帝国さえも制圧することが、できる。たった独りで。きみのソロプレイは、そこまで来てしまった。なぜかは分からないけれど、きみは呆気なく、人間の限界を超えてしまった」
『人間の限界を超えた』? ある意味では、魔物化しているから間違ってはいないけれども。それでもやはり、私の素直な感想としては。
「またまたぁ~。私、【覇王魔窟】199階までしか上がっていませんよ。そりゃあ、199階まで行ったときは、まだ武装Lv.241でしたけども。
……私は、別にラザ帝国で地獄絵図を描いたりはしません。何を勘違いしているのか知りませんが、『お友達』になるための収穫というのは──もののたとえです。農家は、こういう言い方をするんですよ。とにかくポジティブなことは全て、『収穫』というんです」
ベロニカさん、疑わしそうだ。
「……あたしが、ロクウとかいう男から聞いた話だと──『収穫』と称して首チョンパ祭典を開催していた、とか。ちなみにロクウとやらは、目をきらきら輝かせていたよアリアちゃん」
これでは埒があかない。明日にはラザ帝国に入り、聖都に入るだろう。そこで私は、証明してみせよう。私のいう『収穫』というものが、どこまで平和的であり、人を傷つけないものなのかを。帝国を乗っ取るなんて、どうしたらそんな退屈な話にうつってしまうのか。
「お二人とも、もう寝ますよ。明日は、早起きして出発しますからねっっ!!」
ミリカさんとベロニカさんが顔をみあわせる。このとき、はじめて二人に、ちょっとだけ友情めいたものが芽生えたようだ。つまり、『アリアを見張れるのは自分たちだけだ』という絆が。
うーん、失敬な。
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