農家の娘さん、〖百合結婚できないバグ〗解消のためコツコツ努力していたら、人類最強になっていた。

狭間こやた

文字の大きさ
118 / 119

118,〈赤鎧龍(レッドドラゴン)〉

しおりを挟む
 縛りプレイでいこう。

 今回のバトルでは、《耕作:熟練者》は使わない。『鬼強』枠を、《耕作:熟練者》なしで撃破するのだ。よーし、いこう。



「ミィちゃんは、そこで待機ですよ」



《結界α》で、ミィちゃんの身体を包む。

《結界α》とは反転領域。一定内の物理攻撃または魔法攻撃ならば反転領域によって確実に跳ね返す。《結界α》の唯一の難点は、バトル中に発動すると、そのバトルが終了するまで解除できず、解除されないと外には出られないこと。

 ようは《結界α》に守られることは、ひとまずの戦力外追放。まぁこの相手では、そうなるわけだ。



 私は魔改造鍬〈スーパーコンボ〉にまたがり、上昇。しかし空中戦というのは、やりにくい。こちらは《操縦》で飛行できるとはいえ、飛行しながら打撃スキルは使えないので、いったん《操縦》を解除し、自由落下状態にならねばならない。ようはそのとき無抵抗状態なので(防御スキルは発動されるけど)、かなり戦いにくくなる。

 だからといって、〈赤鎧龍レッドドラゴン〉さんに降りてきてください、とは頼めないので、地道にやろう。

 ひとつの手としては、1秒未満で《操縦》解除→打撃スキルまたは射程スキル発動→《操縦》再開を繰り返す。

 とにかく解除タイムを短く刻むことだ。



 一方の〈赤鎧龍レッドドラゴン〉さん。はじめは、私の存在が珍しかったらしく、様子見してきていた。人間が珍しい世界なのだろう。

 だが私が、素材目当てに攻撃を開始すると、『なんだこの虫けらは』という具合に、激しく攻撃してきた。

 いやはや申し訳ないです、私も強化素材目当てで攻撃するとはなんだ、という気もするのだけども。ここは私の糧になってください。



 まず《氷雪豪雨》で、この周囲一帯へと『氷矢』の雨を降らす。ただの氷矢よりは、数十倍の貫通力。まえに黄金を貫いたこともあるので、それなりの威力だろう。

 だが〈赤鎧龍レッドドラゴン〉にはこれというダメージを与えている様子はない。私も、これで致命傷的なものを期待していたのではなく、単に〈赤鎧龍レッドドラゴン〉が嫌がりなそうなことをしておこうということ。

 誰だって、ハエが飛び回っていたら、ストレスがたまるものだ。



 こうして〈赤鎧龍レッドドラゴン〉さんは口をぱかっと開き、《地獄大火》を吐き出す。あたり一帯を焼き払う、どこまでも焼き払う数百万度の火炎──の中、私は《鎧装甲:要塞》で身を守りつつ、〈赤鎧龍レッドドラゴン〉さんの口の中に飛び込む。



 でかい敵は体内から攻撃するに限る。誰だって、胃袋の中で暴れ回られたくはないものだ。ただ私が目指したのは、気管だけども。内部から《地滅嵐打》を連打し、気管を破壊。だが〈赤鎧龍レッドドラゴン〉から吐き出される。



 私は、〈赤鎧龍レッドドラゴン〉の鱗型皮膚を這ってあがり、池のような大きさの眼球へと《桜氷雪打》を叩き込みまくる。

〈赤鎧龍レッドドラゴン〉の表皮から《劫火槍》が飛んできた。誘導式らしく、私に目掛けてやたらと飛んでくる。

 とにかく《鎧装甲:地獄》で身を守りつつ、《桜氷雪打》を眼球へ連打、連打。眼球のくせに、なんでこんなに硬いんだろう。

 だがようやく弾けた、眼球水があふれるなか、私は眼窩へと飛び込む。



 洞窟のような眼窩から、駆け上がる。視神経をつかんで、ロープがわりにし、脳味噌までたどり着く。

 そこで〈スーパーコンボ〉を振り回し、脳破壊、脳破壊、脳破壊、脳破壊、脳破壊、脳破壊、脳破壊、脳破壊、脳破壊。



 とたん脳内から、蛇型の寄生虫が飛び出してきた。とにかく半透明の大蛇みたい。それが大量に出てきて、私にまとわりついてくる。《阿吽竜巻》を全身にまとって、排除。それから〈赤鎧龍レッドドラゴン〉の鼻の穴から外に飛び出る。



〈赤鎧龍レッドドラゴン〉が雄たけびをあげながら空を駆け、隕石のような火炎球を手当たり次第に吐き出しまくる。

 内圧に耐えられなかったのか、頭蓋骨が砕けて、脳味噌が表皮から飛び出る。その状態で大地に突っ込み、地面を抉っていく。このまま土中に逃げようとしているらしい。ドラゴンなのに。



 私は走る。なんか痛いと思ったら、胴体を《劫火槍》が3本突き刺さっているではないか。防御しきれなかったらしい。

 そこから全身へ火炎がまわるので、火だるまになった。火だるまになったけど、ここで〈赤鎧龍レッドドラゴン〉を逃してしまったら、強化素材が得られない。



 強化素材、強化素材、強化素材、強化素材が欲しい。



 思い切り跳躍して、〈赤鎧龍レッドドラゴン〉のむき出しになった脳へと、《地滅嵐打》を叩き込む。

 いきなり〈赤鎧龍レッドドラゴン〉がどうと倒れ、死んだ。



「では、いただきますね」



 私は〈赤鎧龍レッドドラゴン〉さんの強化素材を採取。さっそく〈スーパーコンボ〉へ注ぎ込み、武装Lv.は6958へ上げる。

 今回得たスキルポイントとあわせて、現在スキルポイント貯蓄は756。もう一体、『鬼強』枠の魔物素材を得たらば、目標の1000に到達しそうだ。



「あぁ、内臓が痛いです」



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

追放された俺の木工スキルが実は最強だった件 ~森で拾ったエルフ姉妹のために、今日も快適な家具を作ります~

☆ほしい
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺は、異世界の伯爵家の三男・ルークとして生を受けた。 しかし、五歳で授かったスキルは「創造(木工)」。戦闘にも魔法にも役立たない外れスキルだと蔑まれ、俺はあっさりと家を追い出されてしまう。 前世でDIYが趣味だった俺にとっては、むしろ願ってもない展開だ。 貴族のしがらみから解放され、自由な職人ライフを送ろうと決意した矢先、大森林の中で衰弱しきった幼いエルフの姉妹を発見し、保護することに。 言葉もおぼつかない二人、リリアとルナのために、俺はスキルを駆使して一夜で快適なログハウスを建て、温かいベッドと楽しいおもちゃを作り与える。 これは、不遇スキルとされた木工技術で最強の職人になった俺が、可愛すぎる義理の娘たちとのんびり暮らす、ほのぼの異世界ライフ。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

処理中です...