「リスポーン地点は魔王の城でした。」

師芭

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第1章

Ⅰ―XⅦ

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 女の子が部屋を出てから数分後。
 
 やっと魔王が帰ってきた。
 

 一体、何してたんだか少し心配だったんだけど「迷子になってた!」とめっちゃ笑顔で言われたから、僕の心配は無駄だったようだ。
 
 心配が怒りに変わりそうだったけど。
 
 
 そして僕達は、王様と会う為に兵に案内され豪華絢爛な廊下を歩いている。
 

 「いやぁ、久しぶりに会うからワクワクするなぁ!相棒!」
 
 
 いや僕、会ったこと無いので分からないんですが。それに僕が久しぶりに王様に会えたからとしてワクワクは出来ないです。性格上ね。
 
 
 「この先で国王様がお待ちです」
 
 
 兵士は両開きの大きい扉を開けた。魔王の城にあった扉よりは大きくないけど、それでも十分僕の身長を凌駕している。
 

 魔王は角があるお陰でギリギリ入れるくらいだけど。
 
 
 「入るぞ、相棒」
 
 
 魔王に急かされ、僕は呆然と入り口の高さを見上げるのをやめた。そして頷く。
 緊張なんてもう知らない。どうにでもなれと投げやりになっている。
 

 高級そうな赤いカーペットの上を歩く。魔王がどんどん歩いてってくれるので、僕としては非常に心強い。
 
 
 「ん?」
 
 
 突然、魔王が止まった。あまりに急だったから鼻っ柱を魔王の背中にぶつける。
 
 
 「いたっ!?…急に止まらないでよ…」
 
 
 一体、どうしたというんだろう。
 
 
 「王が玉座に居ないがどういう事だ!!」
 
 「うぇっ!?」
 
 
 魔王は突然、声を張り上げた。その声に驚き、思わず間抜けな声を発してしまう。
 

  ……王が玉座にいない…?
 
 
 じゃあ僕達は一体、何しにここに来たん―――
 

 「煩い!…ちゃんとここにおるわ」
 
 
 何だかどこかで聞いたことのある可愛いらしい声が、空間に響いた。
 
 
 「何で姿を現さぬのだ!?」
 
 
 でも、声の主が誰なのかは分からない。
 
 
 「勿体ぶったほうが面白いであろう?」
 
 
 …急に背後で声がした。
 
 
 「うわぁ!?」
 
 
 驚きすぎて思わず、その場で尻もちをついてしまう。
 

 目の前には、金髪の女の子がいた。僕を見下ろしている眼は青緑色に輝いている。
 
 
 「な?面白いであろう?」
 
 
 そう言ってニッと笑う少女。僕はその顔に見覚えがある。この子は……
 
 
 「我が相棒が驚いているではないか。相変わらず悪戯好きだな女王よ」
 
 
 ジトッとした目で女の子を見る魔王。
 
 
 
 
 ………………え?
 
 
 じゃあ………もしかして。
 
 
 もしかして、この女の子が…
 
 
 
 「驚かせてすまなかったな。わらわが、この国の女王で名はクレア・シュッツガルト・G・シュロースだ」
 
 
 
 宜しく頼む!と言い微笑む金髪の少女。
 
 僕は彼女の無駄に長い名前は当然、彼女がこの国の女王様だという事もまだ理解出来ずにいた。

 
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