65 / 83
第2章『黙した傷の在処、語らぬ想い』
31.ALIAの幻影-2
しおりを挟む
(ところで、またジュリーさんの名前が出たな……)
——ジュリー。
気を抜くと出てくるし、気を抜かなくても出てくる名前。
これはもう、2人の会話の内容からして消えた片割れ、ALICEの正体がジュリーで間違いないだろう。
(でも、2人揃って病んでない限りはジュリーさん生存確定だね。良かった良かった……って、良くない!
“元”カノじゃなくて“現”カノの可能性出てきた!!)
影の中でロゼッタは首を横に振るう。
あまりにも不謹慎だが、それは嫌だと思ってしまった。
「あれ? なんで、嫌なんだろ……って!?」
困惑がうっかり、口に出てしまった。
ポルターガイストだと騒がれても困るため、ロゼッタは慌てて口を塞ぐ。
ラザラスは気づいていないが、アンジェリアが気づいてしまった。
『あの……ロゼッタ? ちょっと、良い?』
そもそも、本音がダダ漏れだったのだろうか。
困惑した様子でアンジェリアがロゼッタのみに狙いを定め、思念を飛ばしてきた。
『き、気にしないでください……』
『いや、あの、流石に気になりすぎちゃって。盛大な勘違いしてそうだなって』
『勘違い?』
少し間が空いてから、アンジェリアの思念が飛んできた。
『もしかしなくても、ラズの現カノがジュリーだと思ってる?』
もはやとんでもない勢いで、万物が漏れていた。
流石に恥ずかしくなりながら、ロゼッタは観念して口を開く。
『お、思って、ます……ボーイッシュな感じで、すごく可愛い竜人さんですよね。
ラズさんの部屋に写真がありました。それにはアンジェさんも写ってましたけど……』
「……ッ!!!」
「どうした!? どうした、アンジェ!!」
『そうよね、ジュリーってかなりの童顔だもの……!
しかも“ジュリー”しか呼び名知らないんじゃ、誤解しちゃうのも無理はないわね……っ』
アンジェリアが、急に声もなく笑い始めた。
ラザラス視点だと非常に怖いことになっているのだが、ロゼッタは理解している。
周囲の目を気にする彼女を派手に笑わせてしまうレベルで、自分は“何か”を間違えたらしい、と。
(わ、わたし……! そんな変なこと言った!?)
とりあえず、理由を問うことにする。
『なんですか!? なんでそんなに笑うんですか!?』
『そうね……もしかしなくても、ロゼッタは私たち、ALIAのことはあまり知らないのよね?』
『そうですね。申し訳ないのですが……ただ、流石にあなたの歌声と、アリスさんって言う男性の相方がいるってことくらいは……って、あぁっ!?』
『あっ、気づいた? やっと気づいたの?』
くすくすと笑い、アンジェリアは紅茶を飲み干した。
情報はたくさん出ていた。なのに、どうして気づかなかったのだろう。もはや“ボーイッシュ”とか、そういう問題ではない!
アンジェリアは笑いながら、2人に思念を飛ばす。
『ねえ、ラズ。ロゼッタなんだけどね。あなたがジュリージュリー言うから、無駄に嫉妬してたわよ。ジュリーの見た目が悪いような気もするけれど』
「えっ、いや、俺、彼女も彼氏もいないって言ったのに……あとそれジュリー泣くぞ」
『あなたの外見でそれはなかなか信じられないものよ。それと、本人いないから言ってるのよ。見た目が幼いの、それなりに気にしてるみたいだし。
しかも成人してもあまり変わらなかったから、成長期が遅いってわけじゃ無かったみたいだし……ふふっ』
流石に恥ずかしいからやめて欲しい!!
そんなことを考えていると、アンジェリアは空になったカップを起き、スマートフォンを取り出した。
『ロゼッタ、『感覚共有』は使える?』
『視界とか聴覚とかリンクさせる奴ですよね? 使えます……あ、そうだ。
次の放送の時、アンジェさんの視界をラズさんにリンクさせれば……!』
『な、なるほど、その手が……じゃなくて。私の視界、繋いでみて』
そう言われ、遠慮なく感覚共有を使ってみる。彼女が持つスマートフォンの待受画面に設定されていたのは、とにかく幸せそうな、微笑ましくなるようなツーショット写真だった。
アンジェリアの髪の長さからして、撮影日は今から3年くらい前だろうか。
そんな彼女の隣にいたのは、ラザラスの部屋にあった写真と同じ人物だ。
(この人……)
アンジェリアは、再びロゼッタにだけ照準を絞り、思念を送ってきた。
『ジュリーの本名は『ジュリアス・グレイ』。ジュリアスって言えば分かると思うけど、男の子よ。あと……ラズにジュリーを譲る気はないから』
それは、ふたりが「勇気を出して撮って貰いました」感が満載の写真だった。
女の子2人に見えなくもないのだが、手の骨格等をよく見ればジュリアスは男性だと分かる……よく見なければ分からないのが、若干問題なのだが。
(えー……可愛い……)
微妙に抱き寄せられているアンジェリアも若干照れているのだが、抱き寄せている側、ジュリアスが非常に恥ずかしそうにしている。
客観的に見ても、彼はアンジェリアを意識しまくっている。可愛い。
ロゼッタは思わず、アンジェリアに問いかけた。
『か、カップルさん、ですか?』
『私視点だと、両片想いって奴』
『なるほど、ジュリーさんの思念がダダ漏れなんだ……』
『そうね。たまーに物凄く気まずいことになったわね。この写真撮ってもらった時も凄かったわ……懐かしいな……』
楽しそうに思い出語りをしてくれるアンジェリアだが、何だか寂しそうである。
それも無理はない。
今、ここにジュリアスはいない。
それには深刻な事情が絡むことを、既にあらゆる情報を入手しているロゼッタが、理解できないはずが無かった。
(生きてはいるけど……って感じ、だね。間違いなく)
ジュリアスは、とんでもなく珍しい種族だ。
ゆえに、ドラグゼンに狙われたのだろう。彼は毒を投与され、何らかの事情で芸能活動を続けることができなくなってしまった。
恐らく、事が起こったのは3年前。
ラザラスはアリスが不在となったALIAを、アンジェリアを守るために芸能界に、そしてジュリアスの仇討ちを願い、裏社会に飛び込んだのだ。
後者についてアンジェリアが何も言わないのは、彼がその道を選んだ理由が痛いほどに分かっているからだろう。
彼女自身に、戦う力があれば。
アンジェリアもまた、道を踏み外していたのかもしれない。
(会って、話してみたかったんだけど、な)
ジュリアスは、自分と同じ宝竜祖の青年は、生きている。
しかし、その状況はあまりも絶望的だった。
(こんなに……愛されてる人だったのに)
同じ種族で、同じ毒を投与されたというのに。
ロゼッタとジュリアスのその後は大きく異なっていた。
ステフィリオンに助けてもらったことは、それ自体は、心の底から感謝している。
けれど、ジュリアスが深く愛されていることをこれでもかと思い知らされただけに……無性に、申し訳なく思えてしまった。
(わたしとジュリーさん。立場が逆だったら……良かったのに。その方が、きっと……)
気分が、沈む。
だが、これは考えてもどうにもならないことだ。
頭を振るい、ロゼッタは顔を上げる。
(ん……?)
ロゼッタの視界に、椅子に腰掛けたまま、アンジェリアが握りしめていた空のカップを取り上げるラザラスの姿が映った。
驚き、アンジェリアは「えっ」と声を漏らす。ラザラスは窓の方に視線を向け、口を開く。
「アンジェ、逃げろ。カップは俺が片づけとくから、このまま撤収しろ」
「えっ? え……?」
「その、“破天荒おじさん”がこっちに来てる。あの動きは確実に俺狙いだ……悪い、俺が目立つ容姿になってたばっかりに……!」
(……は?)
当たり前のように、謎の単語が出てきた。
破天荒おじさんって、なんだ——?
(ん? ええ? ラズさん、幻聴聞いてないよね……?)
それはそれとして、ロゼッタには何も聞こえない。
ラザラスが幻聴を聞いているのかもしれない。
慌てて、ロゼッタは自身に『聴力強化』を掛けた。
(あ……確かに、なんか聞こえる……)
幻聴では、ない。
離れた場所で、確かに誰かがラザラスのことと思しき話をしている。ラザラスは乾いた笑い声を上げた。
「あれ、生放送だとしたら話題に出した人間に逃げられるなんて事故は避けたいだろうし、俺はこのままここにいようと思う。でも、君がテレビに映るのは、まずい……!」
『で、でも、たぶんアレ、恒例の突撃取材よね? あの人のあの番組って、全国区じゃ……』
「もう仕方ないよ。運良く生放送じゃなかったら没にするよう後で働きかけてみるけどさ。
とにかく俺は、あの人に迷惑を掛けるのは……それだけは。絶対に、嫌だ」
事情を理解したアンジェリアはラザラスを心配しつつも、すぐにこの場から離れた。
それを見届けた後、ラザラスは座ったまま、誰にも気づかれないくらいの弱さで、一定のリズムを保ちながら指でテーブルを叩いている。かなり独特な、仕草だった。
「気が変わってくれないかな……んー、こっち来てるな。無理か」
彼はしばらく破天荒おじさん御一行の様子を伺ってから立ち上がり、アンジェリアと自分が使っていたカップを、下膳口に持っていく。
その姿を、癖のある黒髪と少し色のついたサングラスが特徴的な熟年の美丈夫が眺めていた。
「うーん、やっぱり良いねぇ、今日は君に決めたよ!」
マイクを手にした美丈夫は優雅に笑みを浮かべ、ラザラスに声を掛ける。
「ねえ、そこの顔面事故ってる子~! 俺とお話しようよ!」
(うわああああぁ!!)
彼が“破天荒おじさん”と呼ばれている理由が、一瞬で理解できてしまった。
——ジュリー。
気を抜くと出てくるし、気を抜かなくても出てくる名前。
これはもう、2人の会話の内容からして消えた片割れ、ALICEの正体がジュリーで間違いないだろう。
(でも、2人揃って病んでない限りはジュリーさん生存確定だね。良かった良かった……って、良くない!
“元”カノじゃなくて“現”カノの可能性出てきた!!)
影の中でロゼッタは首を横に振るう。
あまりにも不謹慎だが、それは嫌だと思ってしまった。
「あれ? なんで、嫌なんだろ……って!?」
困惑がうっかり、口に出てしまった。
ポルターガイストだと騒がれても困るため、ロゼッタは慌てて口を塞ぐ。
ラザラスは気づいていないが、アンジェリアが気づいてしまった。
『あの……ロゼッタ? ちょっと、良い?』
そもそも、本音がダダ漏れだったのだろうか。
困惑した様子でアンジェリアがロゼッタのみに狙いを定め、思念を飛ばしてきた。
『き、気にしないでください……』
『いや、あの、流石に気になりすぎちゃって。盛大な勘違いしてそうだなって』
『勘違い?』
少し間が空いてから、アンジェリアの思念が飛んできた。
『もしかしなくても、ラズの現カノがジュリーだと思ってる?』
もはやとんでもない勢いで、万物が漏れていた。
流石に恥ずかしくなりながら、ロゼッタは観念して口を開く。
『お、思って、ます……ボーイッシュな感じで、すごく可愛い竜人さんですよね。
ラズさんの部屋に写真がありました。それにはアンジェさんも写ってましたけど……』
「……ッ!!!」
「どうした!? どうした、アンジェ!!」
『そうよね、ジュリーってかなりの童顔だもの……!
しかも“ジュリー”しか呼び名知らないんじゃ、誤解しちゃうのも無理はないわね……っ』
アンジェリアが、急に声もなく笑い始めた。
ラザラス視点だと非常に怖いことになっているのだが、ロゼッタは理解している。
周囲の目を気にする彼女を派手に笑わせてしまうレベルで、自分は“何か”を間違えたらしい、と。
(わ、わたし……! そんな変なこと言った!?)
とりあえず、理由を問うことにする。
『なんですか!? なんでそんなに笑うんですか!?』
『そうね……もしかしなくても、ロゼッタは私たち、ALIAのことはあまり知らないのよね?』
『そうですね。申し訳ないのですが……ただ、流石にあなたの歌声と、アリスさんって言う男性の相方がいるってことくらいは……って、あぁっ!?』
『あっ、気づいた? やっと気づいたの?』
くすくすと笑い、アンジェリアは紅茶を飲み干した。
情報はたくさん出ていた。なのに、どうして気づかなかったのだろう。もはや“ボーイッシュ”とか、そういう問題ではない!
アンジェリアは笑いながら、2人に思念を飛ばす。
『ねえ、ラズ。ロゼッタなんだけどね。あなたがジュリージュリー言うから、無駄に嫉妬してたわよ。ジュリーの見た目が悪いような気もするけれど』
「えっ、いや、俺、彼女も彼氏もいないって言ったのに……あとそれジュリー泣くぞ」
『あなたの外見でそれはなかなか信じられないものよ。それと、本人いないから言ってるのよ。見た目が幼いの、それなりに気にしてるみたいだし。
しかも成人してもあまり変わらなかったから、成長期が遅いってわけじゃ無かったみたいだし……ふふっ』
流石に恥ずかしいからやめて欲しい!!
そんなことを考えていると、アンジェリアは空になったカップを起き、スマートフォンを取り出した。
『ロゼッタ、『感覚共有』は使える?』
『視界とか聴覚とかリンクさせる奴ですよね? 使えます……あ、そうだ。
次の放送の時、アンジェさんの視界をラズさんにリンクさせれば……!』
『な、なるほど、その手が……じゃなくて。私の視界、繋いでみて』
そう言われ、遠慮なく感覚共有を使ってみる。彼女が持つスマートフォンの待受画面に設定されていたのは、とにかく幸せそうな、微笑ましくなるようなツーショット写真だった。
アンジェリアの髪の長さからして、撮影日は今から3年くらい前だろうか。
そんな彼女の隣にいたのは、ラザラスの部屋にあった写真と同じ人物だ。
(この人……)
アンジェリアは、再びロゼッタにだけ照準を絞り、思念を送ってきた。
『ジュリーの本名は『ジュリアス・グレイ』。ジュリアスって言えば分かると思うけど、男の子よ。あと……ラズにジュリーを譲る気はないから』
それは、ふたりが「勇気を出して撮って貰いました」感が満載の写真だった。
女の子2人に見えなくもないのだが、手の骨格等をよく見ればジュリアスは男性だと分かる……よく見なければ分からないのが、若干問題なのだが。
(えー……可愛い……)
微妙に抱き寄せられているアンジェリアも若干照れているのだが、抱き寄せている側、ジュリアスが非常に恥ずかしそうにしている。
客観的に見ても、彼はアンジェリアを意識しまくっている。可愛い。
ロゼッタは思わず、アンジェリアに問いかけた。
『か、カップルさん、ですか?』
『私視点だと、両片想いって奴』
『なるほど、ジュリーさんの思念がダダ漏れなんだ……』
『そうね。たまーに物凄く気まずいことになったわね。この写真撮ってもらった時も凄かったわ……懐かしいな……』
楽しそうに思い出語りをしてくれるアンジェリアだが、何だか寂しそうである。
それも無理はない。
今、ここにジュリアスはいない。
それには深刻な事情が絡むことを、既にあらゆる情報を入手しているロゼッタが、理解できないはずが無かった。
(生きてはいるけど……って感じ、だね。間違いなく)
ジュリアスは、とんでもなく珍しい種族だ。
ゆえに、ドラグゼンに狙われたのだろう。彼は毒を投与され、何らかの事情で芸能活動を続けることができなくなってしまった。
恐らく、事が起こったのは3年前。
ラザラスはアリスが不在となったALIAを、アンジェリアを守るために芸能界に、そしてジュリアスの仇討ちを願い、裏社会に飛び込んだのだ。
後者についてアンジェリアが何も言わないのは、彼がその道を選んだ理由が痛いほどに分かっているからだろう。
彼女自身に、戦う力があれば。
アンジェリアもまた、道を踏み外していたのかもしれない。
(会って、話してみたかったんだけど、な)
ジュリアスは、自分と同じ宝竜祖の青年は、生きている。
しかし、その状況はあまりも絶望的だった。
(こんなに……愛されてる人だったのに)
同じ種族で、同じ毒を投与されたというのに。
ロゼッタとジュリアスのその後は大きく異なっていた。
ステフィリオンに助けてもらったことは、それ自体は、心の底から感謝している。
けれど、ジュリアスが深く愛されていることをこれでもかと思い知らされただけに……無性に、申し訳なく思えてしまった。
(わたしとジュリーさん。立場が逆だったら……良かったのに。その方が、きっと……)
気分が、沈む。
だが、これは考えてもどうにもならないことだ。
頭を振るい、ロゼッタは顔を上げる。
(ん……?)
ロゼッタの視界に、椅子に腰掛けたまま、アンジェリアが握りしめていた空のカップを取り上げるラザラスの姿が映った。
驚き、アンジェリアは「えっ」と声を漏らす。ラザラスは窓の方に視線を向け、口を開く。
「アンジェ、逃げろ。カップは俺が片づけとくから、このまま撤収しろ」
「えっ? え……?」
「その、“破天荒おじさん”がこっちに来てる。あの動きは確実に俺狙いだ……悪い、俺が目立つ容姿になってたばっかりに……!」
(……は?)
当たり前のように、謎の単語が出てきた。
破天荒おじさんって、なんだ——?
(ん? ええ? ラズさん、幻聴聞いてないよね……?)
それはそれとして、ロゼッタには何も聞こえない。
ラザラスが幻聴を聞いているのかもしれない。
慌てて、ロゼッタは自身に『聴力強化』を掛けた。
(あ……確かに、なんか聞こえる……)
幻聴では、ない。
離れた場所で、確かに誰かがラザラスのことと思しき話をしている。ラザラスは乾いた笑い声を上げた。
「あれ、生放送だとしたら話題に出した人間に逃げられるなんて事故は避けたいだろうし、俺はこのままここにいようと思う。でも、君がテレビに映るのは、まずい……!」
『で、でも、たぶんアレ、恒例の突撃取材よね? あの人のあの番組って、全国区じゃ……』
「もう仕方ないよ。運良く生放送じゃなかったら没にするよう後で働きかけてみるけどさ。
とにかく俺は、あの人に迷惑を掛けるのは……それだけは。絶対に、嫌だ」
事情を理解したアンジェリアはラザラスを心配しつつも、すぐにこの場から離れた。
それを見届けた後、ラザラスは座ったまま、誰にも気づかれないくらいの弱さで、一定のリズムを保ちながら指でテーブルを叩いている。かなり独特な、仕草だった。
「気が変わってくれないかな……んー、こっち来てるな。無理か」
彼はしばらく破天荒おじさん御一行の様子を伺ってから立ち上がり、アンジェリアと自分が使っていたカップを、下膳口に持っていく。
その姿を、癖のある黒髪と少し色のついたサングラスが特徴的な熟年の美丈夫が眺めていた。
「うーん、やっぱり良いねぇ、今日は君に決めたよ!」
マイクを手にした美丈夫は優雅に笑みを浮かべ、ラザラスに声を掛ける。
「ねえ、そこの顔面事故ってる子~! 俺とお話しようよ!」
(うわああああぁ!!)
彼が“破天荒おじさん”と呼ばれている理由が、一瞬で理解できてしまった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】秀才の男装治療師が女性恐怖症のわんこ弟子に溺愛されるまで
禅
恋愛
「神に祈るだけで曖昧にしか治らない。そんなものは治療とは言わない」
男尊女卑が強い国で、女であることを隠し、独自の魔法を使いトップクラスの治療師となり治療をしていたクリス。
ある日、新人のルドがやってきて教育係を押し付けられる。ルドは魔法騎士団のエースだが治療魔法が一切使えない。しかも、女性恐怖症。
それでも治療魔法が使えるようになりたいと懇願するルドに根負けしたクリスは特別な治療魔法を教える。
クリスを男だと思い込み、純粋に師匠として慕ってくるルド。
そんなルドに振り回されるクリス。
こんな二人が無自覚両片思いになり、両思いになるまでの話。
※最初の頃はガチ医療系、徐々に恋愛成分多めになっていきます
※主人公は現代に近い医学知識を使いますが、転生者ではありません
※一部変更&数話追加してます(11/24現在)
※※小説家になろうで完結まで掲載
改稿して投稿していきます
一匹狼と、たったひとりのラナ
揺木しっぽ
恋愛
絶滅危惧種となった「人間」のラナ。 その希少さゆえに、あらゆる種族から欲望の対象として狙われる日々に、彼女は心を擦り減らしていた。
そんな彼女を救ったのは、一人の狼男・リゲル。 他の男たちとは違う、彼の大きくて温かな手に、ラナは初めて希望を抱くが――。
獣の本能と、孤独な少女。 密やかに育まれる、甘く濃密な執着の物語。
※本作には一部、経血に関する執着描写が含まれます。苦手な方はご注意ください。
毎日21時頃、全12話完結まで更新いたします。
俺様上司と複雑な関係〜初恋相手で憧れの先輩〜
せいとも
恋愛
高校時代バスケ部のキャプテンとして活躍する蒼空先輩は、マネージャーだった凛花の初恋相手。
当時の蒼空先輩はモテモテにもかかわらず、クールで女子を寄せ付けないオーラを出していた。
凛花は、先輩に一番近い女子だったが恋に発展することなく先輩は卒業してしまう。
IT企業に就職して恋とは縁がないが充実した毎日を送る凛花の元に、なんと蒼空先輩がヘッドハンティングされて上司としてやってきた。
高校の先輩で、上司で、後から入社の後輩⁇
複雑な関係だが、蒼空は凛花に『はじめまして』と挨拶してきた。
知り合いだと知られたくない?
凛花は傷ついたが割り切って上司として蒼空と接する。
蒼空が凛花と同じ会社で働きだして2年経ったある日、突然ふたりの関係が動き出したのだ。
初恋相手の先輩で上司の複雑な関係のふたりはどうなる?
表紙はイラストAC様よりお借りしております。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる