67 / 83
第2章『黙した傷の在処、語らぬ想い』
32.破天荒おじさん-2
しおりを挟む
そんなこんなでラザラスがおもちゃになっている間に、どこかに行っていたスタッフが息を切らして帰ってきた。
様子を見る限り、お咎め無しだったらしい。オスカーはスタッフと目でやり取りした後、改めてラザラスに向き直る。
「それはさておき……本当ごめん。生放送中なんだけど……」
「分かっています。ユリアさんが映っていなければ大丈夫です。私は目が見えていないので、逃げ遅れてしまっただけです」
ラザラスの言葉を聞き、オスカーは即座に「ユリアさん映ってる?」とカメラ班に確認を取った。カメラ班は即座にそれを否定した。映っているはずがない、という回答だ。
というよりラザラスの反応と、アンジェリアに逃げることを指示したタイミングが完璧だったのだろう——そのことに、大御所オスカーが気づいていないはずが無かった。
「違うでしょ? 俺が君の話してたことに気づいてて、生放送だった場合のこと考えて、放送事故にならないように逃げずにいてくれた……そうでしょ?」
オスカーはラザラスの頭をぐりぐりと撫で、へらへらと笑っていた。鬱陶しいタイプの絡み方だ。流石は破天荒おじさんである。
しかし、対するラザラスは感動しているのか、若干泣きそうだった……先程の「大好きです」と「大ファンです」は社交辞令ではなく、ラザラスは本当に俳優オスカーのファンなのだろう。憧れの人に感謝されて、嬉しくないはずがない。
「え、ええと……ッ、う……」
「ああもう完全にキャラ崩壊だねぇ。君ね、もうこっちで売り出そうよ。この余裕の“よ”の字も無い感じ、“色んな方面”にウケそうだわ」
ラザラスはどちらかというと冷静沈着なタイプのため、極めて珍しい姿を公に晒してしまっていることとなる。
そんな姿を見て、ロゼッタが平常心を保てるわけがない。オスカーへの嫉妬心はどこかに飛び去った。むしろ、感謝しかなかった。
(ラズさん可愛い……っ!!!)
ロゼッタは胸を押さえ、心の内から湧き出てくる感情を口に出さないよう、必死に耐えている。
これだけ見ると完全に『何かの心臓発作を起こした人』でしかないのだが、残念ながら誰の目にも見えていないために通報的な意味ではセーフである——そして間違いなく、今の彼女はオスカーが想定した“色んな方面”のうちの1人だ。
そんなことはつゆ知らず、ロゼッタは何かの心臓発作を起こした人状態のまま、影の外を見続ける。
「その……まあ、どちらにせよ、今の私はほとんど顔が見えていないので大丈夫ですよ。せいぜい“金髪のデカいの”って認識されるだけでしょう」
「いや、リアンくんね……君、どう見てもグランディディエ人じゃなくてアズラ人ですーって容姿だから、申し訳ないけど今後はパパラッチに気をつけて?」
そういえば、とロゼッタは考える。
ラザラスは国籍こそグランディディエ連邦だが、アズラ人のスピネル人のハーフだ。しかも外見に関してはアズラ人、よりによって竜人族の血が濃く発現してしまったタイプだ。
(ラズさんも言ってたけど……本当に変な国籍の取り方、したんだろうな……)
そもそも、彼からまともに“家族”の話を聞いたことがない。
誰も何も言わないが、だからこそ、触れられない——ロゼッタがそんなことを考えていると、オスカーがまじまじとラザラスの顔を覗き込んでいた。
「あー、素顔、気になるなぁ。包帯、取ってくんない?」
「それこそ放送事故だと思います。お茶の間にグロ画像が流れます」
「大丈夫大丈夫、俺の最新作もグロかったし」
「あれはそもそもR-18作品だからOKなのであって……」
「はははは、そうだなぁ……あっ、オスカー・ドレイク主演作『チェックメイト』、現在全国の映画館にて放映中でーす」
「オスカーさん演じる警部ロナウド……熱く頼りがいのある彼が、自らの執念で犯人を追い続ける姿。本当に、胸が熱くなります。
18歳以上の方は、是非劇場へ。ディズリー先生が手掛けた原作の魅力も、全面に出ていますよ」
——誰が映画の宣伝をしろと!?
目撃者全員が、流れるような宣伝に衝撃を受ける。
勿論、打ち合わせは一切していない。当然ながら台本もない。綺麗に噛み合っているだけである。
「俺のファンも一押しの作品になってるみたいね。てか原作も読んでるんだ?」
「そのー……ディズリー先生の小説が好きで……」
「要は大好きな人がコラボしちゃったのね! そりゃ見てるわな!!」
「……。公開初日に行きました」
「あっはっはっは!」
ロゼッタは振り回されっぱなしだというのに、何故か心の底から嬉しそうなラザラスを「可愛いなぁ」と眺める。大ファンなら仕方ない……が、少しだけ寂しくもあった。
(ラズさんがこんなにも“誰か”を純粋に慕ってるの、あんまり見たことないや……ちょっと、羨ましいな)
影の向こう側では、相変わらずラザラスがオスカーに絡まれに絡まれていた。
そうこうしているうちに、2人の前にいる番組スタッフが、何やらスケッチブックを必死に振り回している。
すかさずロゼッタは識読を使い、内容を確認する。
どうやら、撮影時間が押しているようだ。
それを見て、オスカーはヘラリと笑った。
「ん? ああ、楽しくってね。ごめんごめん……そうだ、これ」
オスカーはカメラ係にそっとメモを渡してから、ラザラスの頭を撫でて手を振るう。
「君さ、演じてる時より……今の方がずっと良い顔してるよ」
「~~っ!」
もはや、ファンサービスだった。
そろそろラザラスが倒れるんじゃないかと本気で心配になった。
「じゃーねー、リアンくん。また会おうか~」
ラザラスは、気合と根性で穏やかな笑みを浮かべる。
「ふふ、是非お会いしたいです……それでは、お気を付けて」
そしてオスカーは次のターゲットを探しに行った。
破天荒おじさんは、突然嵐のようにやって来たかと思いきや、好き勝手喋って嵐のように去っていった。
「……」
ラザラスはフラフラと近くにあった椅子に腰掛け、自身の髪をくしゃりと掴んだ。
「はああぁあ……」
ため息が深過ぎる。流石に気疲れしたのだろう。
相手は大御所で、しかも生放送だったのだ。ロゼッタは「お疲れ様でした」とテレパシーを送ろうとした……が、
「オスカーさん、かっっっこいいなあぁ……!!」
(ほんっっっと大ファンじゃないですか!!!!)
違った。
疲れたんじゃなくて、余韻に浸ってた。
これまた普段は見られない、可愛いらしい姿である。
彼がALIAのファンだったことは既に知っているが、好きな俳優がいたことは知らなかった。
とはいえ、元々俳優志望なら好きな俳優のひとりやふたりいるだろう。ロゼッタの中のラザラス辞典が潤った。
(でも、確かにラズさんって素の方が好かれそうなんだよなぁ。この感じ、そのまま出せば良いのに……)
確かに放送中のラザラスは、『リアンという架空の人間を演じている』と言った方がしっくりくるような振る舞いをしている。その喋り方の癖は、どこかオスカーに近いような気がした。
そして彼は大好きな俳優、オスカーの役を真似ることで自分自身を隠していた……という事実が、全国区で流れてしまったわけだ。大事故である。
(んー……んんー……視聴者層、被ってるのかなぁ? どうなんだろ……?)
放送を見ていて、さらにALIAの番組も見ている視聴者がどれだけいるかは分からないが、これはリアンの認識が変わりかねない出来事だということは、ロゼッタでも理解できた。
せめて良い方向に変われば良いんだけど、と願っていると——ふいに厨房の方で、ガタンと物音がした。
「!?」
慌ててそちらに視線を向ければ、カメラマンとオスカーの姿がそこにはあった。
どうやら、隠し撮りされていたようだ。オスカーは親指を立て、満面の笑みを浮かべて叫ぶ。
「リアンくん、良いねええぇ!! 君、マジで最高だわ!! やっぱ君、キャラ作んない方が良いよー!!」
「うわあああぁぁ!?!?」
(公開処刑だあああぁああ!!!)
——オスカー・ドレイクの突撃社員食堂
この番組は本来、俳優オスカーが食堂で暇そうにしている番組ディレクターなど、“裏方の”方々に突撃して弄り倒し、裏事情が透けるレベルで際どい番組告知をさせるという、悪ふざけ系ぶっとび番組である。
常に報道事故の危機に怯え、胃を溶かしているスタッフが放送中も手放さない携帯端末には、放送局関係者及び各事務所の電話番号が入っている。
今回のように、放送中にスタッフが謝罪電話を掛けに出走するのも割と恒例行事だ。
残念すぎることに、実際の放送には『スタッフ出走中』という事前準備されたテロップが入るくらいには、恒例行事だ——むしろ、これがこの番組の醍醐味である。
だが本日の突撃社員食堂は「うっかり顔出しNGタレントの容姿を公開した挙句、そのタレントを公開処刑する」という、普段とはまるで方向性の違う放送事故を炸裂させてしまった。
結果、しばらくの間はリアンに関する検索件数が異常値を叩き出した上に、動画投稿サイトにこの放送の無断転載が相次いだ。
これにはネットに好き放題書かれた過去を持つラザラスの精神状態がかなり危ぶまれたが、顔面が事故っていたおかげで髪色と肌の色が珍しいことくらいしか分からず、身バレは一切せずに済んだ。本当に、ギリギリセーフだった。
そしてラザラスの関係者は何故か、彼の顔面を事故らせたギルバートに感謝する珍事件が発生した。間違いなくギルバートはとんでもなく困惑したことだろう。
さらに言えば、ビデオオンデマンドサービスでは『神託の姫君』の再生数が異常値を叩き出した。“隠れた名作”と名高い作品がリアンのせいで20年の時を越えてバズってしまった。“隠れてない名作”と化した。
あと『チェックメイト』も当たり前のように観客動員数が伸びた。
致命的な事件は、起きずに済んだ。
何なら巡り巡って、ちょっと経済効果が出た。
しかし後に、番組スタッフはこう語ったという。
『もう胃は存在しないものだと思った』
……と。
様子を見る限り、お咎め無しだったらしい。オスカーはスタッフと目でやり取りした後、改めてラザラスに向き直る。
「それはさておき……本当ごめん。生放送中なんだけど……」
「分かっています。ユリアさんが映っていなければ大丈夫です。私は目が見えていないので、逃げ遅れてしまっただけです」
ラザラスの言葉を聞き、オスカーは即座に「ユリアさん映ってる?」とカメラ班に確認を取った。カメラ班は即座にそれを否定した。映っているはずがない、という回答だ。
というよりラザラスの反応と、アンジェリアに逃げることを指示したタイミングが完璧だったのだろう——そのことに、大御所オスカーが気づいていないはずが無かった。
「違うでしょ? 俺が君の話してたことに気づいてて、生放送だった場合のこと考えて、放送事故にならないように逃げずにいてくれた……そうでしょ?」
オスカーはラザラスの頭をぐりぐりと撫で、へらへらと笑っていた。鬱陶しいタイプの絡み方だ。流石は破天荒おじさんである。
しかし、対するラザラスは感動しているのか、若干泣きそうだった……先程の「大好きです」と「大ファンです」は社交辞令ではなく、ラザラスは本当に俳優オスカーのファンなのだろう。憧れの人に感謝されて、嬉しくないはずがない。
「え、ええと……ッ、う……」
「ああもう完全にキャラ崩壊だねぇ。君ね、もうこっちで売り出そうよ。この余裕の“よ”の字も無い感じ、“色んな方面”にウケそうだわ」
ラザラスはどちらかというと冷静沈着なタイプのため、極めて珍しい姿を公に晒してしまっていることとなる。
そんな姿を見て、ロゼッタが平常心を保てるわけがない。オスカーへの嫉妬心はどこかに飛び去った。むしろ、感謝しかなかった。
(ラズさん可愛い……っ!!!)
ロゼッタは胸を押さえ、心の内から湧き出てくる感情を口に出さないよう、必死に耐えている。
これだけ見ると完全に『何かの心臓発作を起こした人』でしかないのだが、残念ながら誰の目にも見えていないために通報的な意味ではセーフである——そして間違いなく、今の彼女はオスカーが想定した“色んな方面”のうちの1人だ。
そんなことはつゆ知らず、ロゼッタは何かの心臓発作を起こした人状態のまま、影の外を見続ける。
「その……まあ、どちらにせよ、今の私はほとんど顔が見えていないので大丈夫ですよ。せいぜい“金髪のデカいの”って認識されるだけでしょう」
「いや、リアンくんね……君、どう見てもグランディディエ人じゃなくてアズラ人ですーって容姿だから、申し訳ないけど今後はパパラッチに気をつけて?」
そういえば、とロゼッタは考える。
ラザラスは国籍こそグランディディエ連邦だが、アズラ人のスピネル人のハーフだ。しかも外見に関してはアズラ人、よりによって竜人族の血が濃く発現してしまったタイプだ。
(ラズさんも言ってたけど……本当に変な国籍の取り方、したんだろうな……)
そもそも、彼からまともに“家族”の話を聞いたことがない。
誰も何も言わないが、だからこそ、触れられない——ロゼッタがそんなことを考えていると、オスカーがまじまじとラザラスの顔を覗き込んでいた。
「あー、素顔、気になるなぁ。包帯、取ってくんない?」
「それこそ放送事故だと思います。お茶の間にグロ画像が流れます」
「大丈夫大丈夫、俺の最新作もグロかったし」
「あれはそもそもR-18作品だからOKなのであって……」
「はははは、そうだなぁ……あっ、オスカー・ドレイク主演作『チェックメイト』、現在全国の映画館にて放映中でーす」
「オスカーさん演じる警部ロナウド……熱く頼りがいのある彼が、自らの執念で犯人を追い続ける姿。本当に、胸が熱くなります。
18歳以上の方は、是非劇場へ。ディズリー先生が手掛けた原作の魅力も、全面に出ていますよ」
——誰が映画の宣伝をしろと!?
目撃者全員が、流れるような宣伝に衝撃を受ける。
勿論、打ち合わせは一切していない。当然ながら台本もない。綺麗に噛み合っているだけである。
「俺のファンも一押しの作品になってるみたいね。てか原作も読んでるんだ?」
「そのー……ディズリー先生の小説が好きで……」
「要は大好きな人がコラボしちゃったのね! そりゃ見てるわな!!」
「……。公開初日に行きました」
「あっはっはっは!」
ロゼッタは振り回されっぱなしだというのに、何故か心の底から嬉しそうなラザラスを「可愛いなぁ」と眺める。大ファンなら仕方ない……が、少しだけ寂しくもあった。
(ラズさんがこんなにも“誰か”を純粋に慕ってるの、あんまり見たことないや……ちょっと、羨ましいな)
影の向こう側では、相変わらずラザラスがオスカーに絡まれに絡まれていた。
そうこうしているうちに、2人の前にいる番組スタッフが、何やらスケッチブックを必死に振り回している。
すかさずロゼッタは識読を使い、内容を確認する。
どうやら、撮影時間が押しているようだ。
それを見て、オスカーはヘラリと笑った。
「ん? ああ、楽しくってね。ごめんごめん……そうだ、これ」
オスカーはカメラ係にそっとメモを渡してから、ラザラスの頭を撫でて手を振るう。
「君さ、演じてる時より……今の方がずっと良い顔してるよ」
「~~っ!」
もはや、ファンサービスだった。
そろそろラザラスが倒れるんじゃないかと本気で心配になった。
「じゃーねー、リアンくん。また会おうか~」
ラザラスは、気合と根性で穏やかな笑みを浮かべる。
「ふふ、是非お会いしたいです……それでは、お気を付けて」
そしてオスカーは次のターゲットを探しに行った。
破天荒おじさんは、突然嵐のようにやって来たかと思いきや、好き勝手喋って嵐のように去っていった。
「……」
ラザラスはフラフラと近くにあった椅子に腰掛け、自身の髪をくしゃりと掴んだ。
「はああぁあ……」
ため息が深過ぎる。流石に気疲れしたのだろう。
相手は大御所で、しかも生放送だったのだ。ロゼッタは「お疲れ様でした」とテレパシーを送ろうとした……が、
「オスカーさん、かっっっこいいなあぁ……!!」
(ほんっっっと大ファンじゃないですか!!!!)
違った。
疲れたんじゃなくて、余韻に浸ってた。
これまた普段は見られない、可愛いらしい姿である。
彼がALIAのファンだったことは既に知っているが、好きな俳優がいたことは知らなかった。
とはいえ、元々俳優志望なら好きな俳優のひとりやふたりいるだろう。ロゼッタの中のラザラス辞典が潤った。
(でも、確かにラズさんって素の方が好かれそうなんだよなぁ。この感じ、そのまま出せば良いのに……)
確かに放送中のラザラスは、『リアンという架空の人間を演じている』と言った方がしっくりくるような振る舞いをしている。その喋り方の癖は、どこかオスカーに近いような気がした。
そして彼は大好きな俳優、オスカーの役を真似ることで自分自身を隠していた……という事実が、全国区で流れてしまったわけだ。大事故である。
(んー……んんー……視聴者層、被ってるのかなぁ? どうなんだろ……?)
放送を見ていて、さらにALIAの番組も見ている視聴者がどれだけいるかは分からないが、これはリアンの認識が変わりかねない出来事だということは、ロゼッタでも理解できた。
せめて良い方向に変われば良いんだけど、と願っていると——ふいに厨房の方で、ガタンと物音がした。
「!?」
慌ててそちらに視線を向ければ、カメラマンとオスカーの姿がそこにはあった。
どうやら、隠し撮りされていたようだ。オスカーは親指を立て、満面の笑みを浮かべて叫ぶ。
「リアンくん、良いねええぇ!! 君、マジで最高だわ!! やっぱ君、キャラ作んない方が良いよー!!」
「うわあああぁぁ!?!?」
(公開処刑だあああぁああ!!!)
——オスカー・ドレイクの突撃社員食堂
この番組は本来、俳優オスカーが食堂で暇そうにしている番組ディレクターなど、“裏方の”方々に突撃して弄り倒し、裏事情が透けるレベルで際どい番組告知をさせるという、悪ふざけ系ぶっとび番組である。
常に報道事故の危機に怯え、胃を溶かしているスタッフが放送中も手放さない携帯端末には、放送局関係者及び各事務所の電話番号が入っている。
今回のように、放送中にスタッフが謝罪電話を掛けに出走するのも割と恒例行事だ。
残念すぎることに、実際の放送には『スタッフ出走中』という事前準備されたテロップが入るくらいには、恒例行事だ——むしろ、これがこの番組の醍醐味である。
だが本日の突撃社員食堂は「うっかり顔出しNGタレントの容姿を公開した挙句、そのタレントを公開処刑する」という、普段とはまるで方向性の違う放送事故を炸裂させてしまった。
結果、しばらくの間はリアンに関する検索件数が異常値を叩き出した上に、動画投稿サイトにこの放送の無断転載が相次いだ。
これにはネットに好き放題書かれた過去を持つラザラスの精神状態がかなり危ぶまれたが、顔面が事故っていたおかげで髪色と肌の色が珍しいことくらいしか分からず、身バレは一切せずに済んだ。本当に、ギリギリセーフだった。
そしてラザラスの関係者は何故か、彼の顔面を事故らせたギルバートに感謝する珍事件が発生した。間違いなくギルバートはとんでもなく困惑したことだろう。
さらに言えば、ビデオオンデマンドサービスでは『神託の姫君』の再生数が異常値を叩き出した。“隠れた名作”と名高い作品がリアンのせいで20年の時を越えてバズってしまった。“隠れてない名作”と化した。
あと『チェックメイト』も当たり前のように観客動員数が伸びた。
致命的な事件は、起きずに済んだ。
何なら巡り巡って、ちょっと経済効果が出た。
しかし後に、番組スタッフはこう語ったという。
『もう胃は存在しないものだと思った』
……と。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】秀才の男装治療師が女性恐怖症のわんこ弟子に溺愛されるまで
禅
恋愛
「神に祈るだけで曖昧にしか治らない。そんなものは治療とは言わない」
男尊女卑が強い国で、女であることを隠し、独自の魔法を使いトップクラスの治療師となり治療をしていたクリス。
ある日、新人のルドがやってきて教育係を押し付けられる。ルドは魔法騎士団のエースだが治療魔法が一切使えない。しかも、女性恐怖症。
それでも治療魔法が使えるようになりたいと懇願するルドに根負けしたクリスは特別な治療魔法を教える。
クリスを男だと思い込み、純粋に師匠として慕ってくるルド。
そんなルドに振り回されるクリス。
こんな二人が無自覚両片思いになり、両思いになるまでの話。
※最初の頃はガチ医療系、徐々に恋愛成分多めになっていきます
※主人公は現代に近い医学知識を使いますが、転生者ではありません
※一部変更&数話追加してます(11/24現在)
※※小説家になろうで完結まで掲載
改稿して投稿していきます
一匹狼と、たったひとりのラナ
揺木しっぽ
恋愛
絶滅危惧種となった「人間」のラナ。 その希少さゆえに、あらゆる種族から欲望の対象として狙われる日々に、彼女は心を擦り減らしていた。
そんな彼女を救ったのは、一人の狼男・リゲル。 他の男たちとは違う、彼の大きくて温かな手に、ラナは初めて希望を抱くが――。
獣の本能と、孤独な少女。 密やかに育まれる、甘く濃密な執着の物語。
※本作には一部、経血に関する執着描写が含まれます。苦手な方はご注意ください。
毎日21時頃、全12話完結まで更新いたします。
俺様上司と複雑な関係〜初恋相手で憧れの先輩〜
せいとも
恋愛
高校時代バスケ部のキャプテンとして活躍する蒼空先輩は、マネージャーだった凛花の初恋相手。
当時の蒼空先輩はモテモテにもかかわらず、クールで女子を寄せ付けないオーラを出していた。
凛花は、先輩に一番近い女子だったが恋に発展することなく先輩は卒業してしまう。
IT企業に就職して恋とは縁がないが充実した毎日を送る凛花の元に、なんと蒼空先輩がヘッドハンティングされて上司としてやってきた。
高校の先輩で、上司で、後から入社の後輩⁇
複雑な関係だが、蒼空は凛花に『はじめまして』と挨拶してきた。
知り合いだと知られたくない?
凛花は傷ついたが割り切って上司として蒼空と接する。
蒼空が凛花と同じ会社で働きだして2年経ったある日、突然ふたりの関係が動き出したのだ。
初恋相手の先輩で上司の複雑な関係のふたりはどうなる?
表紙はイラストAC様よりお借りしております。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる