Worlds of Fate〜世紀末の戦士は異世界に挑む!〜

そらほし

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第7話 精霊の力

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「心を通わせるってどうやるんだ。俺には精霊なんか見えないぞ」
俺は教師に向かって疑問を投げかける。

「精霊の加護を受けるには心を開き強く目的を望んで、そのために力を使うという事を精霊に伝えるといいよー!」

「強く望む…」

俺は誰よりも強くなりてぇ。それに、滅んでいってる地球の運命も変えたいんだ。

「君は炎の精霊が好みそうな気質をしてるねぇ!えーっと、クラスの中で火の精霊使いが居るだろう!よく観察するといいさ~」

シンヤは周囲を見渡すとドラゴン族の勇者ルークとドラゴン族のフレアが炎を操っていた。

その中でも格段に目立っていたのがルークだ。肩まで長いざんばら髪の金髪に、鋭い獣の様な瞳。彼は学問でも実技でも優秀である。

シンヤがルークに近づくとルークは明らかに嫌そうな顔で追い払う。

「……俺に近よるな」

「なんだよいきなり」

「修行の邪魔だ」

ルークの鋭い瞳孔がギラリと光る。それを見かけてユージーンが止めに入った。

「まあまあ。他にも居るじゃないか、ほらあそこに居るフレアからも強い炎のオーラを感じるし彼女は気さくそうだ」

ユージーンに連れられてシンヤはフレアの元へ行く。

フレアは小麦色の肌が健康的な光沢を放っている。赤い髪を後ろで束ねたエキゾチックな少女だ。赤のブラが彼女のささやかな胸を包み込み、ヘソを出して、腰には動物の毛皮を巻いている、露出が多い民族的な衣装だ。

「お、人間!なんか用か?」

「おい、どうすれば精霊を操って炎を出せるんだ?」

「そうだな。アタシは生まれた頃から炎を操れたからな。わかんねぇや。アハハ。」

「シンヤには炎の精霊に好まれるオーラが見えるんだ。力になってくれないかな」

「そうなのか?じゃあアタシが炎の輪を作るから、その中で精霊の力を感じてみる?」

炎の輪だと…そして望む?よく分からねえが、やるしかない。

「わかった。やってくれ」

「それじゃあ、いっくよー!」

ゴォオオオオオオオオオ!!

フレアが両手を上にかざすと、炎が瞬く間に俺を中心にして、円になる様に広がった。

「チッ…想像以上に熱いな…」

俺は体中が焼けるような熱さに襲われた。息をするたびに喉が焦げるような感覚が広がる。全身が汗で濡れ、額から大粒の汗が滴り落ち、瞬く間に蒸発していく。

ジュワー…

ユージーンが炎の輪の外から叫ぶ。
「シンヤ!!イメージしろ!この炎は精霊の力に満ちている!君の心の声が届いた時、精霊が味方になるから!」

視界がゆらめき、肌に刺さるような熱さに耐えながらも、俺は必死に心を集中させた。この炎がただの熱ではなく、精霊の力そのものだと感じながら。

「アハハ!焼け死んでも知らんからねー!」

俺は炎の輪に包まれながらも、その熱さを無視して心を集中させる。ユージーンの声が耳に届く中、シンヤは心の中で強く願う。

「俺は…強くなるんだ。虐殺とも言える状況を終わらせるために、そして地球の未来を守るために。もっと力が必要なんだ…頼む!俺に力を貸してくれ!」

熱い。

俺の皮膚が火傷でただれてきた。酸素も薄い。意識が朦朧とする中でシンヤは故郷を思い出す。誰よりも厳しい訓練を絶えてきた。勉強もした。そして俺は地球を変える様な変化を求めてここへ来た。

「異世界へ来て、初めの戦闘で負けて面食らったけど…俺はまだ何も、何一つも、諦めては居ない。」

心の中で炎が灯る。俺が強く目を開けると心の炎が目に宿って居た。火傷だらけでももう暑さを感じない。炎は俺自身の身体から出て居た。

自分の心の炎と周囲の炎が共鳴し始めると、俺の周りの火は徐々に俺の意志に応えるように変化していった。

俺の体は痛みを超越し、炎と一体化していく。フレアとユージーンが見守る中、俺は炎の中で自分の力を実感し、そのオーラがしっかりと火の精霊に届いたことを感じる。

「やったぞ…見てみろ!俺の手のひらから炎が出てるぜ…!!」

「シンヤ、すごいじゃないか!よくやったな!」

「おう。なんか掴めた気がするわ」

「アハハ!アンタ、焼け死ぬ前で良かったじゃん」

俺を見てホッとするユージーンと、茶化すようなフレア。俺の体は火傷だらけになっていたが、内面には達成感と共に強い決意が湧いていた。

だが周囲を見渡すと、精霊の力を巧みに操り、複数の精霊を使いこなす者たちが多いことに気づき、焦りを感じる。

しかし、その焦りは俺のやる気をさらに引き出す材料となり、次に向けた強い意志を固める。俺は自分の目標に向かって努力し続ける決意を新たにした。

俺の身体は火傷でただれて、ジンジンと痛む。

「チッ…酷いな…」

「なぁ保健室に行った方がいいんじゃないか?」

「うるせぇ。連日保健室に行ってたまるか」

俺がユージーンと話していると、心配そうにアロマが駆け寄ってくる。彼女は少し遠くからシンヤを見守っていたのだ。

「シンヤ大丈夫?ちょっとそこに座ってくれる?」

「あぁ?なんだ?」

「治癒できるの。私の妖精の力で」

俺はつっけんどんに返す。

「そんなのいい。また慈悲とやらか。お前の世話にはならねぇ」

「慈悲なんかじゃないわ。シンヤ、よく頑張ったわね…心から素晴らしいと思うわ。でも…その傷…」

痛々しい傷を見てアロマは手で口を塞ぐ。

「シンヤ、治癒してもらったらどうだ。化膿したらひどくなるぞ」

「応急処置くらい自分で出来るっつうの」

「すぐ終わるから座って」

俺はアロマの真剣な眼差しに、これ以上口答えするのをやめた。

「…分かったよ。」

アロマはシンヤの前に静かに立ち、両手を彼の傷に向かってゆっくりと差し出した。

ーーパアァァァ

アロマからは光を浴びた小さな蝶が無数に集まり、シンヤの傷に静かに集まる。その途端、温かさがシンヤの肌にじんわりと広がる。

無数の蝶とその仄かな光が、彼の傷口を包み込み、傷ついた皮膚や肉を癒していくようだった。

アロマの妖精の力が発動するたびに、空気には心地よい花の香りが漂う。彼女の集中した顔からは、真剣さがにじみ出ており、その姿は一切の迷いもなく、ただシンヤの傷を癒すことに全力を注いでいた。

「はぁ、終わったわ。この力も練習中だから、シンヤ、治癒させてくれてありがとう…」

治癒の力を使い終えた後、疲れ切ったアロマは、それでもシンヤを気遣い、感謝の言葉を口にした。

フラッ…

アロマがよろけると、シンヤがすかさず彼女を支える。

「お前ってやつは…」

「わっ、ごめん、ありがとうシンヤ…」

「すごいな、ここまでの治癒の力は!」

ユージーンが感動したようにアロマを讃える。
俺はその力についてアロマに疑問を投げかけた。

「これも精霊の力なのか?」

「これは妖精である私が生まれ持った力なの。妖精も皆それぞれ色々な性質を持っているわ」

「へぇ…なんか、世界は広いっつうか…」

少し唖然とした俺は、ふとアロマの足に巻かれた包帯を見て不思議に思う。

「その力で自分も治せんのかよ?」

「…他人にしか出来ないんだ」

少し寂しげな瞳でアロマは答える。

「そっか…まぁ、ありがとよ」

アロマが俺に近づいてきた時、少しだけ警戒した。あいつの妖精の力は知っていたが、なんとなく世話になるのが癪だったんだ。俺は自分の力でやっていくって決めてたからな。

だけど、アロマはそんな俺に微笑みながら「座って」って言ってきた。俺がつっけんどんに返したって、全然気にしない。むしろ、その穏やかな態度で余計に俺を黙らせる感じだった。

アロマは少し寂しげに「他人にしかできないの」って答えた。自分が傷ついても、誰かのためにしか力を使えない…それがアロマの優しさなんだろう。そんな彼女を俺は、まだ理解できない。

だがその眼差しに、悪い気はしなかった。
何かを助けたいという気持ちがあるのは、俺と同じだからだ。
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