Worlds of Fate〜世紀末の戦士は異世界に挑む!〜

そらほし

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第20話 バトルロイヤル⑨ 再会

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「アロマの蝶だよ、彼女が僕たちを探しているんだ」

ユージーンが微笑む。蝶は彼の手の中で光を放ちながら舞い上がる。

俺は警戒を解くまいとするが、ユージーンの表情を見て少しずつ緊張を解く。

「アロマが俺たちを?」

「彼女は僕たちを心配しているんだよ。少し変わってるけど、悪い人じゃない」

「だとしても信用できねぇ。この授業は殺し合いに等しい。お前はここで休んでろ」

俺は蝶の跡を追う。一回アロマと戦った事がある。直ぐに眠らされたけどもう同じ手にはのらねぇ。

ユージーンは「気をつけて」と声をかけ、シンヤは無言で頷き森の中に進む。

「バサッ、バキッ」という音が静かな森に響き、俺は重く湿った葉を足で踏みつけながら進んでいく。緑の匂いが鼻腔をくすぐり、足元には無数の蛇や毒虫が蠢いていた。
どこからともなく漂う生ぬるい風が、俺の背中を押すように吹き抜ける。木々の影は深く、薄暗い森の中で何かが潜んでいるような不気味さが漂っていた。俺は手元のナイフを握りしめながら、周囲を警戒する。すると、

「きゃあ」

俺の前に大きなヘビにビビってやがるアホフェアリーが約一名。アロマだ。

アロマの胸元に大きな蜘蛛がはりつく。

「ひいぃぃぃ…」

カサカサカサ…

服の上から揺れるアロマの胸の周りを、這う様に動いている。

ザシュッ!

俺はナイフを投げ、それが大蜘蛛をかすめとる。大蜘蛛は鋭利なナイフに刺され、地面の上でピクピクと足を震わせていた。

「きゃっ!」

「お前、こんな所でなにやってんだ」

「あぁ…シンヤ、無事だったのね」

「まぁな。お前が蝶で俺たちを探してたのか?」

俺は鋭い目をアロマに向けるが、アロマはゆっくりと頷き話し始める。

「人間のあなたが危険に晒されるんじゃないかって心配してた」

「余計なお世話だ。」

「…助けてくれて礼を言うわ。でも私はここに人を守るためにいるの」

「守るためにだと?」

「それが多分、私がノルンに呼ばれた使命だから…」

「俺は自分で身を守れる」

 俺は自嘲気味に笑いながら、アロマの言葉を突き返した。心の奥底にある孤独感と不安を隠すように、声を荒げてみせる。だがその言葉は、自分自身にも言い聞かせるようなものだった。

「ええきっとそうね。でも私にもきっと使命があるんだと思う。生まれ変わった過去もあるし…」

「生まれ変わりや運命なんて信じられねぇ」

「この学園には前世を持つ者が多いのよ。ノルン三姉妹は運命を司る女神だもの」

 2人の間に静かな空気が流れる中、アロマが遠くを見つめるような瞳をしていた。
その瞳をシンヤは知っている。使命や秘密、深い悲しみを抱える者の瞳だ。

「ハッ。お前は知らないかもしれないけどな、使命を果たせないで虫ケラのように死んでいく者も多いんだぜ。俺は都合がいい生まれ変わりとか信じてねえ。人間の人生は一度きりなんだ」

「……」

 アロマは何も答えない。シンヤの言葉から彼の心の傷を感じ取とり胸を痛めた。

「命を燃やす。だからこそ人間は尊いのよ」

「勝手に言ってろ」

 シンヤと歩きながらアロマはそっと唇を噛み締めた。

「お前さ、立派なこと言っといてその辺の虫にビビってんのな」

「…そ、それは」

アロマはバツが悪そうに顔を赤くした。

その時ーー

「ここにいたのだー!!」

 モモの声が響き、アロマとシンヤが振り返る。

モモが駆け寄ってくるが、アロマはモモの爪が光るのを見て咄嗟にバリアを張り、シンヤの前に立った。

風と共にアロマのスカートがめくり上がり、風の精霊の気質が高まる。

「これはモモじゃない!」

とアロマは叫び、魔法で出した紫色に光る大鎌でソレを切り裂く。

ズバッ

ギィヤアアアアアアアアア

 耳をつんざくような悲鳴が響き渡る。緑色の血飛沫と生臭い臓物が跳ね上がるが、アロマのバリアで塞がれた。

「なんなんだ、これは…」

 そこにはモモの姿ではなく山猿の姿に良く似たモンスターの死骸が転がっていた。

「こんな真似ができるのはミヤビしかいない」
とアロマが険しい顔で言う。

「ミヤビ…どんな奴なんだ」

「邪悪な魔法使いよ。そういえばシンヤ、ユージーンはどこ?彼の気配を蝶が教えてくれたわ」

「あぁ…ユージーンは今、瀕死状態だ。応急処置を施したがいつまでもつか分からない。」

「私に任せてちょうだい。ユージーンの元へ戻りましょう」

 シンヤとアロマがユージーンの元に戻ると、モモがユージーンを妖精の秘薬で手当てしていた。モモはアロマを見つけると笑顔で走り寄る。

「モモ!モモなのね!!」

「アロマぁ~!!!ご無事でよかったのだ」

とモモは兎耳をぴょこぴょこさせながらアロマに抱きついた。兎の耳をぴょこぴょこさせながらアロマとの再会を喜ぶモモ。

「アロマぁ~僕がどれだけ会いたかったことか」

「本当に無事でよかったわ。途中で貴方に化けた魔物に遭遇したの!本当に気をつけてね」

「な、なんだって~むむっ」

 俺は一瞬目の前のモモに戸惑うも、その腑抜けた態度に本物のモモだと確信する。

ユージーンの顔色も良くなり

「さっきモモに出会ってね、手当てしてもらって傷が一気に治って来たんだ」

「これは本当に貴重な薬なのだ!」

グリーンの美しい小瓶に入った妖精の秘薬だ。

「モモ、有難うな。」

 ユージーンはモモの頭を撫でると、モモが赤くなる。それを見てアロマは微笑み、ユージーンに優しく手をかざした。アロマの力によって、さらにユージーンの傷が癒されていく。

パァァァァ

「すごいや…傷つく前より元気になった気がする!」

「…オラ、まだ気ィ抜くなよ」

4人はキャンプを囲みながらこれからのことを話し始める。

「実は、途中までジャックと一緒にいたのだ。でも、砂漠地帯から戻ってきたところなのだ。それで、砂漠地帯と工業地帯の境目のあたりから、すごく大きな音が聞こえてきて…」

「それはきっとミヤビとドルチェが作った要塞ね。私は空から確認したわ。様々なモンスターがそこから飛び出しているみたいなの」
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