ハーヴェインワールド

ハギノキ

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3話 再び

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「あれ…… また教室に戻ってる?」

 まるで寝すぎた休日の朝のように意識がぼんやりしているが間違いない、ここは恩恵を選んだあの教室だ。

 もしかして全部元に戻ったのか? いや戻ってるようで戻ってないな。
 学ランは一応綺麗になってはいるが、相変わらず身体付きは幼いままでメガネも上履きもない。

 だが一体どうして教室にいるんだろうか……?
 確か森の中で人の良さそうな青年に出会ったところまでは覚えてるが、それより後の記憶が曖昧だ。

 曖昧な記憶を思い出そうと努力しながら、何気なく教室を見回しているとふと違和感に気づく。
 
(そうだ。机の上に置かれていた旅のしおりが全部無くなってる)

 教室中の机の上だけではなく中も見て確認するが、どこにも見当たらない。

 もしかして教室の外か?
 
 そう思って教室から出ようとしたが、ドアも窓も溶接されたかのようにピクリとも動かない。

 一体どうすればいいんだ。このままこの教室の中で一生過ごせってことか?
 いや待て何か黒板に書いてるぞ。

 だがまだ頭の奥が少しぼんやりとしていて、頭の中で文字を追うのが辛い。自分に言い聞かせる意味を含めて、黒板に書かれた文字を読み上げる。 

「えっと…貴方は夕闇の使徒ポロンケルに殺されました。恩恵を削って復活することが出来ます。その場合は『恩恵を削って復活する』と後ろの黒板に記入して下さい。……は?」

 なに俺、殺されたの?
 というかポロンケルって誰だよ。もしかして最後に出会ったあの男のことか?

 いやでも…いくら異世界とはいえ、出会い頭でいきなり問答無用で殺すとかあり得る事なのか。
 しかも俺が大人の姿だったならまだしも、あの時は子供だ。流石に抵抗感や戸惑いがあってもいいもんだけど。

 あっそういえば使徒っていえば、アニメや漫画だとヤバい組織の中でもそれなりの立場の奴とか、人外の存在に付けられることが多い称号だよな。もしかして実は人じゃないから、異端な存在の俺を即座に抹消したとか?

 だけど確か笑顔で手振り返してくれていたような。それに雰囲気もそんな怪しげには見えなかったけどなぁ。でもまあ殺されたってことが事実なら、油断させる為の演技だったのかもしれない。

 異世界恐るべし。

 恩恵めちゃくちゃ貰ったし、異世界で無双したり…なんて夢見てたけど、現実はやっぱそう上手くいかないもんだな……。

 ま、とにかく復活は出来るみたいだし、次は上手くやるしかないか。

(さてととりあえず復活…… ん? 何か小さい文字で黒板に書いてるな)

 黒板の右下端の方に小さく『人の生に飽きたそこの君。恩恵を一度に五つ削って復活すると宣言すれば、小数点以下の確率でいきなり神になれるかも!? でも昆虫かトカゲになることもあるので注意!』と書かれてた。

 小数点以下の確率ってよっぽどなアレなガチャゲーの最高レアくらいでしか見たことないぞ。それを一回でとか…… 無理だな。

 とりあえずこれはスルーするとして、復活一回辺り恩恵一個削除だとしたら、最大五回は安全に復活出来るってことか。

「他に変な注意書きはなさそうだし…… 教室にいても仕方ないから、さっさと復活するとしますか」

 黒板に恩恵を削って復活するとチョークを使って書き込む。書き終えるとチョークと黒板消しがひとりでに動き出し、次のような内容を黒板に書いた。

『恩恵は最初に選んだものから自動的に消去されます』、『人間最上位の才能が削除されました。残りの恩恵は戦闘、剣、魔法、料理の才能の四つです』

 そして全て書き終えると唐突に十秒のカウントダウンが始まった。

 おいおい、少しは心の準備くらい。っていうか恩恵、選んだ順に消えるのかよ。最悪。
 んーまあとにかく今度はさっきとは逆方向に行ってみるか。

 そこまで考えたところで教室が崩壊し、再び異世界へと転生した。
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