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episode3 俺といとこの猛勉強

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「今から1時間、明日の授業の予習始めるから!」
「嫌だ。」
「そんなのだからいつまで経っても成績が上がらないのよ。」
「俺はゲームが生きがいなんだ!邪魔するやつはたとえお前でも許さんぞ!」
しかし、冬治は夏菜に無理矢理勉強部屋へと連れ込まれ、怖~い監視員付きの中、嫌そうに勉強を開始する。しかし能率は当然ながら上がらず、部屋を出ようとするが、
「まだ20分も経ってない!」
「ホント、ダメ人間ね、クズ、アホ、マヌケ!」
「そこまで罵る必要ないだろ!」
「私は前にも言ったでしょ! あなたのことが大好きだって。」
「………」
(よーし、夏菜にひと泡吹かせてやる!)
(そして、俺は夏菜の彼氏になる!)
冬治は心の中で固く誓う。
そして1時間が経過。
「ま、あなたにしては頑張った方だと思うわ。今日のところはこれでおしまい!」
「ヤッホー、これでゲーム三昧だ!」
冬治はうれしそうに部屋を出る。
しかし、夏菜は部屋を出ようとしない。
(…私、冬治くんに嫌われちゃったかな…)
(こんなんじゃ冬治くんの彼女失格ね。)
心の中でつぶやく。
「夏菜、今度買ったゲームやろうぜ!」 
「姉貴と鈴奈もやるからさ、リビングに早く来いよ!」
(…私、雪お義姉ちゃんと鈴奈ちゃんに負けないように頑張らなきゃ!)
もちろんこの2人は家族なので結婚はできないが、勝手にライバル意識を燃やす。
「おにーちゃん強すぎる!」
「冬治、ゲームだけは得意だよね、本当に」
姉と妹は当然のように言う。
「ところで、夏菜おねーちゃんはゲーム好きなの?」と輝く瞳で夏菜を見つめる鈴奈。
「え、私?」
「うん、だっておにーちゃんと夏菜おねーちゃんはなかよしだから、ゲーム好きそうだもん!」
「う、うん…」もちろん夏菜はゲームには自信が無い。
「じゃあ、すずなと夏菜おねーちゃんだけで対戦してよ!!」
「え…ちょっと…待って…」
(でもここで鈴奈ちゃんに勝てたら、冬治くんの見る目が変わるかも!)
「わかったわ、やろう!」
だが、ゲームは全くと言っていいほどの素人である夏菜が、それなりの経験者である鈴奈に敵うはずがなかった。
「わーい!夏菜おねーちゃんに勝てた!!」
「む~、鈴奈ちゃん、もう一度やるよ!!」
(ここでさすがに勝たないと、冬治くんは私の興味失っちゃう!)そう思い、もう一度対戦したが、結果は変わらず。
(あ~、ダメだ、ゲームはどうしても…)
「夏菜ちゃん、私とやる?」
この場の空気を察したのか、雪は声を掛ける。
「ありがとう、雪お義姉ちゃん。」
(よーし、雪お義姉ちゃんには勝つぞ!!)意気込む夏菜だったが、
「あ、待って、もう10時半だ。」
雪は時計を確認する。
「雪おねーちゃん、寝よー。」
「それじゃ、部屋に戻りましょう。」
雪と鈴奈は部屋へ戻り、ベッドへと入る。
リビングで冬治と夏菜はふたりきりになる。
「…私達も寝る?」
「俺はどっちでもいい。」
「おやすみなさい。」
「俺も寝るか。」
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