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Chapter.3「透が家で荒れるのには理由はあったけれど、私がそれを知る由がなかった。」
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ー記録.透視点。
中学校生活は俺にとって憂鬱だった。
俺が通っていた小学校には、近くに桐ヶ丘中学という私立中学があって、学年の4割がそこに受験していった。
俺は小学校時代、3人の仲の良かった友達がいたけど、そのうちの1人もそこに行った。
そして残りの2人も住んでる区域の都合で、別の中学に行ってしまい、今通ってる中学には俺1人だけ行くことになってしまった。
約半数が私立を選び、残った連中の数人も区域の都合で他の中学へ。
小学校からの顔馴染みが少ない中学で、
俺は知り合いが1人もいないクラスに入れられてしまった。
顔も名前も初めて見るやつらばかりで、正直どう親交を深めればいいのか戸惑う。
クラスの奴らは同じクラスになった小学校からの顔馴染みとくっついて行って、その輪に入りづらい。
それだけならグループ活動という話す機会があるからうまくいけば解決できた。
だけど…
「俺、英語苦手なんだよね。どう読めばいいかわかんなくて」
「わかる。正直、好きで勉強したいと思う奴の気持ちがわかんねぇよ」
(…俺は英語で会話できる人に憧れてるんだけどな)
話していくうちに見えてくる、気が合わないという壁。
知り合いもいなくて、気が合う奴にも出会えない。
いじめられてはないけど、居心地が悪い。
常にまるで今まで生きてきた世界と違う世界にいきなりぶち込まれたような感覚が体にのしかかる。
その気持ち悪さが頭を支配して、授業の内容が頭に入ってこない。
そんな空間は俺にとって、この上なく息苦しいものだった。
そんな中で日々を過ごしていくうちに、ある考えに辿り着いた。
ーここは俺の居場所にはならない。
どうして俺だけがこのクラスで惨めな思いをしなきゃならないんだ。
俺はどうしてそんな思いをしてまでここにいなきゃいけないのか。
そう思ってどうしようもない怒りが込み上げてきた。
「おはよー」
「おはよう、昨日の『月見草の唄』見た?」
「見た見た。犬飼君超かっこよかった!
あそこで夜中なのに叫びそうになったよ」
「…っち」
クラスメイトの楽しそうな会話が俺のこの有様を嘲笑っているように感じて耳障りだと思ってしまう。
廊下に出れば他のクラスの仲良く並んで歩く姿に虚しくなる。
気を紛らわすために本を読んでも、どうも内容が頭に入ってこなくて集中できない。
まるで常に居場所を追われてるような学校での一日に、心が疲弊していた。
俺はそんな最悪な気分を抱きながら家に帰っていた。
家に着けばそんな気分の悪さから解放されると思ったけど、そうじゃなかった。
家について、息を吸うように玄関のドアを開ける。
ただいつもと違うのは、唇が重くて「ただいま」がいえなかったことだ。
ドアを開けた先に待っていたのは…
「あら、おかえり」
母さんの声だった。
なんのわかだまりもなく、息を吐くように出た声だった。
ここ最近、母さんの言動には言葉に言い表せないような違和感を感じていたが、その声は今の俺にとって余裕があるように感じた。
俺が慣れない環境で苦戦しているせいか、それが無性に癪だと感じた。
俺は正体不明の怒りに任せて、母さんのその挨拶に無言で返してしまった。
「透、帰ってきたならちゃんとただいまって言って」
無言で返すのを許せない母さんは当然俺を叱る。
でもその時の俺は、そんなことを気にするなんてよっぽど暇なんだなと不快感を感じた。
「…うっせーな」
「なっ…あっ」
暴言で返す。
母さんはいいよな。慣れた環境でのんびりと過ごせてさ。
そんな言葉を心の中で吐きながら、母さんの顔を見たくなくて早足で自分の部屋に向かった。
だけど。
母さんは学校で俺がどんな生活をしてるかは知らなくて、なおかつ普通にしていただけで、あんな酷い仕打ちを受ける筋合いはないのに。
心のどこかでそう思った。
自分の部屋に入り、1人ベッドの上に座り込む。
学校でうまくいかないからって母さんに八つ当たりだなんて。
何やってるんだよ、俺は。
これじゃあ自分から家での居場所を捨てるようなもんじゃないか。
最低だよ、俺。
自己嫌悪になる。
母さんはいつも通りなのに、そんな母さんに俺は理由はわからないけれど不快感を感じるようになった。
どうしてこうなったんだ?
俺、何かおかしいのかな?
それよりも、どうしたらこんな日々が終わるんだ?
そんな思考がぐるぐると、頭の中を駆け巡らせていると、
「…透?ご飯よ」
「うおっ」
母さんが部屋に入って来た。
マジか。夕飯が出来たから呼んだのは分かってるけど、最悪のタイミングで来たな。
食欲も湧いてないし。
正直、今は何もせずに1人になりたかったのに。
「…何度も呼んでるんだけど。…ねぇ、透?今日どうかしたの?いつもと様子がおかしいけれど」
「…なんもねーよ」
「…本当に?」
「本当になんにもねぇってば!」
おかしいのは俺が一番わかってるよ!
でもどうすればいいのかわからねぇからもどかしいんだよ!
頼むからこれ以上変に俺を刺激するのはやめてくれ。
どうしようもない感情が溢れて、脳内が錯乱していく。
「…それじゃあ、準備ができたら来てね」
そう言って母さんは部屋を出る。
「…はぁ…」
1人、ベッドの上でため息をつく。
学校は居心地悪くて、家でその腹いせを母さんにぶつけて、自分が嫌になって…。
学校も家も居心地が悪い、もはや生き地獄と言っても過言ではない一日。
明日もこんな感じなのかな。
この俺のやるせない思いに歯牙をかけず、時間は確実に明日に向かって突き進んでいた…。
中学校生活は俺にとって憂鬱だった。
俺が通っていた小学校には、近くに桐ヶ丘中学という私立中学があって、学年の4割がそこに受験していった。
俺は小学校時代、3人の仲の良かった友達がいたけど、そのうちの1人もそこに行った。
そして残りの2人も住んでる区域の都合で、別の中学に行ってしまい、今通ってる中学には俺1人だけ行くことになってしまった。
約半数が私立を選び、残った連中の数人も区域の都合で他の中学へ。
小学校からの顔馴染みが少ない中学で、
俺は知り合いが1人もいないクラスに入れられてしまった。
顔も名前も初めて見るやつらばかりで、正直どう親交を深めればいいのか戸惑う。
クラスの奴らは同じクラスになった小学校からの顔馴染みとくっついて行って、その輪に入りづらい。
それだけならグループ活動という話す機会があるからうまくいけば解決できた。
だけど…
「俺、英語苦手なんだよね。どう読めばいいかわかんなくて」
「わかる。正直、好きで勉強したいと思う奴の気持ちがわかんねぇよ」
(…俺は英語で会話できる人に憧れてるんだけどな)
話していくうちに見えてくる、気が合わないという壁。
知り合いもいなくて、気が合う奴にも出会えない。
いじめられてはないけど、居心地が悪い。
常にまるで今まで生きてきた世界と違う世界にいきなりぶち込まれたような感覚が体にのしかかる。
その気持ち悪さが頭を支配して、授業の内容が頭に入ってこない。
そんな空間は俺にとって、この上なく息苦しいものだった。
そんな中で日々を過ごしていくうちに、ある考えに辿り着いた。
ーここは俺の居場所にはならない。
どうして俺だけがこのクラスで惨めな思いをしなきゃならないんだ。
俺はどうしてそんな思いをしてまでここにいなきゃいけないのか。
そう思ってどうしようもない怒りが込み上げてきた。
「おはよー」
「おはよう、昨日の『月見草の唄』見た?」
「見た見た。犬飼君超かっこよかった!
あそこで夜中なのに叫びそうになったよ」
「…っち」
クラスメイトの楽しそうな会話が俺のこの有様を嘲笑っているように感じて耳障りだと思ってしまう。
廊下に出れば他のクラスの仲良く並んで歩く姿に虚しくなる。
気を紛らわすために本を読んでも、どうも内容が頭に入ってこなくて集中できない。
まるで常に居場所を追われてるような学校での一日に、心が疲弊していた。
俺はそんな最悪な気分を抱きながら家に帰っていた。
家に着けばそんな気分の悪さから解放されると思ったけど、そうじゃなかった。
家について、息を吸うように玄関のドアを開ける。
ただいつもと違うのは、唇が重くて「ただいま」がいえなかったことだ。
ドアを開けた先に待っていたのは…
「あら、おかえり」
母さんの声だった。
なんのわかだまりもなく、息を吐くように出た声だった。
ここ最近、母さんの言動には言葉に言い表せないような違和感を感じていたが、その声は今の俺にとって余裕があるように感じた。
俺が慣れない環境で苦戦しているせいか、それが無性に癪だと感じた。
俺は正体不明の怒りに任せて、母さんのその挨拶に無言で返してしまった。
「透、帰ってきたならちゃんとただいまって言って」
無言で返すのを許せない母さんは当然俺を叱る。
でもその時の俺は、そんなことを気にするなんてよっぽど暇なんだなと不快感を感じた。
「…うっせーな」
「なっ…あっ」
暴言で返す。
母さんはいいよな。慣れた環境でのんびりと過ごせてさ。
そんな言葉を心の中で吐きながら、母さんの顔を見たくなくて早足で自分の部屋に向かった。
だけど。
母さんは学校で俺がどんな生活をしてるかは知らなくて、なおかつ普通にしていただけで、あんな酷い仕打ちを受ける筋合いはないのに。
心のどこかでそう思った。
自分の部屋に入り、1人ベッドの上に座り込む。
学校でうまくいかないからって母さんに八つ当たりだなんて。
何やってるんだよ、俺は。
これじゃあ自分から家での居場所を捨てるようなもんじゃないか。
最低だよ、俺。
自己嫌悪になる。
母さんはいつも通りなのに、そんな母さんに俺は理由はわからないけれど不快感を感じるようになった。
どうしてこうなったんだ?
俺、何かおかしいのかな?
それよりも、どうしたらこんな日々が終わるんだ?
そんな思考がぐるぐると、頭の中を駆け巡らせていると、
「…透?ご飯よ」
「うおっ」
母さんが部屋に入って来た。
マジか。夕飯が出来たから呼んだのは分かってるけど、最悪のタイミングで来たな。
食欲も湧いてないし。
正直、今は何もせずに1人になりたかったのに。
「…何度も呼んでるんだけど。…ねぇ、透?今日どうかしたの?いつもと様子がおかしいけれど」
「…なんもねーよ」
「…本当に?」
「本当になんにもねぇってば!」
おかしいのは俺が一番わかってるよ!
でもどうすればいいのかわからねぇからもどかしいんだよ!
頼むからこれ以上変に俺を刺激するのはやめてくれ。
どうしようもない感情が溢れて、脳内が錯乱していく。
「…それじゃあ、準備ができたら来てね」
そう言って母さんは部屋を出る。
「…はぁ…」
1人、ベッドの上でため息をつく。
学校は居心地悪くて、家でその腹いせを母さんにぶつけて、自分が嫌になって…。
学校も家も居心地が悪い、もはや生き地獄と言っても過言ではない一日。
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この俺のやるせない思いに歯牙をかけず、時間は確実に明日に向かって突き進んでいた…。
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