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指名編
指名編⑫
しおりを挟む最終候補決定の知らせは間もなくやって来た。
その日、たまたま空達はレオンハルトの部屋で食事をしていた。六人のスマホの通知音が同時に鳴り、驚いて確認すると届いたのは『最終候補者決定の通知とお知らせ』だ。空の心臓が大きく跳ねる。
ただ、読み進めていくと八人全員が最終候補三人を決めたわけではないそうだ。決めていない三人はもう少し考えたいそうで、決まった姫君のみ最終審査へ進むらしい。
「最終候補を決めたのは朧月夜ちゃんと葵ちゃん、明石ちゃんと浮舟ちゃん、花散里ちゃんか」
空のメールには『葵』の名と最終候補者三人の名が記されていた。
最終審査に進んだ者以外はお知らせのメールのみが送信され、選ばれた者は『誰が』ライバルか知ることが出来る仕組みのようだ。
・・・そして、この場にいる全員が最終審査に進んだ。余りにも出来すぎた偶然に空は背筋が寒くなった。
「こんな所ですね」
ユアンが全員のメールを見て、普段から持ち歩いている手帳に書いていく。書き終えると同時にユアン以外の五人は手帳を覗き込んだ。
朧月夜最終候補者・龍族『蒼淳』、鳥族『オーランド』、猫族『ディアゴ』
葵最終候補者・人族『久是空』、鳥族『ミハエル』、鹿族『エドワード』
明石最終候補者・猫族『レオンハルト』、龍族『朱寧』、有鱗目族『オマール』
浮舟最終候補者・有鱗目族『イフラース』、鹿族『ルーク』
花散里最終候補者・鹿族『ユアン』、有鱗目族『ポール』、猫族『ウィリアム』
候補者未選定・『若紫』『朝顔』『玉鬘』。
「空がライバルか!こりゃ本気を出さないとな!」
ニカッと笑うミハエルを見て空は泣きそうになった。
嫌な顔一つせず、ライバルと認めてくれたミハエルは本当にイイ男だ。勝てる気なんてこれっぽっちも無いが、全力で挑まなければ彼と葵に失礼だ。
空は涙をグッと堪え、笑った。
「お手柔らかにお願いします!」
「そりゃ無理だ!」
「ですよね」
笑い合う二人をイフラース、ユアン、ディアゴはほっこりと眺めていた。対するレオンハルトは血の気が引いて真っ青な顔をしている。八人の美姫人気ナンバーワンに選ばれたのにこの態度。逆に心配になる。
「・・・王?」
「意味が分からん・・・あれだけやらかしているのに何で俺を選んだんだ・・・??」
「そこは喜ぶところだろ!あの明石ちゃんだぞ!しかしライバルがあの朱寧とは・・・。ヤバいな」
「オマールもいますね・・・」
ミハエルとイフラースは気の毒そうな視線をレオンハルトに送った。
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