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葵の章
葵の章①
しおりを挟む三ヶ月前。
翠遙の授業は淡々と続いた。
全ての始まりである最悪の疫病・黒天痘。三日三晩続く高熱の後に黒い水疱が全身に広がり、やがて死に至る。
この死病から奇跡の復活を遂げたハイエナは夜な夜な黒狐族の村に侵入しては村人を狩り、黒天痘の特効薬として秘密裏に売り捌くようになった。
効果がある者もいれば効かない者もいる。だがかなりの確率で黒い水疱が消える様を見て、ハイエナの元には奇跡の妙薬を求める者が増えていった。
そんなある日。
鳥の国からやって来たという青鷺がハイエナに接触した。
「なぁ、その薬。干して何の肉か分からないように加工しているが、アレだろ?黒狐族の血肉だ」
ニヤリと笑う青鷺にハイエナは否定できず慌てた。
鳥の国にも黒天痘が猛威を振るい、打つ手無しで死者数は日々増加していた。
そんな中、突如として現れた特効薬。
噂を聞きつけた青鷺はありとあらゆる情報網を駆使してハイエナまで辿り着き、こっそり監視していた。
鳥目故、夜は苦手だが漂ってくる血の匂いは誤魔化せない。青鷺は妙薬の正体に気付いた。
「・・・だったら何だ。俺を黒狐族に突き出すか?」
「まさか!そんな事はしねぇよ」
青鷺は敵意が無いと示すように地上に降り立った。
猫族の大罪を作り出した者と、鳥族の大罪を作り出した者。黒狐族にとっては悪夢のような出会いだった。
「俺と手を組まないか?鳥の国は有鱗目族との戦に敗れて疲弊している。おまけに黒天痘が流行して希望も何もあったもんじゃ無い。お前が狩った黒狐族の血肉を俺らが加工して、更に広く流通してやるよ。俺達鳥族は世界の流通の要。どうだ?悪い話じゃないと思うが?」
「成る程な。その為には今より多くの血肉が必要になるが・・・一気に狩ると目立つ。俺は慎重に進めたい」
「ははっ!なぁに、大丈夫さ。だって黒狐族は数百万もいるんだぜ!ちょ~~っと狩らして貰っても気付きはしねぇよ」
「そうか・・・そうだな!」
一月後、ある山の集落から完全に人がいなくなった。しかし、まだ誰も異常に気付かなかった・・・。
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