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花散里の章
花散里の章⑬
しおりを挟む一人は明らかに高貴な出の女性だ。その美貌には気品が漂っている。
彼女は白地に藤の花が刺繍された美しい着物を着ている。
髪飾りも豪華だ。歩く度に揺れる金細工がシャランと涼やかな音を立てる。
もう一人は濃密な色気を纏った美しい女性だ。
グラマラスで、黒狐族の女性では珍しい仕立の良い紺のスーツを着ている。
細めの眼鏡がクールな印象を与える。香水だろうか?彼女から良い匂いがした。
高貴な女性が右、セクシーな女性が左の席に座る。
花散里が中央の席に座ると、彼女は凛とした声で告げた。
「これより、最終審査を始めます。最終審査は我ら『智姫三仙』との知恵比べです」
智姫三仙。
それは黒狐族国王が「特に秀でている」と認めた三人の才色兼備に与えた称号であり名誉だ。
花散里も三仙の一人。
天界美女ランキング八位で科挙歴代最高得点を叩き出した才色兼備。
三仙選出に誰も異論は唱えなかった。
「先ずは彼女達の自己紹介から始めます。文車様、明星様、お願いします」
二人の美女は頷いた。
「王立図書館館長、文車と申します」
「国王主席秘書官、明星です」
右の女性は侯爵令嬢文車。
高貴な美しさを持つ彼女は黒狐族きっての知識人だ。
一度読んだ書物は全て記憶し一文字も間違えない。王立図書館の館長も務める才女だ。
左の女性は明星。
女性初の国王主席秘書官に就任した才色兼備だ。
天才的頭脳を持つ彼女は何と弁護士資格と医師免許を持つ。いずれも黒狐族最難関とされる国家資格だ。
黒狐族が誇る才女三人が一堂に揃うのは初めてだ。
花散里自身も文車、明星とは面識がなかった。
それなのに彼女達は会ったこともない花散里の為に下界に下ってくれた。
二人には感謝しかない。花散里は改めて彼女達に頭を下げた。
力を貸してくれた文車、明星のためにも今日で決着をつける。
花散里は姿勢を正した。
「これより私達が一問づつ問題を出します。正解が分かった方はこれから配るボタンを押して下さい。ちなみに早押しです」
黒曜は三人にボタンを配る。
クイズ番組で良く見るタイプだ。ボタンを押すと赤い○が書かれたパネルが上がる仕組みだ。
「正解した方は六角形のタイルを一歩前にお進みください。私の前まで辿り着いた方を勝者とします」
花散里の目がスッと細くなる。
「不正解の場合、床に穴が空いて落下します。怪我はしないように細心の注意は払っておりますのでご安心を」
落下と聞いてユアンは思わず下を見た。
ここは確か一階だ。
一体何処に落下するのか!!?ユアンの背筋は寒くなった。
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