余命3000文字ーー手紙の余白に咲いた奇跡

ユウ6109

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第3章 手紙が開く秘密

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「やあ晃くん――少し大人びた君へ」
晃は、祖母の言葉をなぞる気持ちで便箋に向かう。だが、途中でペンが止まった。
(ありがとう。会いたい。……でも、それだけじゃない)
祖母と最後に言い争いをした時のことが、脳裏によぎる。「言葉ではわからない事もある」と言い、寂しそうな祖母の背中を見送った日。なぜか晃の心には、その「言葉にならなかった何か」が棘のように残っていた。
晃はふと、昔の手紙の束に一通だけ「開けてはいけません」と赤い糸でくくられた封筒を見つける。それはずっと怖くて、読む勇気がなかった手紙だった。
――祖母の秘密。そこに綴られていたのは、かつて澄江が若い日の失意を詩として綴り、しかし誰にも言えなかった“初恋の人”への思い。そして、晃の母――すなわち自分の娘――への強すぎる愛ゆえの不器用な言葉たち。晃はそれを読み、その優しさと孤独に、涙が頬を傳うのを止められなかった。
(祖母もまた、「言葉」の力と限界を抱えながら、生きてきたのだ――)
晃は祖母に宛てて「ごめんね」「ありがとう」だけではなく、「あなたが遺した言葉は今も私を支えています」と、静かに綴り始める。
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