あるクズ人間の奇譚

ひいらぎ

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中学1年生編(前編)

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 中学校に入学した。4つの小学校の子が1つの中学校に集まるのだ。当然入学式は緊張で押しつぶされそうになった。スポ少で知っている人はいたが、知らない人ばかり。その状況に不安ばかりが募った。

 新しいクラスが発表された。そのクラスに彼女はいた。さくらちゃんが同じクラスだったのだ。「嬉しい」その一心だった。彼女との関係に不安は感じなかった。ある意味開き直っていたのだろうか。

 その後、クラスにどう馴染んでいったかは全然覚えていない。だが、クラスの中で友達もだんだん出来て、知らない内に馴染んでいた。他にやる部活がないから、という理由でサッカー部に入ってそれなりに不安はあったが何とか頑張ろうと思った。今考えると既にこれは妥協で選択した道だったのかもしれない。中学校の部活動を軽視していたのかもしれない。そんなある日、クラスでの自分のイメージを変える出来事がいくつも連続で起きてしまう。

 夏休み前までは問題なかった。その頃は同じ部活のやつと、のちに転校することになるやつと、今でもよく一緒に遊ぶやつと僕の4人でよくいた。同じ部活のやつとは到底仲が良いとは言えなかったが、そいつはのちに転校することになるやつと仲が良かったのでよく一緒にいた。流行っていたのは、椅子カバーサッカーと呼ばれる遊びだった。その名前通り、椅子の下についている椅子カバーを外してボールにして蹴っていた。ボールというよりホッケーみたいな感じだった。教室や体育館で先生の目を盗んでやるのは楽しかった。何回か担任の先生に怒られたが、気にしなかった。それ以外にも一緒にテストの点数を見せ合い、後に同じ高校に入ることになるやつが2人いた。

 夏休み明けは僕にとっては地獄の日々だった。自分でいうのもなんだが僕はかなり頭が良い方だった。180人中7位に入ったこともあった。だがバカなのだ。頭の使い方が下手ということだ。頭は良いが勉強が大嫌いだったため宿題をろくに出さないのが日常化していた。小学生の頃からだ。当然、夏休みの宿題を半分も終わらせていないまま、2学期を迎えてしまったのだ。居残りさせられるまで一週間の猶予があったが、その間も何もしていなかった。

 結果、居残りすることになった。もちろん部活には遅れることになる。だが、スポ少の時とは違う先生や先輩の厳しさに怯えていた。妥協で選んだ道は自分を苦しめることになったのだ。部活の中で居残りなのは自分だけだった。どんな顔で先生に居残りのことを伝えに行けばいいかなんてわからなかった。怒られはしなかった。だが怒って欲しかった。怒られないことで逆に圧力を感じたからだ。
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