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中学2年生編(後編)
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中体連の地区予選は、去年の新人戦で優勝したこともあってうちの中学校が会場だった。
それが何を意味するかわかるだろうか。休み時間には多くの生徒が教室の窓や校庭の隅から試合を見ていたのだ。僕は1年生に混ざってボール拾いをしていた。気にし過ぎだったかもしれないが、僕は全校生徒の前で恥を晒した気分だった。
さらに初戦の相手は言っちゃ悪いが、かなり弱い相手だった。ある程度点差がつくと、控えのメンバーを次々に交代でピッチに入れていった。そして、控えのメンバー全てが中体連の試合のピッチに立つことが出来たのだった。
つまり、僕以外の2年生は全員試合に出れたことになる。しかし、僕はメンバーにすら入れていなかった。次の日は皆にどんな目で見られるのだろうかと、ビクビクしながら学校に行った。気にし過ぎだったかもしれないがこういう経験が、周囲の目を気にするようになった原因なのかもしれない。
そして順調に中体連を勝ち上がっていき、見事県大会優勝を果たした。その様子を1年生と一緒に応援していた僕は、複雑な気持ちだった。県代表として大会にでれるのは嬉しいが自分の立場はますます難しくなるだけだったからだ。
そして大会の日は割とすぐやってきた。初戦の相手は名門校の附属中学校だった。サッカーファンなら一度は聞いたことのある強豪校だった。
開会式の次の日に試合をすることになっていたので、会場の近くに泊まることになっていた。会場へはバスで行った。メンバーは開会式に出て宿泊し、他の人は試合の日に駆けつけて応援するといった感じだった。
誰が決めたかは分からなかったが気を利かせてくれたのか、僕はメンバーと一緒に宿泊することになった。無駄な機転により、ますます複雑な気持ちになった。メンバーを外れた僕が前日から会場に行く意味などさらさらなかった。先輩方や仲間達の輪の中に事実上入れられたが、ほぼ蚊帳の外だっただろうか。それは当然のことだったが、部活動の練習の時でさえ緊張していた僕が緊張しないわけがなかった。これは僕にしか言えないことだ。試合を10分後に控えた先輩方と同じような緊張を、僕はバスの中やみんなの輪の中にいる時に感じていた。これは何も大げさじゃない。
初日は開会式を観客席から見守った後に、他校の試合を観戦した。初日はそれで終わりだった。ホテルでのことはほとんど覚えていない。覚えていないということは、特に大したことは何もなかったのだろう。
いよいよ二日目が来た。試合前はみんなのサポートをし、試合中は観客席の向かい側から一年生と一緒に応援した。応援しながら、わりと試合を見るのに集中していた。優勝候補相手に序盤で3点を決められたものの、前半のうちに同級生が1点を返し前半を3-1で折り返した。
後日、副顧問の先生の話を聞いたのだが、あの時他校は優勝候補が1点決められたことに驚き、応援してくれていたらしい。それほどまでにその1点は貴重だったのだ。
しかし、後半は相手の猛攻撃を受けて9-1で敗北した。そして、そのままその中学校は全国大会で優勝した。僕の中学校が1点を決めた後の試合ではどの中学校もその強豪校に得点を決められなかったらしい。だからこそ貴重な1点になったのだった。そんなこんなで中体連は幕を閉じた。
夏休みが明け少しすると、先輩方にとっての最後の大会があった。僕の中学校は県大会の3回戦まで勝ち進んだものの、Jリーグでも活躍しているクラブチームのユースと対戦することになり、惜しくも敗北した。
先輩方が引退することになって一番最初は、ホッとしたというのが本音だ。悪いとは思うし、良い経験もたくさんさせてもらったのは事実だが、自分の中にあった緊張の原因が少し消えたのも事実だった。
その後には新メンバーで挑む新人戦があった。新人戦では試合にこそ出なかったものの、メンバー入りを果たした。
ユニフォームを受け取って家に持ち帰った時に今でも忘れられないことがあった。お茶目な母に、ユニフォームをもらったと報告すると母は飛び跳ねて喜んだ。まるで自分のことのように。僕はあの光景をいまだに覚えている。自分のことのように喜んでくれた母の姿を思い出すと、いつも涙が出そうになる。
地区大会で見事優勝を果たして、県大会に行ったものの一回戦で強豪校に負けて新人戦は幕を閉じた。
そして、長い長い2年生が終わった。クラスの仲がとても良くて、来年もこのクラスのままがいいなと思っていた人も多かったみたいだ。僕もそう思っていた。だがクラス替えはおこなわれることになった。卒業式の日でさえ、早めに学校に来て人狼ゲームをやっていたほどだった。
それが何を意味するかわかるだろうか。休み時間には多くの生徒が教室の窓や校庭の隅から試合を見ていたのだ。僕は1年生に混ざってボール拾いをしていた。気にし過ぎだったかもしれないが、僕は全校生徒の前で恥を晒した気分だった。
さらに初戦の相手は言っちゃ悪いが、かなり弱い相手だった。ある程度点差がつくと、控えのメンバーを次々に交代でピッチに入れていった。そして、控えのメンバー全てが中体連の試合のピッチに立つことが出来たのだった。
つまり、僕以外の2年生は全員試合に出れたことになる。しかし、僕はメンバーにすら入れていなかった。次の日は皆にどんな目で見られるのだろうかと、ビクビクしながら学校に行った。気にし過ぎだったかもしれないがこういう経験が、周囲の目を気にするようになった原因なのかもしれない。
そして順調に中体連を勝ち上がっていき、見事県大会優勝を果たした。その様子を1年生と一緒に応援していた僕は、複雑な気持ちだった。県代表として大会にでれるのは嬉しいが自分の立場はますます難しくなるだけだったからだ。
そして大会の日は割とすぐやってきた。初戦の相手は名門校の附属中学校だった。サッカーファンなら一度は聞いたことのある強豪校だった。
開会式の次の日に試合をすることになっていたので、会場の近くに泊まることになっていた。会場へはバスで行った。メンバーは開会式に出て宿泊し、他の人は試合の日に駆けつけて応援するといった感じだった。
誰が決めたかは分からなかったが気を利かせてくれたのか、僕はメンバーと一緒に宿泊することになった。無駄な機転により、ますます複雑な気持ちになった。メンバーを外れた僕が前日から会場に行く意味などさらさらなかった。先輩方や仲間達の輪の中に事実上入れられたが、ほぼ蚊帳の外だっただろうか。それは当然のことだったが、部活動の練習の時でさえ緊張していた僕が緊張しないわけがなかった。これは僕にしか言えないことだ。試合を10分後に控えた先輩方と同じような緊張を、僕はバスの中やみんなの輪の中にいる時に感じていた。これは何も大げさじゃない。
初日は開会式を観客席から見守った後に、他校の試合を観戦した。初日はそれで終わりだった。ホテルでのことはほとんど覚えていない。覚えていないということは、特に大したことは何もなかったのだろう。
いよいよ二日目が来た。試合前はみんなのサポートをし、試合中は観客席の向かい側から一年生と一緒に応援した。応援しながら、わりと試合を見るのに集中していた。優勝候補相手に序盤で3点を決められたものの、前半のうちに同級生が1点を返し前半を3-1で折り返した。
後日、副顧問の先生の話を聞いたのだが、あの時他校は優勝候補が1点決められたことに驚き、応援してくれていたらしい。それほどまでにその1点は貴重だったのだ。
しかし、後半は相手の猛攻撃を受けて9-1で敗北した。そして、そのままその中学校は全国大会で優勝した。僕の中学校が1点を決めた後の試合ではどの中学校もその強豪校に得点を決められなかったらしい。だからこそ貴重な1点になったのだった。そんなこんなで中体連は幕を閉じた。
夏休みが明け少しすると、先輩方にとっての最後の大会があった。僕の中学校は県大会の3回戦まで勝ち進んだものの、Jリーグでも活躍しているクラブチームのユースと対戦することになり、惜しくも敗北した。
先輩方が引退することになって一番最初は、ホッとしたというのが本音だ。悪いとは思うし、良い経験もたくさんさせてもらったのは事実だが、自分の中にあった緊張の原因が少し消えたのも事実だった。
その後には新メンバーで挑む新人戦があった。新人戦では試合にこそ出なかったものの、メンバー入りを果たした。
ユニフォームを受け取って家に持ち帰った時に今でも忘れられないことがあった。お茶目な母に、ユニフォームをもらったと報告すると母は飛び跳ねて喜んだ。まるで自分のことのように。僕はあの光景をいまだに覚えている。自分のことのように喜んでくれた母の姿を思い出すと、いつも涙が出そうになる。
地区大会で見事優勝を果たして、県大会に行ったものの一回戦で強豪校に負けて新人戦は幕を閉じた。
そして、長い長い2年生が終わった。クラスの仲がとても良くて、来年もこのクラスのままがいいなと思っていた人も多かったみたいだ。僕もそう思っていた。だがクラス替えはおこなわれることになった。卒業式の日でさえ、早めに学校に来て人狼ゲームをやっていたほどだった。
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