あるクズ人間の奇譚

ひいらぎ

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高校生編(進学校編)

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 進学校に進学した。同じ中学校の人が15人ほどいただろうか。その中には仲の良かったやつが何人かいた。

 また、受験の時に気づいていたがそこにはさくらちゃんの姿があった。しかし喜びなどありもしなかった。少しだけ気になってはいたが、あれから3年も経ったのだ。全ては変わってしまった。今思えばその程度の恋だったのだろうか。僕はもう永遠の愛に不安しか感じなくなってしまった。

 クラスが発表され同じクラスには、1年生で点数を見せ合っていたやつ、スポ少から一緒で2年生ですごく仲が良かったやつ、1年生の手紙冤罪事件と3年生の謎の事件に関わりがある女子、こども議会や事業で一緒だった女子、さくらちゃんの5人がいた。奇しくも自分と関わりの深い5人だった。

 ここから全てが僕が取り戻したい日々だ。人間性をも変えたいというのなら、中学校もやりなおしたいとは思う。しかし僕は今の自分でこの高校生活をやりなおしたい。たとえ、頑張っても過去に戻れないとしても、そこで自分の未来が明るくなるとは限らないとしても、今の自分が幸せでも……。

 友達に誘われて、一緒に山岳部に入った。時系列は崩れるが、先に山岳部の話だけをしておきたい。正直言って、めちゃめちゃ楽しかった。 中学校のように、じゃあ山岳部でいいかぁみたいなノリで入ったわりに本当に入って良かったと今でも思っている。

 山岳部は練習が週3(これを理由に入ったといっても過言ではないが、あとあと週5ほどに練習量が上がる)で練習といっても、大きい公園までランニングしたり、用具の準備をしたり、会議をしたり、雨の日なんかは背中に人をおぶって階段を昇り降りした。ランニングだけの日が多く、ハードではなかったため楽しんで部活ができた。

 しかし、新入生歓迎登山は楽だったものの、夏合宿で3000m級の山に登った時は相当きつかった。でも、実際に登ってみると予想以上に楽しくて充実感があった。旅館に泊まった時なんかは先輩たちと一晩中人狼をやっていた。それなりに辛いこともあれど、山登りの楽しさと部活動の楽しさを始めて知れた気がした。山頂にテントで泊まった時は、○○○を漏らして大変なことになったけど。

 グラウンドを借りてサッカーをしたり、大きい公園で野球や鬼ごっこをしたりして山登り以外でも楽しいことはたくさんあった。わりと輪の中に馴染めて、先輩たちとも一緒に楽しくできたので言うことはなかった。

 しかし部活動を楽しんでいる間も、徐々に僕は道から外れていった。9月頃には仮病を使って学校をサボり始めた。なぜ?そう思うだろうか。自分で知っている限りで記したい。

 理由はいたって簡単だ。勉強が追いつけなくなって学校をサボるうちに、クラスメイトからの視線が気になって余計に行けなくなったのだ。そう、才能はあっても「努力の才能」がなかったのだ。宿題を出すという習慣さえついていないやつが、仮にも偏差値が59の進学校でノー勉で生きていけるわけがなかった。 真面目に授業を受けることもあまりなかったせいで、テストの点数も目を背けたくなるほどにひどかった。中学校の頃とはうって変わって僕はクラスで下から2番目(1番下はあまり学校に来ない子)の成績だった。

 問題はここからだ。見返してやるとそう思えれば良かった。どんな理由でもいい。ただ努力さえできればそれで良かった。しかし、僕にはできなかった。しなかったわけではない。理由がなかった。当たり前のように学校以外ではゲームしかしていない僕がゲームを理由に勉強できるはずがなかった。前までは当たり前に手に入っていたものを、自分の意志で努力しないと手に入らないものにするのは簡単ではなかった。

 ゲーム以外は何もなかった。この高校生活は知らず知らずのうちに自分をつまらないものにしていた。勉強の才能以外に何も取り柄のなかった僕が勉強の才能を腐らせたことで、何もできなくなった。何も目指せなくなった。気づけば誇れる自分ではなかった。それは自己顕示欲が強い僕にとっては地獄だった。誇れる自分でなくなりそれが中学校の経験と重なった時、僕は学校に行くのが苦痛になっていた。これを以後、自己肯定感の欠如と呼ぶ。

 その前まででも、英語の先生に宿題を出さないことで怒られていたがそこまでではなかった。しかし、自己肯定感の欠如によりそれが地獄になった。みんなのいる教室で怒られるのは耐えがたい苦痛だった。またそれを改善しようと努力せず、それから逃避しようと努力するようになった。中学校の時と同じく刹那主義の発想しか僕を生かしてくれるものはなかった。

 一時期は友達と一緒にバレー部の部室で食べていた弁当も自己肯定感の欠如によって、一人であまり使われない3階のトイレにこもって食べるようになった。みんなと一緒に楽しくやっていた体育の自由時間も、サボってトイレにこもるようになった。決してクラスのみんなが悪いわけではない。自己肯定感の欠如により、僕の意識が大きく変わってしまったのだ。

 そして最悪の輪廻に陥った。学校を一日サボれば次の日の登校がさらに不安になってくる。そしてまたサボれば次の日の登校がもっと不安になった。

 気づけば学校に行くと親にウソをつき、色々なところで時間を潰していた。

 それでも時に優しく、時に厳しくしてくれた。愛情を注いでくれたのだ。

 僕はそれを踏みにじった。

 学校に行くのに挑戦してる風にみせて、実際は電車になどほとんど乗っていなかった。僕を応援するのに全力で作ってくれたハロウィンの弁当も僕は手をつけなかった。

 高校を辞めるまで何度も何度も家族で話し合った。その時期も母が僕に厳しくしていたのは当然だった。でも、いつでも僕を応援してくれて優しく言葉をかけてくれた。父も同じだ。

 ごめんなさいとありがとうだけでは済まされない。しかし、それをまっすぐに伝えることは今もできていない。
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