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第1章『運命の出会い』

第8話 軍事費

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「……その、弁? とか タンク? の費用って…どのくらいかかるんですかぁ?」

 ……一人暮らしの俺は、まあまあ貯金はあるし、生活に困っても居ない。 ……が、見ず知らずの子供に風船を取って上げる為に、何百万、何千万円もささげるほどの余裕は無いよ。

「軍事費用の徴収などせん。 戦いこそが我等われら衛鬼兵団えいきへいだんの報酬ぞ」 ……と、少女が言った。

「なら、お願いします」 俺は頭を下げた。

 参謀長が答礼し、「これにて、軍議を終える。 各自、戦闘配置に着け」

 ……参謀長の閉会の辞と同時に、暗雲が晴れたように夕焼け空が戻ってきた。

 俺も少女も、元の服装に戻っている。 公園の時計を見ると、あれから時間は経過していないようだ。

 ふと、さっきの子供に目をやると、風船を持ち、お母さんと手をつないで、笑顔で家路につく所……だった……!

 え? 本当マジっ??

「我が兵団の威力、思い知ったであろう?」


「お、お見逸みそれしました……」俺は、啞然としながら、謝辞しゃじを口にした…。
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