26 / 86
第3章『初陣』
第8話 強者《つわもの》
しおりを挟む
「何が起きた?」俺はユイに尋ねた。
ユイは小声で「貴様、軍議を聴いてなかったのか?」と呟いた。
…はい、すいません。
こいつらの信じられない早業に理解が追いつかない細河家の皆さんも『どうか、ご教示を!』…と、説明を求めている。
ユイは面倒そうに「情報参謀、説明せい。」と言って、本陣の仕出しおにぎりをパクついた。梅干しを、種ごと齧って食べている。…さっき『歯ぎしり』と思ったのは、この音かぁ。
「はっ」情報参謀は一歩前に進み、説明を始めた。
「我が軍の参謀本部は、本作戦の中核となる貴軍との軍事協定締結にあたり~、え~っ…」…これは長くなりそうだ。
…以下は、情報参謀の説明を要約したものだ。
まず衛鬼兵団参謀本部は、記録に残された細河様のデータと戦国武者およそ千人分のデータをパターン解析し、その結果から、99.9%以上の確率で、細河様が俺たちを裏切ると予測した。
…と言うより、もし俺たちを裏切らずに戦いを始めるようなら、国を治める資格無し…と、滅ぼしてしまうつもりだったようだ。
そして、細河様が計画通りに俺たちを拘束してくれた後『フォーメーション“コード・BS”』が失敗したふりをして、情報参謀の本体の一部を分離させ、『佐井ヶ原』で『地獄の蜘蛛』を発動し、岩熊軍ニ千を一瞬で殲滅した。軍が消えたように見えたのは、その為だ。
その後、岩熊 剛勝の首級を手土産に、武田信玄と会い、『甲獄』の領地三分のニを無料でプレゼントしたそうだ。
その際に、信玄から八瀬《やせ》の隣国『鮫賀』の国の領主宛に、その領地の三分の一を八瀬に渡さないと、武田軍一万が攻めちゃうぞ』という内容の書状を書いて貰った。
それを持って『鮫賀』の国に飛び、交渉した。
武田軍を恐れる鮫賀の領主は、ふたつ返事で領地の三分の一を八瀬にプレゼントしてくれたそうだ。
…と、サラッと書いたが、これを総て、しかも本体の一部のみでやってのけた情報参謀…凄ぇな。
それに加えて、状況説明の後、細河様に『細兵投網のより良い編み方まにゅある』を作って渡し、実技講習までしていた!…見直したよ。 ただ、情報参謀…『まにゅある』はひらがなで書いてもきっと理解されまいぞ。
そんな訳で、無事に俺と鷹音さんが同じ小学校出身になれた! 細河様も死なずに済んだし、先ずはめでたしめでたし…だ。
別れの時、細河様は、改めて頭を下げて下さった。ご家老や旗本も同様だ。騎馬の兵士は鐙を外し、槍隊は槍を伏せている。この時代は、これが最高の儀礼らしい。
名残惜しいが、俺たちは八瀬を後にした。
今回、俺は何もしていない…。帰ったら、情報参謀の爪の垢を煎じて飲ませてもらおう。
******
数日後、俺の実家近くの駅に行ったら、駅名が『鮫賀』から『八瀬』に変わっていた。
更に、駅前に見慣れない銅像が建っていた。…それを見て、俺はほっこりした。
銅像名は『細河兵六公《こう》と三人の強者』。
…凛々しい細河様に、若武者、桃太郎、そしてひょろ長い謎の武者…の三人が、付き従っている銅像だ。
ユイは小声で「貴様、軍議を聴いてなかったのか?」と呟いた。
…はい、すいません。
こいつらの信じられない早業に理解が追いつかない細河家の皆さんも『どうか、ご教示を!』…と、説明を求めている。
ユイは面倒そうに「情報参謀、説明せい。」と言って、本陣の仕出しおにぎりをパクついた。梅干しを、種ごと齧って食べている。…さっき『歯ぎしり』と思ったのは、この音かぁ。
「はっ」情報参謀は一歩前に進み、説明を始めた。
「我が軍の参謀本部は、本作戦の中核となる貴軍との軍事協定締結にあたり~、え~っ…」…これは長くなりそうだ。
…以下は、情報参謀の説明を要約したものだ。
まず衛鬼兵団参謀本部は、記録に残された細河様のデータと戦国武者およそ千人分のデータをパターン解析し、その結果から、99.9%以上の確率で、細河様が俺たちを裏切ると予測した。
…と言うより、もし俺たちを裏切らずに戦いを始めるようなら、国を治める資格無し…と、滅ぼしてしまうつもりだったようだ。
そして、細河様が計画通りに俺たちを拘束してくれた後『フォーメーション“コード・BS”』が失敗したふりをして、情報参謀の本体の一部を分離させ、『佐井ヶ原』で『地獄の蜘蛛』を発動し、岩熊軍ニ千を一瞬で殲滅した。軍が消えたように見えたのは、その為だ。
その後、岩熊 剛勝の首級を手土産に、武田信玄と会い、『甲獄』の領地三分のニを無料でプレゼントしたそうだ。
その際に、信玄から八瀬《やせ》の隣国『鮫賀』の国の領主宛に、その領地の三分の一を八瀬に渡さないと、武田軍一万が攻めちゃうぞ』という内容の書状を書いて貰った。
それを持って『鮫賀』の国に飛び、交渉した。
武田軍を恐れる鮫賀の領主は、ふたつ返事で領地の三分の一を八瀬にプレゼントしてくれたそうだ。
…と、サラッと書いたが、これを総て、しかも本体の一部のみでやってのけた情報参謀…凄ぇな。
それに加えて、状況説明の後、細河様に『細兵投網のより良い編み方まにゅある』を作って渡し、実技講習までしていた!…見直したよ。 ただ、情報参謀…『まにゅある』はひらがなで書いてもきっと理解されまいぞ。
そんな訳で、無事に俺と鷹音さんが同じ小学校出身になれた! 細河様も死なずに済んだし、先ずはめでたしめでたし…だ。
別れの時、細河様は、改めて頭を下げて下さった。ご家老や旗本も同様だ。騎馬の兵士は鐙を外し、槍隊は槍を伏せている。この時代は、これが最高の儀礼らしい。
名残惜しいが、俺たちは八瀬を後にした。
今回、俺は何もしていない…。帰ったら、情報参謀の爪の垢を煎じて飲ませてもらおう。
******
数日後、俺の実家近くの駅に行ったら、駅名が『鮫賀』から『八瀬』に変わっていた。
更に、駅前に見慣れない銅像が建っていた。…それを見て、俺はほっこりした。
銅像名は『細河兵六公《こう》と三人の強者』。
…凛々しい細河様に、若武者、桃太郎、そしてひょろ長い謎の武者…の三人が、付き従っている銅像だ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
【完結】悪の尋問令嬢、″捨てられ王子″の妻になる。
Y(ワイ)
ファンタジー
尋問を生業にする侯爵家に婿入りしたのは、恋愛戦略に敗れた腹黒王子。
白い結婚から始まる、腹黒VS腹黒の執着恋愛コメディ(シリアス有り)です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる