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第1章 Aランク冒険者【炎滅騎士】リーティアの引退
第5話 弾劾裁判(前編)
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長いので前編後編と分けさせて頂きました。
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城門から待機部屋に移動させられて数時間、やっと皇帝の間へ案内された。
「皇帝の間」またの名を「玉座の間」、皇帝の権力の象徴とも言えるそこは大理石をベースに金や宝石で飾られている、そこは一体感と荘厳な空気を作り出していた。実家の悪趣味部屋とは大違いである。そして床に敷かれたレットカーペットの先に皇帝はいた。
若くして皇帝の座に着き、腐敗した政治を正していることで民から尊敬を集める「アロメス・ファルク・レクロマル・ヴィシリス14世」。そして隣に居るのは数年前に結婚したシルトリア公爵家の才媛、アナスタシア・マリア・ヴィシリス皇妃だろうか。なるほど、イケメン美女カップルである。ま ぶ し い 。
レットカーペットの外側に居るのは貴族や王宮に勤めている役人だろう、何人か知ってる顔がいた。
そんなことを考えていると
「ここで待機せよ」
という近衛兵の言葉で座らされた。そこは簡易的な裁判所が設置されていた。そしてそこには_____
「貴様!この汚い手を離せ!!辺境伯爵の私に何をする!!!」
「私たちにこんな無礼を働くなんて恥を知りなさい!!」
「聞こえないのか愚弄ども!!」
「さっさとこの錠を外しなさいよ!」
「お前たちが処刑されるべきよ!!」
うん、2度と会いたく無かった私の今世の家族。前世の方がよかったランキングナンバー1の項目である。
今回の騒動の発端になった父親、人に嫌がらせばかりしてきた父親の正妻、事あるごとに不利な勝負を仕掛けてきた(全部私が勝ったが)兄姉たち。その隣で項垂れて居るのは兄姉たちの家族だろうか、子供も居るな。
そして私を見るなり一斉に攻撃対象を私に変えた。
「リーティア!お前のようなヤツが何故ここに?!」
「化け物風情が皇帝の間に来るな!けがわらしい!!」
「私たちにさっさと頭を垂れないか!」
「帰れ出来損ない!!」
「そうよ!そうよ!」
久しぶりの再会も怒濤の悪口とは呆れてしまう、周りも結構引いてるし。
「英雄になんてこと」
「ギフト持ちを化け物などと」
「正妻以外の子供でもあれは無いぞ」
「皇帝陛下の前で無礼を働いているのは貴様らの方だ」
最後の人、もっと言ってくれ。
億劫になっていると玉座の近くに居た騎士が声を上げる。確か騎士団の団長だったか。
「罪人よ静かにせよ!これより皇帝陛下の言である!!!」
貴族や役人たちが一斉に片膝を立て拝謁の姿勢を取る。私も念の為やっておこう、あのバカ家族は........何人か呆けてしまってやってなかった、そんなに罪人って言われたのびっくりしたの??
一方、皇帝は立ち上がり話始める。
「家臣たちよ!良く来てくれた!!これよりアレクサンドラ家の弾劾裁判を始める!!!裁判長よ、彼らの罪科を明らかにせよ!!!!」
そう皇帝が話した瞬間、よぼよぼの老人が立ち上がりその部下であろう男が巻物を広げ、それを読み上げる。
「はっ、畏まりました皇帝陛下。ゴホンッ アレクサンドラ家及びアレクサンドラ家家長シモニ・ジョエル・アレクサンドラ元辺境伯爵。お前は違法奴隷の所持に国家に納める税を着服し、さらに国家転覆未遂の容疑が掛けられている。罪を認めるか?」
「.........断じてやっとらん!!やるとしたらそこの愚娘だ!」
と、俺を指差す。他の家族も「そうだ、そこの娘の指示だ」と言い出す。何言ってるんだコイツら。
「ほう?貴様はそう主張するか」
「この娘は親を親とも思っておらず、恩も返すこと無く冒険者という下賤な職に着いた!!」
違う、この父親は私を娘なんて思ったことなどない。娘と思っているなら離れのぼろ屋敷に置き貧乏生活を送らせるものか。それに私の母親を第2夫人にしたのだって母の実家の商会の持つポーションの特許が欲しかっただけだろうに。
そして冒険者を侮辱することがこの国でどれだけマズいことなのか分かってない。
とりあえずどう無実を証明するべきかを考えなくては。すると皇帝が直接父親に聞いてくる。
「シモニ・ジョエル・アレクサンドラ、今の言葉。真であると宣言するか?」
「は、はい!!もちろんでございます!!皇帝陛下に虚偽などすることはあり得ません!!!」
言い切りやがったよ、コイツ。まぁ、私の無実を証明すれば一気にマズいことになるのだがその証明が難しい。どうしたものか...............。
「なるほど、其方の言葉確かに聞いた。枢機卿よ!神託と裁定の巫女を此処に」
「畏まりました」
あ、父親終わったな。
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城門から待機部屋に移動させられて数時間、やっと皇帝の間へ案内された。
「皇帝の間」またの名を「玉座の間」、皇帝の権力の象徴とも言えるそこは大理石をベースに金や宝石で飾られている、そこは一体感と荘厳な空気を作り出していた。実家の悪趣味部屋とは大違いである。そして床に敷かれたレットカーペットの先に皇帝はいた。
若くして皇帝の座に着き、腐敗した政治を正していることで民から尊敬を集める「アロメス・ファルク・レクロマル・ヴィシリス14世」。そして隣に居るのは数年前に結婚したシルトリア公爵家の才媛、アナスタシア・マリア・ヴィシリス皇妃だろうか。なるほど、イケメン美女カップルである。ま ぶ し い 。
レットカーペットの外側に居るのは貴族や王宮に勤めている役人だろう、何人か知ってる顔がいた。
そんなことを考えていると
「ここで待機せよ」
という近衛兵の言葉で座らされた。そこは簡易的な裁判所が設置されていた。そしてそこには_____
「貴様!この汚い手を離せ!!辺境伯爵の私に何をする!!!」
「私たちにこんな無礼を働くなんて恥を知りなさい!!」
「聞こえないのか愚弄ども!!」
「さっさとこの錠を外しなさいよ!」
「お前たちが処刑されるべきよ!!」
うん、2度と会いたく無かった私の今世の家族。前世の方がよかったランキングナンバー1の項目である。
今回の騒動の発端になった父親、人に嫌がらせばかりしてきた父親の正妻、事あるごとに不利な勝負を仕掛けてきた(全部私が勝ったが)兄姉たち。その隣で項垂れて居るのは兄姉たちの家族だろうか、子供も居るな。
そして私を見るなり一斉に攻撃対象を私に変えた。
「リーティア!お前のようなヤツが何故ここに?!」
「化け物風情が皇帝の間に来るな!けがわらしい!!」
「私たちにさっさと頭を垂れないか!」
「帰れ出来損ない!!」
「そうよ!そうよ!」
久しぶりの再会も怒濤の悪口とは呆れてしまう、周りも結構引いてるし。
「英雄になんてこと」
「ギフト持ちを化け物などと」
「正妻以外の子供でもあれは無いぞ」
「皇帝陛下の前で無礼を働いているのは貴様らの方だ」
最後の人、もっと言ってくれ。
億劫になっていると玉座の近くに居た騎士が声を上げる。確か騎士団の団長だったか。
「罪人よ静かにせよ!これより皇帝陛下の言である!!!」
貴族や役人たちが一斉に片膝を立て拝謁の姿勢を取る。私も念の為やっておこう、あのバカ家族は........何人か呆けてしまってやってなかった、そんなに罪人って言われたのびっくりしたの??
一方、皇帝は立ち上がり話始める。
「家臣たちよ!良く来てくれた!!これよりアレクサンドラ家の弾劾裁判を始める!!!裁判長よ、彼らの罪科を明らかにせよ!!!!」
そう皇帝が話した瞬間、よぼよぼの老人が立ち上がりその部下であろう男が巻物を広げ、それを読み上げる。
「はっ、畏まりました皇帝陛下。ゴホンッ アレクサンドラ家及びアレクサンドラ家家長シモニ・ジョエル・アレクサンドラ元辺境伯爵。お前は違法奴隷の所持に国家に納める税を着服し、さらに国家転覆未遂の容疑が掛けられている。罪を認めるか?」
「.........断じてやっとらん!!やるとしたらそこの愚娘だ!」
と、俺を指差す。他の家族も「そうだ、そこの娘の指示だ」と言い出す。何言ってるんだコイツら。
「ほう?貴様はそう主張するか」
「この娘は親を親とも思っておらず、恩も返すこと無く冒険者という下賤な職に着いた!!」
違う、この父親は私を娘なんて思ったことなどない。娘と思っているなら離れのぼろ屋敷に置き貧乏生活を送らせるものか。それに私の母親を第2夫人にしたのだって母の実家の商会の持つポーションの特許が欲しかっただけだろうに。
そして冒険者を侮辱することがこの国でどれだけマズいことなのか分かってない。
とりあえずどう無実を証明するべきかを考えなくては。すると皇帝が直接父親に聞いてくる。
「シモニ・ジョエル・アレクサンドラ、今の言葉。真であると宣言するか?」
「は、はい!!もちろんでございます!!皇帝陛下に虚偽などすることはあり得ません!!!」
言い切りやがったよ、コイツ。まぁ、私の無実を証明すれば一気にマズいことになるのだがその証明が難しい。どうしたものか...............。
「なるほど、其方の言葉確かに聞いた。枢機卿よ!神託と裁定の巫女を此処に」
「畏まりました」
あ、父親終わったな。
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