リーティアの領地経営

優義

文字の大きさ
4 / 40
第1章 Aランク冒険者【炎滅騎士】リーティアの引退

第4話 残された騎士たち

しおりを挟む
今回はリーティア以外のsideからです
────────────────────────
 リーダーが手紙を残して居なくなったのを知ったのは俺、ジョフ・ウィトレースが帝都までの移動ルートを調べに役場に来ていた時だった。普段冷静なジャンヌが慌てた様子で俺に迫り手紙を見せてきた。

 手紙の内容には「公爵とギルドマスターに呼ばれたので冒険者ギルドに行ってくる」というもの。リーダー1人のみのという指名に嫌な予感を覚える。
俺はすぐに買い出しに行っていたエルリックとモーリスを呼び戻し、冒険者ギルドに向かった。

幸い受付嬢はリーダーを呼び出しに宿屋へ向かった本人だったようですぐにギルドマスターの部屋まで案内された。そしてリーダーが呼ばれた理由に唖然とした。
なんでもリーダーの実家が国家転覆罪を行ったせいでリーダー自身も拘束されたらしい。

「納得できません!リーダーは実家と何十年もの間連絡をとることも領地を踏むことも無かったんですよ!!」

「行動を移すのが速すぎるなんだな」

「冒険者ギルドは何をやっているのですか!」

 エルリック、モーリス、ジャンヌがギルドマスターを責める。3人の言い分は良く分かる。

そもそも冒険者ギルドは国の政治に直接干渉しない代わりに国も冒険者ギルドに干渉しない、干渉してもそれは厳密な機密保持契約を両者が自ら結ばなければいけない決まりがある。
今回の場合、いくら実家が罪に問われていても冒険者ギルドが協力して無実の冒険者を捕縛することはギルド側の規約違反だ。

「君たちの言い分は良く分かっている、我々冒険者ギルドも彼女が処罰を受けないように嘆願書を出している。それにディリド公爵も中央へ圧力をかけてくれるそうだ、そして彼女が助けた者からの反発が起きかねない。今の皇帝は民の反発を招くようなことを嫌っているから処刑まではいかないだろう」

 処刑_____そうか、国家転覆罪なら処刑を求刑される可能性がある。最悪のケースだ、脱獄させた方が良いのではとも思うが最終手段だろう。この国にはもう居られないのだから。

「処刑を回避しても国外追放などはあり得るのでは?」

 俺は冷静に訪ねてみた。

「いや、追放はない。【失墜の騎士団】はこの国の英雄、先ほど言ったように反発が起きかねない、それに彼女自身は罪を犯していない。無罪放免か多少の罰金が科される程度のものだろう。安心しなさい」

 判決を下すヤツがバカかもしれないからその懸念があるのだが心配しても仕方ない、のか。かなり心配になってきた、帝都へ向かわなくては。

「では、我々も帝都へ行くことにします」

「ならん、帝都本部からの命令でリーティアの判決が決まるまで君たちは都市内で待機だ、仕事も一切受けるな。その間の宿代と生活費代はこちらで払う。以上が私たちからの命令だ、下がってくれ」

 完全に手を打たれてた。これでは彼女を助けに行くことも難しい。

「............失礼します。皆、行こう」

 部屋を出てフロントに続く廊下を歩いているときにジャンヌがポツリと言った。

「準備だけして待機命令が解除され次第、此処を発ちましょう」

「それしかやることがないんだな、悔しいけど」

「強行軍用のプラン立てようぜ」

 なるほど、強行軍なら2日ぐらいで着きそうだな。俺達らしい方法だ。

「そうだな、準備しよう」

途中、拘置所で面会出来るかも知れないと思い拘置所までやって来たことが案の定門前払いされた。

 移送された後はリーダーの安否を祈りつつ、帝都へ向かう準備を開始した。

────────────────────────
次回はリーティアsideに戻ります。
速く領地経営させたいのですが、まだ時間が掛かりそうです。
もう少しお待ち下さい
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...