リーティアの領地経営

優義

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第2章 荒れ果てた故郷

第15話 薬草

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この章、いつまで続ければいいのか分からなくなって来た作者です。
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 会議からの2週間も怒濤の日々だった。
まず、複式簿記などの権利についての書類を確認して判を押していく作業。たまに、私が不利になるものが書かれているので気が抜けない。

 次に帝国から届く書類の処理、少しでも遅れると取りに来たヤツが文句たれていくもんだから疲れる。はよ行けや。

 そしてこの屋敷内での予算案だ。削れる所は削っておきたいので他人任せには........実は出来る。
アメリアやジャックに頼めば良いのだがあの2人はここ2週間、使用人の指導に当たっていた。どうもここのメイドたち教育途中が大半らしい、なんでも殆どのメイドが王国側のスパイや同じく反旗を翻そうとした家の者だったとかで捕まったらしい。しかし混乱の最中1人逃げられたらしい。何やってるんだか。
まぁ、落ち着いたら屋敷内の予算案相談してみよう。

 最後が1番疲れる各ギルドマスターとの調整だ、特に商業ギルドと服飾ギルドのギルドマスターがかなり曲者で、油断してると足元を掬ってくる。
 違法なことはしてこないので怒るに怒れないのが現状である。

 そしてここに来て重大な問題が上がっていた。

 そう!特産物である薬草の収穫量が少ないのだ。

 帝国に税を納める方法は3つあり、1つは皇帝が推進している直接一定額の現金を納める方法、2つ目は軍役など帝国の事業や要職に就いて働くことで徴収を回避する方法、最後がその領の特産物を一定量納めることである。

 アレクサンドラ領では特産物の薬草を提出することで税を納めてきた。しかし現在、その薬草がかなり不足しるらしい。このままでは納税以前に配るためのポーションも作れない。

 薬草不足の原因というのは農家不足というのもあるが、それ以上に育ちが悪いらしい。
 今、栽培方法やここ数年の気候や災害についての資料をかき集めているころだ。

「領主様、頼まれてた通り農民代表を呼んでまいりました」

 農業部門の長、アベール・レブナードがドアを開き、3人の農民を連れてきた。おい、資料を持って来いと言ったのに何で農民呼んで来いってことになった???
あとで問い詰めよう。

「えっと.......すいやせん、あっしら農民の出なので敬語が...........」

「構いません、むしろ良く来てもらえた。と拒否されてもおかしないので」

「まぁ、俺達も配給隊に望みを掛けてるんですわ」

 それなら尚のこと成功させないと。

「それで薬草の栽培方法でしたよね、それなら種撒いて、水を撒いて雑草取って育てて、収穫って言う流れですわ」

 なるほど、まぁここまでは予想通り。だが気になることがある。

「土はどうしているのですか?」

「土?まぁ、種まく前に耕すぐらいですよ。そういや余所の領から来たうちの嫁がそれだけで良いなんて楽だとか言ってましたね」

 はい、原因判明。恐らく土に栄養が無くなってきたのが原因だろう、それで薬草の収穫量が激減したのだ。
しかしそれならずっと前から起きててもおかしくないのだが、アレクサンドラ領での薬草栽培は数百年前から行っていること。それなら何度も起きてもおかしくないだが...........

「領主様、ステンです、会議中申し訳ございません。領内の気候記録をお持ちしました」

「ありがとう、持ってきて」

 渡された資料を読んでいくと、原因が読めた。そう、近年川による氾濫が激減してるのだ。それは先々代の領主、私の祖父に当たるムジード・ベル・アレクサンドラが行った治水政策に建造したダムの結果である。
 恐らく氾濫と共に流れてきていた栄養に富んだ土が運ばれなくなって土地が痩せてしまったようだ。逆に肥料撒かなくて良い程の栄養を運んできていたとか凄いな。

「多分ずっと流れてきていた栄養が流れてこなくなって土地そのものが痩せてしまったのね」

「そ、そんなことがあり得るのですか?!」

 あ、ヤバい。また、やらかしたか?

「いや、ソロ冒険者の時に砂漠からやって来たとかいう人が氾濫でやってきた栄養のお陰で砂漠でも農業が出来てるって聞いたことがあってな」

 無論、砂漠から来た人は嘘で本当は前世の古代エジプトの話を聞いたときに知った話だ。

「じゃあ、あのダム壊しまうんですか?!氾濫が起きたら畑や家屋が...........」

「いいえ、ダムはそのままで構いません。私もあのダムはそのままにしておきたいですし」

 ダムを壊すことのメリットよりデメリットの方がデカいのは明らかである。それよりも楽な方法があるわけだし。

「その代わり、肥料を撒きましょう。そちらの方が氾濫を待つよりずっと楽でしょう」

「ですが、肥料なんてこの領には必要なかったですし余所から仕入れることになりますよ?!!」

 農業部門の長が叫ぶ。確かにそれは認める。
配給隊やら減税やらでそっちに回せる金はない。いや、私のポケットマネーから出せば多少?でも領主としては良くないなぁ。

「少し考える時間を頂戴、領内で賄えないか考えてみる」

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この小説書くために農業の本とか漁ってるんですけど何分文系なもので理解するのが大変です。
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