リーティアの領地経営

優義

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第2章 荒れ果てた故郷

第16話 肥料革命

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「と、言ったものの」

 アレクサンドラ領内で賄えそうな肥料は今のところ1つしか思い浮かばない。まぁ、所謂堆肥である。藁とか雑草から作るものはまだしも、人畜の糞を発酵させて作るものはどう説明して納得して貰うのかが鬼門だ。下手したら領主の価値が落ちそう。それにこれが有効だとは決まったわけではないのだし。
まぁ、藁とか雑草から作るのだけ教えれば良いか。

「他に考えられる肥料は............」

 そもそも堆肥はあるだけマシ、という代物らしい。あと堆肥を作って土に混ぜる労力が凄まじいらしく、それをするぐらいなら化学肥料を使った方が良いらしい(by前世のお祖母ちゃん)。
だかあいにくそんな素敵アイテム化学肥料、持ち込み異世界転移か、取り寄せチート持ち、或いは生産チート持ちぐらいしか持ってないだろう。

 ということで私が追加で欲しいのは有機質肥料だ。これは油粕などを使った肥料で栄養に偏りはあるものの、堆肥より良い肥料になるらしい。まぁ、その油粕なんてものがこの領にないのだが。あと出来るそうなものと言えば1つぐらいだ、でもあるのか??ダメもとで聞いてみるか??

「大量にあって皆に食べられていないもの??それならまぁ、心当たりがありますぜ」

 あったよ、あったんだ。ダメもとで聞いてみた相手は魚の保存食の件で屋敷に来ていた漁業ギルドのギルドマスター、ジョナサンさんだ。あの会議で私に紅茶をぶつけようとした人でもある。

 ジョナサンさん曰く、骨やワタが体の殆どで身が少なく味もマズい貧乏人でも食べようとしない魚がいるらしい。漁師間では外れといわれ捨てるしかないらしい(リリースしても大繁盛するから廃棄を推奨)。
魚かすの有機質肥料作れるじゃん、そのためにいるような魚じゃん。

 魚かすとは江戸時代でも人気があった肥料で、金肥とも言われていた。効果は期待して良いだろう。

 大急ぎでジョナサンさんにその魚を廃棄せずに魚かすの製造に回すよう頼んだ。 
「使い道あったんだな」と、困った笑いをしながらジョナサンさんは帰って行った。

 1ヶ月後、魚かすの有機質肥料と共に藁や雑草から作る堆肥の作り方、そしてその使用方法を農民代表の人たちに教えた。これならと、ウキウキしながら帰って行ったのが印象的だったな。

あとは農業部門の長を少し絞ってから堆肥の作り方と魚かすの生産の指揮を執らせ、各村にも教えるように指示しておいた。どうなるか、楽しみだ。

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 さらにその3週間後、農業部門から畑が持ち直した所か豊作になったという報告を多数聞いた。良かった有効だったか。

 収穫された薬草はメルガルンド商会に回され、ポーションに加工された。彼処は優秀な錬金術師や薬師を大勢有している、うちにも専属が欲しいなぁ、開発して欲しいものは沢山あるのだ。

 そして各ギルドからも配給隊の準備が整ったとお知らせが届いた。

 さぁ、待ちに待った配給隊派遣だ。吉と出るか凶と出るか_____

「さぁ、リーティア様、準備しましょうか」

 え、アメリア。またあの準備やるの???
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