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第3章 初めての冬越え
第32話 神官
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礼儀作法のレッスンと仕事を繰り返す日々が続いた。動きはまぁまぁ出来始めたが、言葉が難解だ。なんだよ、「付き添いは貴女に」が「これ以上触れるな」になるんだ。
今は書類仕事だ。あ、リンスの売れ行きは良さそうだな。これなら平民向けのリンスの販売計画を前倒しにしても良さそうかもな。
領内の税収も問題無さそうだ。
コンコンッ
「領主様、お客様です」
え、今日の予定で来た客はもう居ない筈だが。
「誰だ?」
「隣領ベーダグンの神官様です」
おいおい、隣領が何のようだ。敵陣視察か?
「用件は聞いているか?」
「寄付をお願いしたいとのことです」
いやなおさら何故うちに来た。
「30分後、応接間へ通せ」
「分かりましたが、よろしいのでしょうか?」
「事前連絡も無しで来たんだ、これぐらい待って貰おう」
「畏まりました」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
接客用のドレスに着替え、応接間にやって来た。
「お待たせしました。なにぶん民のためにしなければならないことが多いもので」
「そ、そうですか。しかし大司教たる私めを待たせる程とはよっぽど忙しいのですね」
うわー、良く肥えた家畜といえばいいのかその上に神官、大司教の法衣を着ている茶色の眼と髪の男。しかし脂身が多くて売り物になれなさそうなヤツだな。
取り巻きはチンピラみたいだし。
「いえいえ、その身体で忙しなく働き領主に事前連絡無しで来るほどお忙しい大司教に比べればまだまだですよ」
皮肉で返してやる。
「ぐ.............あぁ、申し訳ございません。私、隣領のベーダグン領で大司教として神に仕えております。バレガドンと申します。始祖神の寵児たる貴女様に出逢えて嬉しい限りです」
厄介そうだな、あと全然敬ってない顔だ。
「では私も。このアレクサンドラ領で領主を務めております、ルーティア・アレクサンドラと申します。
早速ですがこちらにお越しになられた理由をお聞かせ願えませんでしょうか」
「え、えぇ、もちろんですとも。是非とも我が教会に寄付をお願いしたく..........」
この世界の宗教は始祖神を始まりとした自然や技術体系、概念を司る数多くの神がいると信じる多神教を信じる者が殆どだ。私が思うにこの世界の神様はこれだろう。
そして今では古くからの教えを信じる古典派とそれを革新する改革派、そして古典派から派生した最も古い教え、教典のみだけで良いとする回帰派などがある。
改革派は元々迫害に対抗するために作られた派閥だったが今は私欲に溺れている。この神官もこの一派だろう。
「教会への寄付ならしますよ。昔も今も、そしてこれからも」
「あぁ、流石は始祖神様の寵児様!では__」
「しかし寄付するのは我が領の教会です、彼処は先代の圧政で隣接している孤児院の経営が苦しいのにも関わらず孤児達を育てようとしてくれた教会、その詫びとこれからも孤児達が健やかであれと多額の寄付を既にしているのです。そして残ったお金も民のために還元する為の政策に使うので貴方の教会分はありません」
これは全て事実だ。圧政のせいで孤児はかなり増えており、殆どの孤児院がパンク寸前&火の車だった。今は多額の寄付で何とかして貰ってる。
「領主様、貴族は教会に寄付して神の子である義務を果たさなければ。貴方ほどなら貧しくとも私財を投じれば」
「そこまで寄付を願うのなら何故隣領ではなくこちらへ?」
これ明らかにたかりだな、コイツ。どう追い返したものか。
「い、いや____私はただ、裕福な者の義務を果たして欲しいと___」
「先ほど申し上げた通り、私は既にこの領の教会に多額の寄付を行っています。それとも帝都の方に寄付を行えば良いのですか?わざわざ隣領からやって来た神官がもっと寄付を行えと言ってきたので寄付をしに来たと申しながら?」
「いえ.........し、失礼致します」
神官は少し睨みつけるとそそくさと帰っていった。念の為、変なことさせないために治安維持部隊に護送という名の監視を命令した。妙なことはさせないからな。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ジャック、隣領のベーダグンってどんな場所か分かるか?」
「先代とは家族ぐるみで付き合う中でベーダグンの現当主の妹殿が領主様の兄君ダベン様の正妻でございます」
あぁ、あの負けず嫌いか。
「なら私のことは面倒に思ってるでしょうね。あの神官と繋がってそうだわ」
「えぇ、厄介者と思っているでしょう。軍を動かせば帝国がすぐ察知して来ますので下手なことはしないかと」
「例え帝国の目が無くとも手を出させないようにさせなければいけないな」
「さようです。今は領主様という存在が武力面で押しています」
「私がこっちに居なくとも攻撃させないようにこの領を育てなければ」
「はい」
コンコンッ
「領主様、リリーです。招待状が届いております」
招待状?何処だ、そんな物好きなヤツ。
「分かった、入ってくれ」
「はい」
リリーが持ってきた招待状は1通。
「2つ隣の領アルフェを治めるアルフェ子爵家のご令嬢。ベル・アルフェ様のお茶会だそうです」
──────────────────────
こんにちは、作者の優義です。
最近プライベートの方が忙しくなったのとその影響で少し体調を崩してしまい、執筆の時間が思うように取れなくなってしまいました。
今後の更新は3日に1度とさせてください。
今は書類仕事だ。あ、リンスの売れ行きは良さそうだな。これなら平民向けのリンスの販売計画を前倒しにしても良さそうかもな。
領内の税収も問題無さそうだ。
コンコンッ
「領主様、お客様です」
え、今日の予定で来た客はもう居ない筈だが。
「誰だ?」
「隣領ベーダグンの神官様です」
おいおい、隣領が何のようだ。敵陣視察か?
「用件は聞いているか?」
「寄付をお願いしたいとのことです」
いやなおさら何故うちに来た。
「30分後、応接間へ通せ」
「分かりましたが、よろしいのでしょうか?」
「事前連絡も無しで来たんだ、これぐらい待って貰おう」
「畏まりました」
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接客用のドレスに着替え、応接間にやって来た。
「お待たせしました。なにぶん民のためにしなければならないことが多いもので」
「そ、そうですか。しかし大司教たる私めを待たせる程とはよっぽど忙しいのですね」
うわー、良く肥えた家畜といえばいいのかその上に神官、大司教の法衣を着ている茶色の眼と髪の男。しかし脂身が多くて売り物になれなさそうなヤツだな。
取り巻きはチンピラみたいだし。
「いえいえ、その身体で忙しなく働き領主に事前連絡無しで来るほどお忙しい大司教に比べればまだまだですよ」
皮肉で返してやる。
「ぐ.............あぁ、申し訳ございません。私、隣領のベーダグン領で大司教として神に仕えております。バレガドンと申します。始祖神の寵児たる貴女様に出逢えて嬉しい限りです」
厄介そうだな、あと全然敬ってない顔だ。
「では私も。このアレクサンドラ領で領主を務めております、ルーティア・アレクサンドラと申します。
早速ですがこちらにお越しになられた理由をお聞かせ願えませんでしょうか」
「え、えぇ、もちろんですとも。是非とも我が教会に寄付をお願いしたく..........」
この世界の宗教は始祖神を始まりとした自然や技術体系、概念を司る数多くの神がいると信じる多神教を信じる者が殆どだ。私が思うにこの世界の神様はこれだろう。
そして今では古くからの教えを信じる古典派とそれを革新する改革派、そして古典派から派生した最も古い教え、教典のみだけで良いとする回帰派などがある。
改革派は元々迫害に対抗するために作られた派閥だったが今は私欲に溺れている。この神官もこの一派だろう。
「教会への寄付ならしますよ。昔も今も、そしてこれからも」
「あぁ、流石は始祖神様の寵児様!では__」
「しかし寄付するのは我が領の教会です、彼処は先代の圧政で隣接している孤児院の経営が苦しいのにも関わらず孤児達を育てようとしてくれた教会、その詫びとこれからも孤児達が健やかであれと多額の寄付を既にしているのです。そして残ったお金も民のために還元する為の政策に使うので貴方の教会分はありません」
これは全て事実だ。圧政のせいで孤児はかなり増えており、殆どの孤児院がパンク寸前&火の車だった。今は多額の寄付で何とかして貰ってる。
「領主様、貴族は教会に寄付して神の子である義務を果たさなければ。貴方ほどなら貧しくとも私財を投じれば」
「そこまで寄付を願うのなら何故隣領ではなくこちらへ?」
これ明らかにたかりだな、コイツ。どう追い返したものか。
「い、いや____私はただ、裕福な者の義務を果たして欲しいと___」
「先ほど申し上げた通り、私は既にこの領の教会に多額の寄付を行っています。それとも帝都の方に寄付を行えば良いのですか?わざわざ隣領からやって来た神官がもっと寄付を行えと言ってきたので寄付をしに来たと申しながら?」
「いえ.........し、失礼致します」
神官は少し睨みつけるとそそくさと帰っていった。念の為、変なことさせないために治安維持部隊に護送という名の監視を命令した。妙なことはさせないからな。
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「ジャック、隣領のベーダグンってどんな場所か分かるか?」
「先代とは家族ぐるみで付き合う中でベーダグンの現当主の妹殿が領主様の兄君ダベン様の正妻でございます」
あぁ、あの負けず嫌いか。
「なら私のことは面倒に思ってるでしょうね。あの神官と繋がってそうだわ」
「えぇ、厄介者と思っているでしょう。軍を動かせば帝国がすぐ察知して来ますので下手なことはしないかと」
「例え帝国の目が無くとも手を出させないようにさせなければいけないな」
「さようです。今は領主様という存在が武力面で押しています」
「私がこっちに居なくとも攻撃させないようにこの領を育てなければ」
「はい」
コンコンッ
「領主様、リリーです。招待状が届いております」
招待状?何処だ、そんな物好きなヤツ。
「分かった、入ってくれ」
「はい」
リリーが持ってきた招待状は1通。
「2つ隣の領アルフェを治めるアルフェ子爵家のご令嬢。ベル・アルフェ様のお茶会だそうです」
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こんにちは、作者の優義です。
最近プライベートの方が忙しくなったのとその影響で少し体調を崩してしまい、執筆の時間が思うように取れなくなってしまいました。
今後の更新は3日に1度とさせてください。
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