神様のミスで女に転生したようです

結城はる

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19 ウルレインの街の危機②

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 私は急いでウルレインへと向かった。
 辿り着いたら、衛兵も冒険者も何なら騒いでいる。
 なんか前にもこんなことあったな。
 私の岩石嵐ロックストームの後に……。あの時は私のせいだけど今回は違うよね。
 冒険者ギルドに向かうと、ギルマスが冒険者に向かって話していた。

「今、ワイバーンの大群がこのウルレインの街に向けて飛行中だと情報が入った! この街を守るために冒険者のみんなには協力してもらいたい。ワイバーンはBランクの魔物だ。できるだけ多くの冒険者が必要だが、上空に飛んでいるワイバーンを倒すのは困難を極める。そのため、遠距離攻撃ができる魔法使いや弓使いは積極的参加してもらいたい。そしてそれ以外の者たちは魔法使いと弓使いの防衛に回って欲しい。報酬もたっぷり用意するから全員で協力してくれ」

 ギルマスが壇上に上がって熱弁をしていた。
 そうか、ワイバーンの群れがきていたのか。
 だからあんなに見たわけだ。でも、まだ街には被害が出てないよね。
 その大群はいつここに到着するんだろう。
 ギルマスに聞いてみよう。

「ギルマス。ワイバーンはいつ頃ここに到着するんですか」
「あ~、君か。そうだね、報告だと2日後と聞いている。どうもここから北西にあるバリスという街がワイバーンの群れに襲われて、その後はこちらに向かって飛んできているみたいだ」

 なるほどね、バリスという街はワイバーンによって壊滅でもしたのかな。だとしたら可哀想だな。
 このウルレインでも同じことが起きてほしくはない。
 私がワイバーンの群れを討伐してもいいんだけど、英雄扱いせれても困るし、魔法のことは教えたくないしな。
 どうしたものか……。

「ギルマス。少し相談があるんですけど」
「うん? なんだ」
「ここじゃ、ちょっと……」

 他の冒険者が見ているところで話すわけにはいかないので、私はギルマスの部屋に向かった。

「ワイバーンの群れなんですが、私が先行して討伐してきてもいいですか」
「なんだと!? 君が魔法使いとして優れているのは分かっているが、流石に上空にいるワイバーンは無理だ」

 私は、アイテム袋から取り出すように偽装して無限収納からワイバーンを一体出す。

「なんだこれは!?」
「ワイバーンですよ。魔法でかなり傷だらけですけど。今日の依頼でオーク討伐してきた帰りにワイバーンが5体いたので、ついでに倒してきたんですよ」
「なんと……。お前は何者なんだ」
「普通の魔法使いだとは思っていますよ。でも、私は目立ちたくも、英雄扱いされるもの嫌なので、できれば1人で動きたいんです」

 ギルマスは困った表情になる。

「しかしな……、君にだけそのような負担を掛けられん。それに万が一討伐できた場合、他のものにはどのように説明するんだ」
「そんなの、ワイバーンは別方向に行きましたとでも説明してください」

 ギルマスは再度困った表情になる。

「やはり、君1人に任せてしまうのは気が引ける。それでだ、2人組パーティでBランクの女性冒険者がいるからその者たちを君の護衛として同行させて欲しい」
「その人たちは口は堅いですか。私の秘密を絶対に守れる人であれば構いません」
「分かった、その者たちにもそのように伝える。こちらで手配するから君はここで待っていてくれ」

 ギルマスは、部屋を出て行った。
 なんとか交渉はできたけど、単独じゃないのはちょっと面倒だな。
 私にいきなり共闘は無理だ。
 それに口は堅くてもBランクなら変なプライドとか持ってそうで嫌だな。
 獲物を独り占めする気か、とか言われないよね。
 しばらくすると、ギルマスが2人の女性を連れて入ってきた。

「この者たちを同行させようと思う」
「あたしは、Bランク冒険者のカレンだ。職業は剣士をやっている。ギルマスから話は聞いた、よろしくな」

 赤毛で長身のカレンが挨拶をしてくる。第一印象は綺麗な人だと感じた。

「同じくシャーロットです。職業は弓使いです。よろしくお願いします」

 私と同じくらいの身長だが金髪美少女だ。可愛い。でもサーシャの方が好みだ。

「はい、私はヒナタと言います。よろしくお願いします」

 そこからは、3人で話をするため、部屋を出た。
 私の宿にきてもらい、カレンとシャーロットに今回のワイバーン討伐について話した。

「ふーん、つまりは基本、戦闘はヒナタがやるということだな。あたしたちは万が一の時のための護衛ってことか」
「わ、私はそれで構いませんよ、ヒナタさんにお任せしたいと思います」
「無理を言っているのは分かっていますが、1人の方が討伐がしやすいんですよ。それに一番大切なのは、今回の討伐で私が使う魔法を誰にも話さないことです」

 2人は不思議そうな顔をしている。

「そこが一番不思議だな。ワイバーンの大群を倒せるような魔法が使えるのに秘密にして欲しいとか」
「ただ目立ちたくないだけです、それで約束は守っていただけますか」
「ヒナタが言うならあたしはそれで構わないよ」
「私も誰にも話しません」

 交渉成立だな。あとは、魔力が回復するまで待つだけだ。寝て起きたら明日の朝には全回復してるだろう。

「それでは、出発は明日の朝にしたいと思います。北門に集合しましょう」

 そう言って、カレンとシャーロットは部屋から出て行った。

 よし、明日は少し忙しくなるぞ。ご飯を食べてすぐに寝よう。
 
 ヒナタは明日に備えて、早めに眠った。
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