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20 ワイバーンを蹂躙せよ①
しおりを挟むみなさんおはようございます。ヒナタです。
今日は、ワイバーンを殲滅しに行きます。
着替えてから朝ごはんを食べているとトリスが話しかけてきた。
「お姉ちゃん、この街に魔物が来ているらしいよ。冒険者の人がやっつけてくれるといいけど、もし街まできちゃったらこわいよ」
街の住民も知っているみたいだね。
まさか目の前にいる女性が今からその魔物を壊滅させに行くとは思わないよね。
「大丈夫だよ。この街の冒険者の人が守ってくれるからね」
私はトリスの頭を撫でながら励ました。
トリスは泣きそうになっていたので、寄り添って慰めた。
そして私は北門に向かった。少しトリスと話しすぎたかな。
「遅いぞ、ヒナター!」
集合場所の北門に来るとカレンとシャーロットがすでに来ていた。
「ごめんなさい。宿屋の娘さんと話してて」
「なんだよ、呑気なやつだな!」
笑いながらカレンが私の肩を叩いてきた。
なんとなくだけど、カレンはフレンドリーな元気一杯の女性だ。
シャーロットは礼儀正しい、寡黙な女性って感じだな。
「では、行きましょうか」
私たちは北門を出て、ワイバーンが向かってきている方へと歩き出した。
「まだ見えないね……」
しばらく歩いてきたが、まだワイバーンの姿が見えない。
そろそろお昼の時間のため、私は自作のタマゴサンドを食べていた。
卵が少し高かったけど、前世からタマゴサンドは朝ご飯としてよく食べていたから、どうしても食べたかったのだ。
私が食べていると、隣から視線を感じる。
「それ美味しそうだな、どこで売ってたんだ」
干し肉を食べながらカレンが興味深そうに聞いてきた。
タマゴサンドは市場に出回っていないからな。珍しいんだろう。
「これは私が作ったんです。卵を茹でて、潰したら胡椒で味付けしてパンで挟むんです」
「それ少しだけもらってもいいか」
「いいですけど……」
本当はあげたくないけど、ここで断る勇気は私にはない。
私が無限収納から取り出したタマゴサンドをカレンにあげると、美味しそうに食べていた。
「うまっ! こんなの食べたことないよ! ほら、シャルも食べてみな!」
カレンがシャーロットにも勧めていた。シャルは愛称みたいだ。
シャーロットも小さい口を開けて一口食べる。
「……おいしい」
どうやら2人とも気に入ってくれたようだ。男の手料理を喜んでくれるなんて。あ、女だった。
「まだあるか?」
「もうありませんよ」
まだあるが、これ以上はあげられない。
大切な食料だし、卵も胡椒も高いんだから。
しばらく休憩してからまた歩き出した。
またしばらく歩くと上空に1体のワイバーンが現れた。
「きたぞ!」
カレンが叫ぶ。
私が遠視で見てみると、その先にも8体いた。
「全部で9体います。私が倒しに行くのでここで待っていてください」
私はすぐに飛行魔法で上空へと飛び上がった。
「「え、えええぇぇぇ!」」
下の方でなんか叫んでいるが無視だ無視。
ワイバーンのいる高度まで飛んでいき、すぐに岩石弾を9発展開させる。
「ロックショット!」
見事に命中。
全てのワイバーンを一撃で仕留められた。
昨日のうちに実践できていてよかった。
私はそのまま下降して、カレン達の元へと戻った。
「ちょっとあんた! さっきの何!? 急に飛んでいったと思ったらワイバーンが落ちてきたんだけど!?」
かなり興奮しているみたいだ。
シャーロットは私を見て口を開けながら唖然としている。
「こういうことをするから、私の魔法は秘密にして欲しいと言ったんですよ。ご理解いただけましたか。あと、2人ともちょっと落ち着いてください」
「……あ、あ~、ごめん。ちょっと目の前で起きたことが信じられなくてさ……」
「とりあえず、先に進みましょうか。さっきのワイバーン達が来た方向に向かいましょう」
2人ともジロジロと私を見ながら後をついて来ている。
後ろからの視線はほっといて私は先に進む。
「2人とも、静かに。この先からかなりの数のワイバーンが来ています」
気配察知により、ワイバーンが来ていることをカレンとシャーロットに伝える。
そして、遠視を使い正確な数を確認する。
1、2、3、…………だめだ。数えきれない。
推測で50はいそうだ。ちょっと思ったより多いな。
「カレンさん、シャーロットさん落ち着いて聞いてください。ワイバーンの数を確認しましたが、推測で50体はいそうです」
「ご、50!?」
「さすがにその数は無理ですよ!」
珍しく、シャーロットが強気の発言をしてきた。
でも、これを見逃したらウルレインで住民がたくさん死ぬことになる。
だから、私がやることは一つだ。
「大丈夫です。私に任せてください。あのワイバーンの大群に私が行使できる魔法の中で一番の威力のある魔法を使います。その後は、多分魔力枯渇で意識がなくなると思うので介抱をお願いします」
私は再度、飛行魔法でワイバーンの群れに突っ込んだ。
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