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64 また王様と会う①
しおりを挟む「亡くなった騎士はどうしましょうか?」
「そうですね。馬車で運ぶのもできないので、遺品だけ持ち帰って埋葬致しましょう」
王女様は騎士の遺品を持って馬車に運んだ。
私は言われた通り、埋葬するために土魔法で大きな穴を作り、騎士たちを埋葬した。
そして王女様に馬車に乗ってもらい、私は御者をする。
私たちの前方にカレンたちの馬車が走る。
「ヒナタ様はどうしてこの街道におられたんですか?」
馬車の小窓を開けて私に声をかけてきた。
「タラサの街に行っていた帰りです。王女様はなぜこのような場所に?」
「私は来月で18歳になります。それで来月からメロン王国の第一王子に嫁ぎに行くのです。そのため最後に思い出の場所に行っていました」
王女様は他国に嫁ぎに行くのか。
王族は交易のために他国に嫁ぐのもよくありそうだな。
「そうだったんですね。思い出の場所とは?」
「私が幼少の頃に訪れた場所なのです。小さな湖なんですが、とても神秘的な場所です」
そんな湖があるのか。
王女様が好きな湖なら素敵な場所なんだろうな。
「そこは誰でも訪れることができるんですか?」
「ええ、誰でも行けますよ」
なら、私も行ってみたいな。
湖なんて最初に洞窟を抜けた場所にあった湖くらいしか知らないからな。
水浴びで何回かお世話になった場所だ。
「私もぜひ行ってみたいですね。どこにあるのでしょうか?」
「サンドラス王国より東にある森の中のイエロ湖と呼ばれている場所です」
時間があったら行ってみても良いかもな。
他国じゃないならいつでも行けそうだ。
「私もいつか行ってみたいと思います」
王女様は疲れているのか、その後寝てしまっていた。
寝顔も綺麗すぎて、まさにこの人が女神様みたいだよ。
日も落ちてきたところで、ようやく王都に到着した。
「王女様、王都が見えてきましたよ」
馬車で寝ていた王女様を起こした。
寝ぼけながらも頷いて、姿勢を正す。
門に到着して、衛兵に事情を説明する。
「ソティラス王女殿下、長旅お疲れ様でした! どうぞ中へ!」
衛兵が元気よく発した。
私は王女様を王宮に連れていくため、カレンたちには冒険者ギルドの報告と、宿の手配をお願いした。
王族の紋章が入った馬車を私が御者している。
そして住民が見ている。
私を見ているわけではないと思うけど緊張する。
王宮にも到着して、王女様が騎士に事情を説明し、私も王宮に入る。
案内された場所に馬車を止めて、私も馬車から降りて王女様をエスコートする。
「王女様、お手をどうぞ」
一度やってみたかったのだ。
綺麗な女性の手を取ってエスコートするのが夢でした。
「ありがとう」
馬車から降りた王女様に付いていき、王城に入っていく。
「ヒナタ様。今回のお礼もしたいので、少しだけ部屋で待機しておいてもらって良いですか?」
「はい、分かりました」
またお礼か。
この世界に来て街を救ったり、貴族を救ったりでたくさんのお礼を貰っている。
貰えるのは嬉しいが、さすがに貰いすぎだよね。
普通の冒険者でここまで王族や貴族と関わることってないよね。
私は普通ではないということだ。
王城の中にある部屋に案内されて、ソファーに座り待機する。
しばらくすると、ドレスを着替えた王女様と王様が入ってきた。
「ヒナタ様、お待たせいたしました」
「やはりあなただったか……」
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