64 / 139
64 また王様と会う①
しおりを挟む「亡くなった騎士はどうしましょうか?」
「そうですね。馬車で運ぶのもできないので、遺品だけ持ち帰って埋葬致しましょう」
王女様は騎士の遺品を持って馬車に運んだ。
私は言われた通り、埋葬するために土魔法で大きな穴を作り、騎士たちを埋葬した。
そして王女様に馬車に乗ってもらい、私は御者をする。
私たちの前方にカレンたちの馬車が走る。
「ヒナタ様はどうしてこの街道におられたんですか?」
馬車の小窓を開けて私に声をかけてきた。
「タラサの街に行っていた帰りです。王女様はなぜこのような場所に?」
「私は来月で18歳になります。それで来月からメロン王国の第一王子に嫁ぎに行くのです。そのため最後に思い出の場所に行っていました」
王女様は他国に嫁ぎに行くのか。
王族は交易のために他国に嫁ぐのもよくありそうだな。
「そうだったんですね。思い出の場所とは?」
「私が幼少の頃に訪れた場所なのです。小さな湖なんですが、とても神秘的な場所です」
そんな湖があるのか。
王女様が好きな湖なら素敵な場所なんだろうな。
「そこは誰でも訪れることができるんですか?」
「ええ、誰でも行けますよ」
なら、私も行ってみたいな。
湖なんて最初に洞窟を抜けた場所にあった湖くらいしか知らないからな。
水浴びで何回かお世話になった場所だ。
「私もぜひ行ってみたいですね。どこにあるのでしょうか?」
「サンドラス王国より東にある森の中のイエロ湖と呼ばれている場所です」
時間があったら行ってみても良いかもな。
他国じゃないならいつでも行けそうだ。
「私もいつか行ってみたいと思います」
王女様は疲れているのか、その後寝てしまっていた。
寝顔も綺麗すぎて、まさにこの人が女神様みたいだよ。
日も落ちてきたところで、ようやく王都に到着した。
「王女様、王都が見えてきましたよ」
馬車で寝ていた王女様を起こした。
寝ぼけながらも頷いて、姿勢を正す。
門に到着して、衛兵に事情を説明する。
「ソティラス王女殿下、長旅お疲れ様でした! どうぞ中へ!」
衛兵が元気よく発した。
私は王女様を王宮に連れていくため、カレンたちには冒険者ギルドの報告と、宿の手配をお願いした。
王族の紋章が入った馬車を私が御者している。
そして住民が見ている。
私を見ているわけではないと思うけど緊張する。
王宮にも到着して、王女様が騎士に事情を説明し、私も王宮に入る。
案内された場所に馬車を止めて、私も馬車から降りて王女様をエスコートする。
「王女様、お手をどうぞ」
一度やってみたかったのだ。
綺麗な女性の手を取ってエスコートするのが夢でした。
「ありがとう」
馬車から降りた王女様に付いていき、王城に入っていく。
「ヒナタ様。今回のお礼もしたいので、少しだけ部屋で待機しておいてもらって良いですか?」
「はい、分かりました」
またお礼か。
この世界に来て街を救ったり、貴族を救ったりでたくさんのお礼を貰っている。
貰えるのは嬉しいが、さすがに貰いすぎだよね。
普通の冒険者でここまで王族や貴族と関わることってないよね。
私は普通ではないということだ。
王城の中にある部屋に案内されて、ソファーに座り待機する。
しばらくすると、ドレスを着替えた王女様と王様が入ってきた。
「ヒナタ様、お待たせいたしました」
「やはりあなただったか……」
22
あなたにおすすめの小説
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
狼になっちゃった!
家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで?
色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!?
……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう?
これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる