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69 ケータの迷宮攻略(クロト迷宮編)④
しおりを挟む「次で最後か……」
とうとう第五層のボス部屋の扉の前にきた。
ここを開ければ、クロト迷宮最後のボスがいる。
第一層から第三層までは比較的簡単に倒すことはできたが、第四層のクラーケンからのスキュラはかなり苦労した。
見たことも聞いたこともない魔物だと、どのような攻撃を仕掛けてくるか分からないから油断はできない。
第五層ともなると何が出るか想像もできないが、間違いなく言えるのはスキュラよりも強敵だということか。
もしかしたら、第四層と同じようにボス戦前の魔物がいるかもしれない。
気を引き締めていこう。
魔力回復薬も飲んで、長い間休憩もしたから十分体力も魔力も回復した。
自動回復スキルはかなり有用なスキルなのを実感する。
俺は、第五層のボス部屋の扉を開く。
第五層は普通のエリアだ。大きな洞窟のような作りをしている。
「でかいな……」
唯一違うのは、奥に見えている魔物は頭が複数ある大蛇でかなり大きいことだろうか。
「9つか……」
頭を数えてみると9つある。
しかも、大蛇の頭は1つだけでもかなり大きい。10メートルはありそうだ。
「ゴオオォォォオオオ!」
「詳細鑑定……ヒュドラか。火、水、風、土魔法も使えるか」
本当に大きい。胴体も合わせると30メートルはあるか……?
それに魔法も使えるとか厄介だな。
とりあえず攻撃を仕掛けよう。
「インフェルノ!」
灼熱地獄がヒュドラに効くのか試してみる。
「ゴオオオオ!」
ヒュドラが炎に包まれて暴れている。
これは……効いているな。
でも、ヒュドラの鱗はうまく燃えないようだ。
かなり頑丈な作りなのか、火魔法が効きづらいのか。
とにかく炎で包まれている間にすぐに攻撃を仕掛けるべきだ。
次はヒュドラの頭を吹っ飛ばして攻撃力を下げる。
「ウインドインパルス!」
ヒュドラの1つの頭に向けて風撃を放つ。
バアァァァン!
「よし! 吹き飛んだ!」
ヒュドラの頭が1つ消滅した。
このまま風魔法で攻撃を続けていこう。
……と思っていたが、包んでいた炎が消えてヒュドラも応戦してくる。
「あぶなっ!」
ヒュドラは1つの頭の口から、魔法で広範囲の炎嵐を吐き出してきた。
頭の数が多いから、どこの頭から攻撃を仕掛けてくるか分からない。
すると、続け様に各々の頭から氷嵐、竜巻、岩石砲が広範囲に放たれる。
「めちゃくちゃすぎる……」
魔法での相殺も考えるが、威力が桁違いであった。
飛行魔法でも回避は難しいくらいの広範囲攻撃のため、転移魔法でヒュドラの後方に転移する。
後方に逃げても、すぐにヒュドラからの攻撃が始まる。
3つに頭が同時に大口を開けてこちらに迫ってくる。
再度、転移魔法でヒュドラの後方に転移したが、まるで待っていたかのように別の3つのヒュドラの頭から炎嵐、竜巻、岩石砲が飛び出してきた。
「嘘だろ!?」
転移した直後のことだったため、回避もできずに直撃する。
「ぐああああぁぁぁぁああああ!」
後方に吹き飛ばされて、壁に激突する。
身体にあちこちに火傷や裂傷があり、岩石砲が直撃した左足は潰れてしまっている。
意識が朦朧としながらも、すぐに上級回復魔法を唱える。
「ハイヒール……」
光魔法がレベル10であれば、神級魔法である完全回復魔法が唱えられるが、今の俺では行使できない。
それでも、上級回復魔法で十分回復はできる。
その場で立ち上がり、体勢を整えて戦闘態勢に入る。
それにしても頭がまだ8つもあるため、攻撃の幅が広すぎる。
さっきと同じように風撃を行使して、頭を消し飛ばせばもう少し戦いやすくなる。
残念ながらあの大きなヒュドラの頭を複数同時に消し飛ばせるような魔法は行使できない。
そのため、1つずつ隙を見て風撃で消し飛ばすしかない。
すぐに転移魔法で、ヒュドラの後方に回り込んで魔法を行使する。
「ウインドインパルス!」
ヒュドラの1つの頭に命中して消し飛ばすことに成功した。
「よし! あと7つ!」
喜んだのも束の間、消し飛ばしたはずのヒュドラの頭が2つに増えて再生した。
「はっ!?」
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