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70 ケータの迷宮攻略(クロト迷宮編)⑤
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ケータのクロト迷宮攻略はこれで最後です。
─────────────────────────────────
どういうことだ?
自己再生能力があるにしても、2つに増えるなんてチートだろ。
これじゃ初めと同じで9つの頭と対峙しなければならない。
そして、増える原因も分からないとさらに増えることになる。
さすがにこれはマズイ。
……でもなぜ、最初の頭は再生しない?
消し飛ばした魔法は最初と同じはずだ。何が違う。
1つだけの頭は消滅してそれ以外は再生するとかいう条件なのか。
だとしたら、討伐など不可能ではないか……。
ゆっくり考えている時間もない。
こうして考えている間にも、ヒュドラの攻撃は止まらない。
転移魔法を使いながら、ヒュドラの魔法を回避し続ける。
転移魔法は魔力消費が多いため時折、魔力回復薬を飲みながら討伐方法を考える。
とにかく、絶対に倒せないことはないはずだ。攻略不可能な迷宮など考えられない。
女神フューリーから迷宮踏破の依頼がある以上、討伐は可能だと考えるべきだ。
だとすると、最初にヒュドラの頭を消し飛ばして再生しなかったのは偶然ではない。
あの時と違う条件は、灼熱地獄でヒュドラが炎を纏っていたことだ。
もう一度、同じことをしても再生したらお手上げだ。これに賭けるしかない。
「インフェルノ!」
すぐにヒュドラに向かって灼熱地獄を行使する。
ヒュドラの頭5つに命中して暴れ出す。
残りに4つの頭がこちらに向かって各々魔法を行使してくる。
転移魔法で魔法を回避して、すぐに燃えている頭に風撃を放つ。
「ウインドインパルス!」
1つの頭が消し飛ぶ。
「……よし! 回復しない!」
成功だ。
たぶん消し飛ばした頭の首の傷口を燃やすことで再生を防ぐのだろう。
これなら長期戦になるが、討伐が可能なことが証明できた。
燃えているうちに、すぐに追い討ちをかける。
「ウインドインパルス!」
2つの風撃を作り出し、ヒュドラに命中させて消し飛ばす。
本当なら2つ以上の風撃を発動させたいが、俺には2つ以上の魔法陣の構成ができない。
さらに2つの風撃を作ろうとしたが、ヒュドラの頭の1つが灼熱地獄で纏わせた炎を水魔法で消火した。
「やはり賢いな……」
先程の転移魔法への対応力を鑑みても頭がいいようだ。
かなり戦いづらいが、ヒュドラの頭は残り6つだ。
俺の方針は変えるわけにはいかない。
転移魔法でヒュドラの後方に移動して再度、灼熱地獄を行使しようとすると……。
ヒュドラの頭の1つが口から紫色の煙を吹き出してきた。
「なんだあれは!?」
危険を察知して、すぐに転移魔法でヒュドラから距離をとる。
しかし、紫色の煙はエリア全体に広がっていく。
「ゴホッゴホッ!」
煙を吸い込んで咽せる。
初めは咽せるだけで済んだが、段々と身体が麻痺したような感覚になって動けなくなる。
さらには、意識も朦朧としてきてその場に倒れ込んだ。
「これは、毒か……?」
毒霧のようなものをヒュドラが吐き出したのだろう。
これはやばい。すぐに解毒魔法を使う。
「アンチドート」
解毒魔法によって、多少は楽になったが完全には治っていない。
それでもヒュドラを倒さなくてはならない。
でなければこちらが殺されるだけだ。
このまま毒霧の中では、また同じように毒が体内に入ってくるため、風魔法で毒霧を散らす。
「ハリケーン」
迷宮エリアに竜巻を発生させて、一時的ではあるが毒霧を離散させた。
「インフェルノ!」
時間がないため、すぐさま灼熱地獄を行使する。
ヒュドラはお構いなしに魔法を行使してくるが、こちらも転移魔法で後方へと転移する。
「ウインドインパルス」
2つの風撃をヒュドラに当てて、頭を消し飛ばす。
再度、同じように転移魔法でヒュドラを翻弄させながら風撃を行使する。
「ギョアアアァァァアアア!」
頭は残り2つ。このままいける。
急がないと、毒霧がまた蔓延してくる。
最後の2つの頭に向けて灼熱地獄を行使して、風撃を飛ばす。
「これで最後だ! ウインドインパルス!」
最後のヒュドラの頭に命中した風撃によってヒュドラが倒れる。
「やった……」
その場で倒れ込んだ。
これでクロト迷宮は踏破できた。
疲れ切って地面に伏せていると奥の扉が開かれた。
「やっと出られるな……」
フラつきながらも奥の扉に向かい中へと入っていく。
「なんだここは……?」
中に入ると、小さな部屋の中央に大きな水晶のようなものが光り輝いていた。
水晶に近づき鑑定する。
「クロト迷宮神核……」
神核に触れると、眩しいくらいに輝き始めて消滅した。
……気が付くと俺はクロト迷宮の外にいた。
そして目の前にあった迷宮への入り口が無くなっている。
「踏破すると迷宮は消えるのか……」
ここにいるのは何故かわからないが、多分転移魔法で転移してきたんだろう。
「これでクロト迷宮は踏破できた。残りは2つだ」
しかし、今回のクロト迷宮でたくさん学べた。
自分は強いと思っていたが、想定よりも苦戦した。
今回は運よく生き延びることができたが、次に行く予定のラケシス迷宮はこうもうまくいかないかもしれない。
俺はもっと強くならなければ……。
ケータはさらに強くなって、次のトパロン帝国にあるラケシス迷宮に挑むことを決意した。
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どういうことだ?
自己再生能力があるにしても、2つに増えるなんてチートだろ。
これじゃ初めと同じで9つの頭と対峙しなければならない。
そして、増える原因も分からないとさらに増えることになる。
さすがにこれはマズイ。
……でもなぜ、最初の頭は再生しない?
消し飛ばした魔法は最初と同じはずだ。何が違う。
1つだけの頭は消滅してそれ以外は再生するとかいう条件なのか。
だとしたら、討伐など不可能ではないか……。
ゆっくり考えている時間もない。
こうして考えている間にも、ヒュドラの攻撃は止まらない。
転移魔法を使いながら、ヒュドラの魔法を回避し続ける。
転移魔法は魔力消費が多いため時折、魔力回復薬を飲みながら討伐方法を考える。
とにかく、絶対に倒せないことはないはずだ。攻略不可能な迷宮など考えられない。
女神フューリーから迷宮踏破の依頼がある以上、討伐は可能だと考えるべきだ。
だとすると、最初にヒュドラの頭を消し飛ばして再生しなかったのは偶然ではない。
あの時と違う条件は、灼熱地獄でヒュドラが炎を纏っていたことだ。
もう一度、同じことをしても再生したらお手上げだ。これに賭けるしかない。
「インフェルノ!」
すぐにヒュドラに向かって灼熱地獄を行使する。
ヒュドラの頭5つに命中して暴れ出す。
残りに4つの頭がこちらに向かって各々魔法を行使してくる。
転移魔法で魔法を回避して、すぐに燃えている頭に風撃を放つ。
「ウインドインパルス!」
1つの頭が消し飛ぶ。
「……よし! 回復しない!」
成功だ。
たぶん消し飛ばした頭の首の傷口を燃やすことで再生を防ぐのだろう。
これなら長期戦になるが、討伐が可能なことが証明できた。
燃えているうちに、すぐに追い討ちをかける。
「ウインドインパルス!」
2つの風撃を作り出し、ヒュドラに命中させて消し飛ばす。
本当なら2つ以上の風撃を発動させたいが、俺には2つ以上の魔法陣の構成ができない。
さらに2つの風撃を作ろうとしたが、ヒュドラの頭の1つが灼熱地獄で纏わせた炎を水魔法で消火した。
「やはり賢いな……」
先程の転移魔法への対応力を鑑みても頭がいいようだ。
かなり戦いづらいが、ヒュドラの頭は残り6つだ。
俺の方針は変えるわけにはいかない。
転移魔法でヒュドラの後方に移動して再度、灼熱地獄を行使しようとすると……。
ヒュドラの頭の1つが口から紫色の煙を吹き出してきた。
「なんだあれは!?」
危険を察知して、すぐに転移魔法でヒュドラから距離をとる。
しかし、紫色の煙はエリア全体に広がっていく。
「ゴホッゴホッ!」
煙を吸い込んで咽せる。
初めは咽せるだけで済んだが、段々と身体が麻痺したような感覚になって動けなくなる。
さらには、意識も朦朧としてきてその場に倒れ込んだ。
「これは、毒か……?」
毒霧のようなものをヒュドラが吐き出したのだろう。
これはやばい。すぐに解毒魔法を使う。
「アンチドート」
解毒魔法によって、多少は楽になったが完全には治っていない。
それでもヒュドラを倒さなくてはならない。
でなければこちらが殺されるだけだ。
このまま毒霧の中では、また同じように毒が体内に入ってくるため、風魔法で毒霧を散らす。
「ハリケーン」
迷宮エリアに竜巻を発生させて、一時的ではあるが毒霧を離散させた。
「インフェルノ!」
時間がないため、すぐさま灼熱地獄を行使する。
ヒュドラはお構いなしに魔法を行使してくるが、こちらも転移魔法で後方へと転移する。
「ウインドインパルス」
2つの風撃をヒュドラに当てて、頭を消し飛ばす。
再度、同じように転移魔法でヒュドラを翻弄させながら風撃を行使する。
「ギョアアアァァァアアア!」
頭は残り2つ。このままいける。
急がないと、毒霧がまた蔓延してくる。
最後の2つの頭に向けて灼熱地獄を行使して、風撃を飛ばす。
「これで最後だ! ウインドインパルス!」
最後のヒュドラの頭に命中した風撃によってヒュドラが倒れる。
「やった……」
その場で倒れ込んだ。
これでクロト迷宮は踏破できた。
疲れ切って地面に伏せていると奥の扉が開かれた。
「やっと出られるな……」
フラつきながらも奥の扉に向かい中へと入っていく。
「なんだここは……?」
中に入ると、小さな部屋の中央に大きな水晶のようなものが光り輝いていた。
水晶に近づき鑑定する。
「クロト迷宮神核……」
神核に触れると、眩しいくらいに輝き始めて消滅した。
……気が付くと俺はクロト迷宮の外にいた。
そして目の前にあった迷宮への入り口が無くなっている。
「踏破すると迷宮は消えるのか……」
ここにいるのは何故かわからないが、多分転移魔法で転移してきたんだろう。
「これでクロト迷宮は踏破できた。残りは2つだ」
しかし、今回のクロト迷宮でたくさん学べた。
自分は強いと思っていたが、想定よりも苦戦した。
今回は運よく生き延びることができたが、次に行く予定のラケシス迷宮はこうもうまくいかないかもしれない。
俺はもっと強くならなければ……。
ケータはさらに強くなって、次のトパロン帝国にあるラケシス迷宮に挑むことを決意した。
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