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72 図書館で勉強する②
しおりを挟むまさか無属性魔法も失われた魔法だったとは。
でも、古の魔物を倒して得られた魔法だからそれもありえるのか。
読み進めると、かなり強大な魔法であることが分かった。
主に魔力そのものを使用する魔法らしく、ケートスが使用したのも魔力を衝撃波として使用していたみたいだ。
普通の魔法だと自身の保有している魔力を火、水、風、土などへと変換させて魔法陣を作ることによって発動させることができる。
しかし、これだとどうしても魔力変換時に魔力のロスができてしまい行使する魔法の威力にも影響がでる。
だが、無属性魔法となると魔力そのものを直接使用するため、魔力のロスがなくなり魔法の威力も膨大なものになるらしい。
これでケートスの衝撃波によって、孤島が沈んだ理由も納得できる。
しかし、無属性魔法の欠点としては総魔力量が多くないといけないことだ。
逆に言えば、魔力量が多ければ強大な魔法になり得るということだ。
私の魔力量は現世では多いが、昔に比べて多いかはわからない。
試してみた方が良いが、魔力の消費も考えてうまく調整して発動させないと周囲に被害が出る可能性もある。
試すときは今まで以上に注意が必要だ。何度か前科もあるしね。
無属性魔法には初級で魔力弾があり、中級では魔力波、上級では広範囲に魔力波を生じさせる魔力波領域、神級だと広範囲を対象に発動者よりも魔力が低いものを殲滅させる全滅領域というのがある。
私の無属性魔法はレベル5のため、まだ中級魔法の魔力波しか使用できない。
ケートスもこの魔力波を使っていたんだろう。
それにしても上級魔法からして強力そうだ。
神級魔法なんて危険すぎる。そりゃ禁忌魔法として扱われるわ。
とりあえず、無属性魔法について学ぶことができた。
あとは、森に行って岩石弾の解明と無属性魔法を試すだけだ。
図書館を出て、王都の門から森へと目指す。
「この辺りでいいかな」
広大な森の奥深くに入り込み、気配探知で周囲に人がいないことを確認する。
まずは、ケートス戦での岩石弾の解明だ。
あのときは冷静じゃなかったし、何より魔力もそこまで残っていなかった。
それなのにあの威力を出せたのは、無意識に混合魔法になっていたのかもしれない。
だとしたら、何との混合になったのか。
想定するなら風魔法だ。
風魔法によって、岩石弾の出力を上げて発動したと考える。
「試してみるか……」
いつも通りの岩石弾を発動させて、さらに風魔法で岩石弾を押し出すイメージでやってみる。
「ロックショット」
的にした木は綺麗に風穴ができる。
威力はいつもの岩石弾よりかは強い。しかし、これじゃない。
なんかこの感じ初めての飛行魔法を思い出す。
あの時も何度も試行錯誤してようやく完成した。
その後も風魔法で応用した岩石弾で試してみてようやく完成した。
やり方は簡単だ。
岩石弾を包み込むように風撃を発動させればいいのだ。
飛行魔法でも自分を覆う魔法障壁がヒントになった。
ジャイロ回転を施した岩石弾を風撃で包み込み威力を倍増させる。
ケートスを討伐した時のように、凄まじい威力が出た。
的にした木を貫き、その先の木々も薙ぎ倒していく。
魔力消費も岩石弾と風撃の分だけでそこまで大きくない。
ここまでの威力の魔法を発動させるとなると、魔力消費も大きいが混合魔法だと応用さえできればここまでの魔法を再現できる。
要は魔法は発想力の転換だ。
どういう魔法を発現させたいのか、どうすれば強大な威力になるのかを考えてイメージして、複数の魔法を同時に展開できればなんでもできるような気がする。限界はあるだろうけど。
それにしてもこの魔法はどう名付けようか……。
あまり名付けるのは得意じゃないけど、あくまで岩石弾と風撃の混合魔法だから……。
「ロックインパルス?」
岩石撃でいいかな。
本当にネーミングセンスないな私。
さて、次は無属性魔法だな。
あれ、集中していたからか、もう辺りが暗くなってきている。
早く帰らないと門が閉まる。
急げ! 急げ!
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