神様のミスで女に転生したようです

結城はる

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84 鉱山に行く②

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 鉱山はウルレインより北東に行き、王都よりもさらに進んだところにある。
 飛行魔法フライでも3日はかかるかな。

 ……ちょっと待って、あまりに早く着くと怪しまれたりしないかな。
 何処かで時間を潰しながら向かった方が良いかな……。



 飛行魔法フライで鉱山を目指して1週間。
 途中で街に寄ったりして時間を潰して鉱山に辿り着いた。

 鉱山の入り口には2人の騎士が立っている。

「あの、冒険者のヒナタと言います」
「ここは子供の来るところじゃないぞ」

 子供じゃないわ!
 立派な大人の女性だよ。
 自分で言うとちょっと複雑だけど。

「正式に冒険者ギルドからの依頼を受注してここに来ています」

 私はギルドカードを見せる。
 すると騎士が驚きの表情を浮かべる。

「た、確かに……。しかし、お嬢さんのような……」

 なに? こんな子供が来るとは、とでも言いたいのかな。
 こういう時はカレンたちと一緒が良かったと思う。

「とにかく、中に入らせてください」
「あ、ああ。しかしお嬢さん、ネメアーは危険な魔物だ。近いうちに王国騎士団の派遣もあるそうだから、無理だと思ったらすぐに逃げてくるように」
「ありがとうございます」

 私は鉱山の中に入る。
 転生した時の洞窟を思い出すな。

 気配探知で反応を探ると、奥に大きな反応が一つある。
 それ以外は特に反応もないので、この鉱山の中には私とネメアーしかいないことになる。

 とりあえず隠密で奇襲してみるか。
 でも洞窟の中だと大きな魔法は使えない。
 崩れる可能性があるからね。
 前科もあるから説得力も違うでしょ。

 隠密スキルを発動させながらネメアーに接近する。
 依頼書に書いてあった通り獅子のような姿をしており、毛皮が金色に輝いている。
 そして想像よりも大きい。体長5メートルくらい?
 前世のライオンのサイズを想定していたから驚きだ。

「ロックショット!」

 とりあえず、ネメアーに見えないところから岩石弾を放つ。
 本当は岩石撃ロックインパルスを使いたいけど、あの威力だと崩落する可能性があるからね。

「ゴガアアァァァァ!」

 頭を狙ったけど貫くことはできなかった。結構防御力は高い。
 でも、血を噴き出して倒れた。
 やっぱり物理攻撃に耐性があるみたいだ。
 魔法攻撃ならダメージを与えられる。

 すぐに起き上がったネメアーは周囲を見回している。
 すると私の方に向かって、風撃ウインドインパルスを放ってくる。

「嘘でしょ!?」

 なんで位置がバレる?
 それに風撃ウインドインパルスということは風魔法を扱うのか。
 咄嗟に逃げちゃったけど、そのせいで洞窟に亀裂が入る。

「このままだと崩落する……。ネメアーの魔法は相殺させた方がいいかも……」

 洞窟じゃなかったらこんな魔物すぐ倒せるのに。
 環境によって倒せる魔物も倒せなくなってしまう。

 とりあえずネメアーは私の姿は見えていないと思う。
 首をキョロキョロとさせている。
 ならさっきはどうやって隠密状態の私の位置に攻撃できたのか。

 ……匂いか。
 そうだ、さっきからネメアーは周囲の匂いを嗅いでいるんだ。
 遠視でネメアーをよく見てみると鼻が動いている。

 でも、このまま隠密状態だとネメアーが無差別に風撃ウインドインパルスを放って洞窟が崩れる可能性もある。
 危険を承知で隠密を解除する。

「ガアアアァァァ!」

 私のことが見えたネメアーが大口を開けて叫ぶ。
 そしてすぐに風撃ウインドインパルスを私に放ってきた。

「ウインドインパルス!」
 
 相殺を狙って同じく風撃ウインドインパルスを放つ。
 ぶつかりあった風撃は大きな衝撃波を生んで、私は吹き飛ばされて壁にぶつかる。

「かはっ……」

 上級魔法同士での相殺はこんなことになるのか。
 次からはどうしようか。
 また相殺しようとすると、吹き飛ばされるという結果になる。
 この洞窟が広ければ飛行魔法も使えるが、生憎メネアーと対峙しているのは通路のような場所だ。
 こんな場所だからこそ、風撃ウインドインパルスの衝撃も強烈だ。

 私が倒れていると、先程の衝撃波によって舞い上がった砂煙の中から風撃ウインドインパルスが飛んできた。

「ぐああああぁぁぁぁ!」

 ネメアーの放った風撃ウインドインパルスが私に直撃した。
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