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第2章
第26話 美癒と菜都
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翌朝、美癒はベッドの上で目が覚めた。
(外はすごい強風でうるさいなぁ。・・・あれ?私いつの間に寝たんだろ。昨日は・・・。)
保育実習の後の出来事が脳裏に浮かぶ。
「そうだ!私ってば、なんてことを!?!?琉緒とキ・キ・キス!?」
(確かにあの夕日はロマンチックだったよ!?でも、だからって、一体何してんの!?あー!今日はどんな顔して会えばいいの!?・・・そういえばあの後どうやって帰ってきたんだっけ!?)
美癒は琉緒とキスした後の事を全然覚えていなかった。
それもそのはず、琉緒が飛ばして連れて帰ってくれている最中に眠ってしまったのだ。
美癒は恥ずかしくなり再び布団に潜り込む。
(嫌だ、今日は休みたい!なんか調子悪い気がする。そうだきっと風邪だよ、休もう・・・あぁ~!!!駄目だ!今日は休めない。)
今すぐ逃げ出したい気持ちでいっぱいだったが、美癒にとって気がかりなことがあった。
卒業まで残り短くなってきたため、看視実習によりモニター越しで菜都に会える日に終わりが近付いていく。
月でいうと数回・数時間の実習だから貴重なのである。
美癒は寂しい気持ちと恥ずかしい気持ちを抱きながら、渋々と支度を始めた。
分かり切っていた事だが、部屋から出ると既に琉緒が待っていた。
(そうだよね・・・。鍵持ってるんだもん。)
「おはよ。」
「おはよ。えっと・・・昨日いつの間にか寝ちゃってて、ごめんなさい。」
「半目だし、よだれ垂らすし、勘弁してくれよな。」
「目も口も閉じてくれたらよかったのに!!」
いつもの琉緒の態度に安心して学校へ向かう。
お互いキスについては触れることが無かった。
午後過ぎまでは報告書の作成に追われ、看視実習の授業が始まると美癒は琉緒の後ろに座った。
美癒は準備をしてモニターを映す。
すると、菜都は学校の保健室で眠っているようだった。
(肌寒くなってきたし体調崩したのかな?菜都が風邪ひいたところ全然見た事がないのに。)
***
眠る菜都の側に座る琉偉。
保健室の先生が菜都を起こそうとしていた。
「土田さん。放課後なので起きてね。」
「・・・んっ・・・。」
菜都はゆっくりと起き上がり、目をこする。
「気分はどう?親御さんを呼ぶ?」
「・・・・・いえ、だいぶ楽になったので帰れます。」
「俺が家まで送るよ。」
「分かりました。でも親御さんに連絡はしておいてね。」
「はい、ありがとうございました。」
そっとベッドから降りて琉偉の方を見ると、菜都のカバンを持っている事に気付く。
「カバン・・・。ありがとう。」
「香織が持ってきたんだよ。それより30分くらいしか寝れてないんじゃないか?本当に大丈夫?」
「気分が悪かっただけだから少し寝たら落ち着いたよ。学校終わるまで我慢できると思ったんだけどなぁ。」
「無理するなよ。歩ける?」
「うん。ごめんね、琉偉とは家が反対方向なのに。」
「そこは甘えて。雨が降りそうだから早く帰ろう。風邪引いたらいけないしね。」
外は風が吹き、曇って暗くなっていた。
差し伸べてくれた琉偉の手を取り、つないだまま歩いていく。
「あ~風が気持ちいい。」
「俺は寒い・・・。それより最近多いね、気分悪くなるの。」
「事故の後遺症っていうか、頭の中が混乱してるの。記憶がごちゃごちゃになって、まるでミキサーかけられたみたいだよ。」
笑いながらも切なそうに話す菜都を優しい目で見守る。
「記憶とは関係ないかもしれないけど、最近の菜都は女の子らしいよな。」
「ちょっと、それどういう意味!?」
「はははっ、俺は今の菜都の方が好きだよ。」
「もう・・・照れるじゃん・・・。」
そこへ自転車に乗った男の人が通りかかった。
男の人は琉偉に気付くとブレーキをかける。
「琉偉~!こんな所で何してんだ?」
「あぁ、彼女を家まで送ってるんだ。」
「彼女さん!?琉偉に彼女がいたなんて初耳だなぁ。
初めまして、琉偉の兄です。よろしく!」
菜都は顔を上げて、琉偉の兄を見る。
そして驚きを隠せなかった。
「る・・・お?」
(外はすごい強風でうるさいなぁ。・・・あれ?私いつの間に寝たんだろ。昨日は・・・。)
保育実習の後の出来事が脳裏に浮かぶ。
「そうだ!私ってば、なんてことを!?!?琉緒とキ・キ・キス!?」
(確かにあの夕日はロマンチックだったよ!?でも、だからって、一体何してんの!?あー!今日はどんな顔して会えばいいの!?・・・そういえばあの後どうやって帰ってきたんだっけ!?)
美癒は琉緒とキスした後の事を全然覚えていなかった。
それもそのはず、琉緒が飛ばして連れて帰ってくれている最中に眠ってしまったのだ。
美癒は恥ずかしくなり再び布団に潜り込む。
(嫌だ、今日は休みたい!なんか調子悪い気がする。そうだきっと風邪だよ、休もう・・・あぁ~!!!駄目だ!今日は休めない。)
今すぐ逃げ出したい気持ちでいっぱいだったが、美癒にとって気がかりなことがあった。
卒業まで残り短くなってきたため、看視実習によりモニター越しで菜都に会える日に終わりが近付いていく。
月でいうと数回・数時間の実習だから貴重なのである。
美癒は寂しい気持ちと恥ずかしい気持ちを抱きながら、渋々と支度を始めた。
分かり切っていた事だが、部屋から出ると既に琉緒が待っていた。
(そうだよね・・・。鍵持ってるんだもん。)
「おはよ。」
「おはよ。えっと・・・昨日いつの間にか寝ちゃってて、ごめんなさい。」
「半目だし、よだれ垂らすし、勘弁してくれよな。」
「目も口も閉じてくれたらよかったのに!!」
いつもの琉緒の態度に安心して学校へ向かう。
お互いキスについては触れることが無かった。
午後過ぎまでは報告書の作成に追われ、看視実習の授業が始まると美癒は琉緒の後ろに座った。
美癒は準備をしてモニターを映す。
すると、菜都は学校の保健室で眠っているようだった。
(肌寒くなってきたし体調崩したのかな?菜都が風邪ひいたところ全然見た事がないのに。)
***
眠る菜都の側に座る琉偉。
保健室の先生が菜都を起こそうとしていた。
「土田さん。放課後なので起きてね。」
「・・・んっ・・・。」
菜都はゆっくりと起き上がり、目をこする。
「気分はどう?親御さんを呼ぶ?」
「・・・・・いえ、だいぶ楽になったので帰れます。」
「俺が家まで送るよ。」
「分かりました。でも親御さんに連絡はしておいてね。」
「はい、ありがとうございました。」
そっとベッドから降りて琉偉の方を見ると、菜都のカバンを持っている事に気付く。
「カバン・・・。ありがとう。」
「香織が持ってきたんだよ。それより30分くらいしか寝れてないんじゃないか?本当に大丈夫?」
「気分が悪かっただけだから少し寝たら落ち着いたよ。学校終わるまで我慢できると思ったんだけどなぁ。」
「無理するなよ。歩ける?」
「うん。ごめんね、琉偉とは家が反対方向なのに。」
「そこは甘えて。雨が降りそうだから早く帰ろう。風邪引いたらいけないしね。」
外は風が吹き、曇って暗くなっていた。
差し伸べてくれた琉偉の手を取り、つないだまま歩いていく。
「あ~風が気持ちいい。」
「俺は寒い・・・。それより最近多いね、気分悪くなるの。」
「事故の後遺症っていうか、頭の中が混乱してるの。記憶がごちゃごちゃになって、まるでミキサーかけられたみたいだよ。」
笑いながらも切なそうに話す菜都を優しい目で見守る。
「記憶とは関係ないかもしれないけど、最近の菜都は女の子らしいよな。」
「ちょっと、それどういう意味!?」
「はははっ、俺は今の菜都の方が好きだよ。」
「もう・・・照れるじゃん・・・。」
そこへ自転車に乗った男の人が通りかかった。
男の人は琉偉に気付くとブレーキをかける。
「琉偉~!こんな所で何してんだ?」
「あぁ、彼女を家まで送ってるんだ。」
「彼女さん!?琉偉に彼女がいたなんて初耳だなぁ。
初めまして、琉偉の兄です。よろしく!」
菜都は顔を上げて、琉偉の兄を見る。
そして驚きを隠せなかった。
「る・・・お?」
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