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第2章
第41話 暁闇
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翌日、琉緒の後ろの席に座ってそっと声を掛けた。
「今日で看視実習、最後だねぇ。なんだか寂しいな。」
「記憶が戻ってから、琉偉と菜都が付き合ってるのを見るの辛くないのか?」
「え?あぁー確かにそうだよね。付き合ってた頃の気持ちは覚えてるけど・・・別に辛くない。大丈夫みたい。」
美癒はニカッと笑いながら答える。
自分自身でも不思議だが本心だった。
「琉偉は菜都の中身が変わって気付かねぇんだもんなー。」
「え?琉緒だって気付いてなかったでしょ?」
「はぁー?知ってたし。」
「本当に~?後出しでそんな事いわれてもなぁ。私が前の美癒じゃなくなってガッカリした?」
ため息を吐きながら琉緒は真面目なトーンで答える。
「前に言っただろ。『今のお前が放っておけない』って。」
「ん?言ってたっけ?」
「おいゴリラ!」
「ふふっ冗談だよー・・・前に言われたこと今思い出した!本当に気付いてたんだね。言ってくれたら良かったのに~。」
琉緒は何も言い返さずに前を向いた。
そんな琉緒の背中を見ながら、知ってて側にいてくれたことに感謝した。
とても愛おしい気持ちになると同時に虚しくなる。
(琉緒の気持ちは分かってる。嬉しいよ・・・ありがとう。でも・・・ごめんね。琉緒は【この世】に存在しているのだから。自分のいるべき世界に戻らないと。)
美癒は看視実習の支度をしてモニターを見つめた。
しばらくすると授業中の菜都が映し出され、教室・友達・先生を見て懐かしさがこみ上げてきた。
(モニター越しだけど、私の記憶が戻ってから皆を一目見れて良かった。もう会えないのは寂しいけど、楽しかった毎日を絶対忘れない。)
「授業中だと、見てるこっちも暇だよなー。」
琉緒が振り返って小声で囁く。
「ふふっ勉強聞いて琉緒もしっかり学びなさい。今後役に立つよ。」
「いらねー。」
菜都の授業が終わり、放課後の様子まで見てあっという間に終わりの時間を迎えた。
モニターを消して報告書を提出し、教室を出ると琉緒が待ってくれていた。
「報告書の提出早かったねぇ。それにしても菜都と琉偉は相変わらず仲良しで安心した。・・・でもまさか【この世】の琉緒が2人のお邪魔虫になってるなんて・・・空気読みなよねー。」
「…俺を責めているように聞こえるけど、俺の意思は全く無いからな!ジンのやつ・・・今日に限らず、ここの所多いみたいだな。」
なんと、菜都と琉偉が放課後は一緒にいる事を知って、琉緒が勝手に混ざりこんでいたのだ。
「ジン様は何を考えているのかしら。」
「あいつが企んでる事は、俺にはよく分からん。」
「「・・・・・・・はあ。」」
美癒と琉緒は2人揃って大きなため息をついた。
「なんにせよ最後の看視実習お疲れ様。」
「あぁ、お疲れさん。」
菜都と琉偉たちの笑顔を胸に焼き付けたまま、美癒は窓から遠くの空を見上げた。
そして、異界の山で会って以来 目にすることがなかった近藤君が元気に回復していっていることを祈った。
教室に戻ると、同じクラスのユースケが近付いてきた。
「なぁ、俺の看視実習の担当だった人が、もうすぐ異界の山にくるんだよ。生命が切れる寸前なんだ・・・カンナの親父さんみたいに助けてくんねぇか?」
「ユースケの担当って・・・どうしたの?」
ユースケの顔がどんどん曇っていく。
「・・・多分自殺だ・・・。」
「え!?どっどうして!!?」
「頼む!時間がないんだ!!」
美癒は焦って琉緒の顔を見る・・・と、とても嫌そうな顔をしていた。
「琉緒!急ごう!!」
「やめとけ。自殺するようなやつを【この世】に戻す方が残酷だ。」
「違う!確かに死にたがっている・・・けど、助けを待っているって俺には分かるんだ!」
(え~~!?どうすればいいの!?」
助けたい気持ちもあるが、本人にとってどうすることが正解なのか分からなかった。
「とりあえず異界の山に行ってみよう!!」
「勝手に行けよ。俺は知らねぇ。」
「そんなぁ・・・私じゃ異界の山に行くことが出来ないのに。」
「自分の力で行けねぇのに助けられるだなんて勘違いするな。」
「ひ・・・ひどい・・・。」
琉緒を巻き込まないと異界の山に行く術がないのも事実。
美癒だけではどうにも出来ないと気付いたユースケは涙を流した。
「そうだよな・・・無理言って悪かった。モニター越しに見てるだけで俺には何も出来ない。美癒なら・・・ってつい思ってしまったんだ。忘れてくれ。」
琉緒にもごめんと一言誤ってユースケは美癒の元を去ろうとした。
「待って!!」
「今日で看視実習、最後だねぇ。なんだか寂しいな。」
「記憶が戻ってから、琉偉と菜都が付き合ってるのを見るの辛くないのか?」
「え?あぁー確かにそうだよね。付き合ってた頃の気持ちは覚えてるけど・・・別に辛くない。大丈夫みたい。」
美癒はニカッと笑いながら答える。
自分自身でも不思議だが本心だった。
「琉偉は菜都の中身が変わって気付かねぇんだもんなー。」
「え?琉緒だって気付いてなかったでしょ?」
「はぁー?知ってたし。」
「本当に~?後出しでそんな事いわれてもなぁ。私が前の美癒じゃなくなってガッカリした?」
ため息を吐きながら琉緒は真面目なトーンで答える。
「前に言っただろ。『今のお前が放っておけない』って。」
「ん?言ってたっけ?」
「おいゴリラ!」
「ふふっ冗談だよー・・・前に言われたこと今思い出した!本当に気付いてたんだね。言ってくれたら良かったのに~。」
琉緒は何も言い返さずに前を向いた。
そんな琉緒の背中を見ながら、知ってて側にいてくれたことに感謝した。
とても愛おしい気持ちになると同時に虚しくなる。
(琉緒の気持ちは分かってる。嬉しいよ・・・ありがとう。でも・・・ごめんね。琉緒は【この世】に存在しているのだから。自分のいるべき世界に戻らないと。)
美癒は看視実習の支度をしてモニターを見つめた。
しばらくすると授業中の菜都が映し出され、教室・友達・先生を見て懐かしさがこみ上げてきた。
(モニター越しだけど、私の記憶が戻ってから皆を一目見れて良かった。もう会えないのは寂しいけど、楽しかった毎日を絶対忘れない。)
「授業中だと、見てるこっちも暇だよなー。」
琉緒が振り返って小声で囁く。
「ふふっ勉強聞いて琉緒もしっかり学びなさい。今後役に立つよ。」
「いらねー。」
菜都の授業が終わり、放課後の様子まで見てあっという間に終わりの時間を迎えた。
モニターを消して報告書を提出し、教室を出ると琉緒が待ってくれていた。
「報告書の提出早かったねぇ。それにしても菜都と琉偉は相変わらず仲良しで安心した。・・・でもまさか【この世】の琉緒が2人のお邪魔虫になってるなんて・・・空気読みなよねー。」
「…俺を責めているように聞こえるけど、俺の意思は全く無いからな!ジンのやつ・・・今日に限らず、ここの所多いみたいだな。」
なんと、菜都と琉偉が放課後は一緒にいる事を知って、琉緒が勝手に混ざりこんでいたのだ。
「ジン様は何を考えているのかしら。」
「あいつが企んでる事は、俺にはよく分からん。」
「「・・・・・・・はあ。」」
美癒と琉緒は2人揃って大きなため息をついた。
「なんにせよ最後の看視実習お疲れ様。」
「あぁ、お疲れさん。」
菜都と琉偉たちの笑顔を胸に焼き付けたまま、美癒は窓から遠くの空を見上げた。
そして、異界の山で会って以来 目にすることがなかった近藤君が元気に回復していっていることを祈った。
教室に戻ると、同じクラスのユースケが近付いてきた。
「なぁ、俺の看視実習の担当だった人が、もうすぐ異界の山にくるんだよ。生命が切れる寸前なんだ・・・カンナの親父さんみたいに助けてくんねぇか?」
「ユースケの担当って・・・どうしたの?」
ユースケの顔がどんどん曇っていく。
「・・・多分自殺だ・・・。」
「え!?どっどうして!!?」
「頼む!時間がないんだ!!」
美癒は焦って琉緒の顔を見る・・・と、とても嫌そうな顔をしていた。
「琉緒!急ごう!!」
「やめとけ。自殺するようなやつを【この世】に戻す方が残酷だ。」
「違う!確かに死にたがっている・・・けど、助けを待っているって俺には分かるんだ!」
(え~~!?どうすればいいの!?」
助けたい気持ちもあるが、本人にとってどうすることが正解なのか分からなかった。
「とりあえず異界の山に行ってみよう!!」
「勝手に行けよ。俺は知らねぇ。」
「そんなぁ・・・私じゃ異界の山に行くことが出来ないのに。」
「自分の力で行けねぇのに助けられるだなんて勘違いするな。」
「ひ・・・ひどい・・・。」
琉緒を巻き込まないと異界の山に行く術がないのも事実。
美癒だけではどうにも出来ないと気付いたユースケは涙を流した。
「そうだよな・・・無理言って悪かった。モニター越しに見てるだけで俺には何も出来ない。美癒なら・・・ってつい思ってしまったんだ。忘れてくれ。」
琉緒にもごめんと一言誤ってユースケは美癒の元を去ろうとした。
「待って!!」
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