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Phase.1『昼休み』
Chapter.5『出会いの逐次-薫織里&月稀乃』
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……偽りの愛に心を痛める…でも私はそれを止める事が出来ない。それは私の本当の愛が彼女のもとに有るから。
夫を送り出して子供を幼稚園に送り届けて家事全般をこなした後に、リモートワークを少し。そして予定をすべてこなした昼近く、私の本当の一日は始まる。
★★★
その家の玄関前に立ってインターホンのボタンを押すと、モニターから待ちかねた事が有り々の弾んだ声が返って来る。
「薫織里?」
「ええ、お邪魔していいかしら月稀乃?」
「勿論よ、ちゃんと準備してたから」
「……準備?」
「もう、言わせないの」
★★★
月稀乃とその旦那様の香りが染み込んだベッドにふたり横になりながら情事の後の余韻を過ごす。気怠そうに目を細め、少し物足りなさそうにしている彼女の頬に軽くキスしてから私はベッドに体を起こす。そして、不意に微笑んだ彼女を見下ろしながら少し意地悪に尋ねてみる。
「昨夜、旦那様としたんでしょ?」
「え、どうして……」
「いつもそう、旦那様に抱かれた次の日のベッドの香りって意外とわかる物よ。汗とあなたので」
意地悪な『にやにや』を浮かべながら投げた私の言葉は薫織里の羞恥を煽る様で、頬を染めながら視線を外す。
「な、なによ、薫織里だって旦那様とするんでしょ、お互い様よ」
「まぁ、そうだけど。私の場合はほぼ100%演技だから。旦那に抱かれて本気で感じた事なんて無いし。体の関係は子供を授かる為の行為以外の何物でもないわ」
「私だって似たような物よ、ホントに感じるのはあなたにされてるときだけよ」
耳まで真っ赤にしてまるで行為に慣れていない初心な女の子の様に口を尖らせながら呟く月稀乃が可愛らしくて私は再び彼女の頬にキスをする。暖かで滑らかな肌の感触が心地よく伝わって来て再び私の体の内側が痺れ始めるのを感じた。
「ねえ薫織里……」
「ん?」
突然真顔で尋ねる月稀乃は毛布を胸に巻き付けながら私と同じ様にベッドから体を起こし、次に発した呟きに私は少し表情を曇らせながら返答に詰まる。
「……離婚、しない?」
私は視線を落とし、何も答える事が出来なかった。それ位その言葉は強烈で大きな鉛の球を投げ付けられた位の衝撃が心と体を襲った。いつかは聞く言葉なのだとは思っていたけれど、いざ聞くと心はある意味、抵抗を示す。
「だって、人って出会う順番は選べないでしょ。私達、順番にさえ翻弄されてなければ今頃一緒に暮らしてて、平穏に過ごせていたんじゃないのかしら?」
ベッドルームのカーテンが吹き込む風でふわりと揺れる。真っ白なレースのカーテンはまるで月稀乃の心の様。このまま手を取り合って二人でどこかに逃げ出したい、そう思ってみたのだが、私の口を付いた言葉は……
「……そうかも、知れない…わね…」
「私達の年齢ならまだやり直せると思わない、私、今迄生きてきたストーリーを一度白紙に戻したいの」
月稀乃の潤んだ瞳は彼女の言葉に嘘偽りはなくて本気の思いである事を私に突き刺さる様に伝えてくる。だけど、もしそれを決断した時歯車はどう回り始めるのか、湧き上がる黒い影が私の心を曇らせる。そして彼女の唇を私の唇で塞ぎながら贖罪する。
……私は月稀乃を愛している。でも、踏み出せるだけの勇気がまだ足りない。私は今のままの関係を節に望む。そして月稀乃の愛情は憎しみに変わるかもしれない。
夫を送り出して子供を幼稚園に送り届けて家事全般をこなした後に、リモートワークを少し。そして予定をすべてこなした昼近く、私の本当の一日は始まる。
★★★
その家の玄関前に立ってインターホンのボタンを押すと、モニターから待ちかねた事が有り々の弾んだ声が返って来る。
「薫織里?」
「ええ、お邪魔していいかしら月稀乃?」
「勿論よ、ちゃんと準備してたから」
「……準備?」
「もう、言わせないの」
★★★
月稀乃とその旦那様の香りが染み込んだベッドにふたり横になりながら情事の後の余韻を過ごす。気怠そうに目を細め、少し物足りなさそうにしている彼女の頬に軽くキスしてから私はベッドに体を起こす。そして、不意に微笑んだ彼女を見下ろしながら少し意地悪に尋ねてみる。
「昨夜、旦那様としたんでしょ?」
「え、どうして……」
「いつもそう、旦那様に抱かれた次の日のベッドの香りって意外とわかる物よ。汗とあなたので」
意地悪な『にやにや』を浮かべながら投げた私の言葉は薫織里の羞恥を煽る様で、頬を染めながら視線を外す。
「な、なによ、薫織里だって旦那様とするんでしょ、お互い様よ」
「まぁ、そうだけど。私の場合はほぼ100%演技だから。旦那に抱かれて本気で感じた事なんて無いし。体の関係は子供を授かる為の行為以外の何物でもないわ」
「私だって似たような物よ、ホントに感じるのはあなたにされてるときだけよ」
耳まで真っ赤にしてまるで行為に慣れていない初心な女の子の様に口を尖らせながら呟く月稀乃が可愛らしくて私は再び彼女の頬にキスをする。暖かで滑らかな肌の感触が心地よく伝わって来て再び私の体の内側が痺れ始めるのを感じた。
「ねえ薫織里……」
「ん?」
突然真顔で尋ねる月稀乃は毛布を胸に巻き付けながら私と同じ様にベッドから体を起こし、次に発した呟きに私は少し表情を曇らせながら返答に詰まる。
「……離婚、しない?」
私は視線を落とし、何も答える事が出来なかった。それ位その言葉は強烈で大きな鉛の球を投げ付けられた位の衝撃が心と体を襲った。いつかは聞く言葉なのだとは思っていたけれど、いざ聞くと心はある意味、抵抗を示す。
「だって、人って出会う順番は選べないでしょ。私達、順番にさえ翻弄されてなければ今頃一緒に暮らしてて、平穏に過ごせていたんじゃないのかしら?」
ベッドルームのカーテンが吹き込む風でふわりと揺れる。真っ白なレースのカーテンはまるで月稀乃の心の様。このまま手を取り合って二人でどこかに逃げ出したい、そう思ってみたのだが、私の口を付いた言葉は……
「……そうかも、知れない…わね…」
「私達の年齢ならまだやり直せると思わない、私、今迄生きてきたストーリーを一度白紙に戻したいの」
月稀乃の潤んだ瞳は彼女の言葉に嘘偽りはなくて本気の思いである事を私に突き刺さる様に伝えてくる。だけど、もしそれを決断した時歯車はどう回り始めるのか、湧き上がる黒い影が私の心を曇らせる。そして彼女の唇を私の唇で塞ぎながら贖罪する。
……私は月稀乃を愛している。でも、踏み出せるだけの勇気がまだ足りない。私は今のままの関係を節に望む。そして月稀乃の愛情は憎しみに変わるかもしれない。
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