【完結】傷アリ令嬢と馬鹿にされてきましたが、真の価値には気づいていないみたいですね

早乙女らいか

文字の大きさ
6 / 28

6話 貴方にはもう価値がない

しおりを挟む
 side:マゼン・オルクス

「言いたい放題しやがって……誰のおかげでヴァーレイン家が生きていられると思っている!!」

 ノエルが去った後も僕の怒りは収まらなかった。
 目元に傷がある女を隣に置くだけで不快だったのに、僕を煽るような態度を取る始末。

 そして最後のあざとい顔。
 醜い女が可愛い子のフリをするという、吐きそうな光景が頭の中へ鮮明に刻みつけられた。

「ああああああああああっ!!」

 消えろ消えろ!!
 僕の頭にいていいのはお前じゃない!!
 誰よりも美しくて可愛いラブメアだけで十分なんだよ!!

 屋敷内の物に当たり散らかし、嫌な記憶を無理やり追い払おうとする。
 その様子を従者達は気まずそうな顔で見ていた。

「はぁ……はぁ……」

 冷静に考えろ。
 さっきのは今までで一番最悪な出来事だった。

 しかし、あれは最後だ。
 僕とノエルが関わる最後の記憶になる。

 つまり、これから訪れるのはラブメアとの幸せな日々のみ……

「ふふふ……あははは!!」

 だったらいいじゃないか!!
 あの女の事をもう考えなくてもいい。
 四六時中ずっとラブメアの事だけに集中できる!!

 最高だ……
 嬉しすぎて笑いが止まらない。

「マゼン様がノエル様と婚約破棄を……?」
「今のオルクス家の地位ってヴァーレイン家との繋がりがあったから成立してるよね」
「あの手紙は本当だったんだ……!!」

 ん? なんだ?
 従者達がやけにコソコソしている。

 君たちはラブメアに一歩も近づけないからねぇ。
 この幸せを味わえないのが非常に残念だよ。

◇◇◇

「なんだこれは!! 飯がマズいぞ!!」
「す、すみません!!」

 幸せに浸りたかったのに現実はそうさせてくれなかった。
 翌日、僕に待ち受けていたのは明らかに劣化した食事内容だった。

 スープは煮えてないしパンもボソボソ。
 オマケに食器の並べ方だってぐちゃぐちゃだしどうなっている!!
 
「じ、実は昨日から退職者が続出しておりまして……」
「人員が圧倒的に不足しているんです……」
「はぁ!?」

 人員が不足!?
 伯爵家の稼ぎ頭で多くの従者から理想の職場だと名が上がるオルクス家で!?

 まさか昨日の婚約破棄が影響して?
 いや、たかが婚約破棄で従者は動かないし、あいつらに貴族社会の知識はほとんど無い。

 一体何が起きて……ん?

「おい、なんだその紙は」
「っ!? こ、これはその……」
「見せろ」
「あっ」

 従者が隠し持っていた紙を取り上げる。
 手紙のようだが内容は……っ!!

『近日、オルクス家に大きな災いが起きます……が、それは今後起きるであろう破滅への一歩でしかありません。今の内に覚悟しておいてください』

 な、なんだこの内容は!?
 まるでオルクス家が崩壊するかのような書き方じゃないか!!

 この文書を読んで、従者達は逃げるように退職したのか……たかが婚約破棄でビビりやがって!!

「しかし、一体誰がこんな手紙を……」

 ノエルか?
 いや、彼女もそこまで器用な事はできないだろう。
 仮に計画した所でどうやって全従者に手紙を送ったんだ?

 まあいい。
 これからの未来を考えれば軽い事だ。

「おい!! 馬車の準備をしろ!! ラブメアへ会いに行くぞ!!」

 だけど、この時は気づいていなかった。
 ノエルとの婚約破棄が自分にどれほどの損害を与えるのかを。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?

きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。 しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……

私は《悪役令嬢》の役を降りさせて頂きます

・めぐめぐ・
恋愛
公爵令嬢であるアンティローゼは、婚約者エリオットの想い人であるルシア伯爵令嬢に嫌がらせをしていたことが原因で婚約破棄され、彼に突き飛ばされた拍子に頭をぶつけて死んでしまった。 気が付くと闇の世界にいた。 そこで彼女は、不思議な男の声によってこの世界の真実を知る。 この世界が恋愛小説であり《読者》という存在の影響下にあることを。 そしてアンティローゼが《悪役令嬢》であり、彼女が《悪役令嬢》である限り、断罪され死ぬ運命から逃れることができないことを―― 全てを知った彼女は決意した。 「……もう、あなたたちの思惑には乗らない。私は、《悪役令嬢》の役を降りさせて頂くわ」 ※全12話 約15,000字。完結してるのでエタりません♪ ※よくある悪役令嬢設定です。 ※頭空っぽにして読んでね! ※ご都合主義です。 ※息抜きと勢いで書いた作品なので、生暖かく見守って頂けると嬉しいです(笑)

包帯妻の素顔は。

サイコちゃん
恋愛
顔を包帯でぐるぐる巻きにした妻アデラインは夫ベイジルから離縁を突きつける手紙を受け取る。手柄を立てた夫は戦地で出会った聖女見習いのミアと結婚したいらしく、妻の悪評をでっち上げて離縁を突きつけたのだ。一方、アデラインは離縁を受け入れて、包帯を取って見せた。

『お父様、違いますわ!』結婚したい相手を間違えられた侯爵令嬢は、離婚したいに決まってる

栗皮ゆくり
恋愛
ユージェニー・サレット侯爵令嬢は、憧れのジョセフ・ドット公爵にしつこく付き纏った末、ついに念願の結婚を果たした。 しかし、その結婚は家宝『ラピスラズリの杯』を奪うための公爵の罠だった。 父と共に命を奪われたユージェニーは、血に染まった運命を悔いながら息絶える。 それなのに——目覚めると、時間は巻き戻っていた。 「今度こそ、サレット家を守り、幸せな結婚をするの!」と誓ったユージェニーに、新たな恋の予感が訪れる。 ところが、お父様の勘違い(?)で、 まさかの見知らぬ男性との政略結婚生活が始まってしまい……? 陰謀、裏切り、そして運命の再挑戦。 運命を変える恋は、そこにあるのか——?

今度は、私の番です。

宵森みなと
恋愛
『この人生、ようやく私の番。―恋も自由も、取り返します―』 結婚、出産、子育て―― 家族のために我慢し続けた40年の人生は、 ある日、検査結果も聞けないまま、静かに終わった。 だけど、そのとき心に残っていたのは、 「自分だけの自由な時間」 たったそれだけの、小さな夢だった 目を覚ましたら、私は異世界―― 伯爵家の次女、13歳の少女・セレスティアに生まれ変わっていた。 「私は誰にも従いたくないの。誰かの期待通りに生きるなんてまっぴら。自分で、自分の未来を選びたい。だからこそ、特別科での学びを通して、力をつける。選ばれるためじゃない、自分で選ぶために」 自由に生き、素敵な恋だってしてみたい。 そう決めた私は、 だって、もう我慢する理由なんて、どこにもないのだから――。 これは、恋も自由も諦めなかった ある“元・母であり妻だった”女性の、転生リスタート物語。

大事な婚約者が傷付けられたので全力で報復する事にした。

オーガスト
恋愛
 イーデルハイト王国王太子・ルカリオは王家の唯一の王位継承者。1,000年の歴史を誇る大陸最古の王家の存亡は彼とその婚約者の肩に掛かっている。そんなルカリオの婚約者の名はルーシェ。王国3大貴族に名を連ねる侯爵家の長女であり、才色兼備で知られていた。  ルカリオはそんな彼女と共に王家の未来を明るい物とするべく奮闘していたのだがある日ルーシェは婚約の解消を願い出て辺境の別荘に引きこもってしまう。  突然の申し出に困惑する彼だが侯爵から原因となった雑誌を見せられ激怒  全力で報復する事にした。  ノーリアリティ&ノークオリティご注意

兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!

ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。 自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。 しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。 「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」 「は?」 母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。 「もう縁を切ろう」 「マリー」 家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。 義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。 対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。 「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」 都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。 「お兄様にお任せします」 実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。

処理中です...