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8話 侯爵様が私に興味を?
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「ディゼ様が私と?」
「えぇ。貴方の作る物にとても興味を示していまして」
「侯爵家の当主よね? あれに興味を持つとは思えないのだけど……」
商人が私の作る物に興味を持つのは分かる。
お金になるし、かなり価値のある物だと強く推していたから。
だけど侯爵家は別。
元辺境伯令嬢の私とはいえ、作る物が作る物なのに興味を持つなんて珍しい。
だってあれは、
「ただのポーションよね?」
城下町にも流通している回復薬のポーション。
それを”ちょっと”アレンジしただけの物をディゼ様が興味を持つとは信じられなかった。
「いえいえ。ディゼ様は薬草の研究に熱心のようで……趣味の一環みたいですが」
「はぁ……」
侯爵様にそんな趣味があるとは。
まぁ、私も趣味の延長でこうなったから似てはいるけど。
私は薬草栽培やポーション生成が趣味だ。
だだっ広い土地を持て余すのもなーと考えていた時、亡き母が薬草作りを趣味にしていた事をふと思い出し、私も始めた。
で、気づけばのめり込んで今ではオリジナルのポーションを生成するまでになってしまった。
それが資産となって追い出された私を支えているのだから、世の中何が役に立つか分からないわね。
「こちらへどうぞ」
とか考えながら馬車に揺られているともう目的地についたらしい。
「……わぉ」
でっか。
私がいたお屋敷も大きかったけどそれ以上だわ。
特に庭園は敷地の面積の半分くらいは占めていそう……しかも生えている植物全てが薬草。
相当の薬草好きなのだと察した。
「ライヌ、その人が例のポーションを作った女性かい?」
「その通りです。こちら、オレンジポーションの製作者であるノエル様でございます」
そしてこの次男は門の近くで律儀に私を待っていたらしい。
馬車から降りた私に手を差し伸べ、転ばないように支えてくれる銀髪の男性。
この方がディゼ・ファニング?
教育がしっかりしているのか、作法や仕草に上品さを感じる。
どこぞの伯爵家の息子とは大違いね。
「はじめまして、私はノエル・ヴァ……いえ、ただのノエルです」
スカートの裾を軽く持ち上げ会釈する私。
辺境伯令嬢だった頃の名残がまだ抜けていない。
これから貴族では無くなるというのに、大丈夫かしら?
「実は君が今度住む家というのは私の所有地でね……」
「え、そうなのですか?」
大まかな場所と家の内見だけは済ませたけど、ここがディゼ様の所有地だとは一切知らなかった。
「ふっ……」
あっ、商人が目を逸らして笑ってる。
わざと隠してたわね……趣味が悪い。
「よければ君の薬草栽培を見たいのだけど……大丈夫?」
「私でよろしければ……」
気の抜けた私の返事に、軽く拳をグッと握りしめながら口角をあげるディゼ様。
そんなに私と話すのが楽しみだったのだろうか……
面白いことなど何もないのに。
まぁ、いいか。
変な真似をせずいつも通り迎え入れればいいでしょ。
ディゼ様に案内されるがまま、私達は今度住む家まで歩いて向かった。
「えぇ。貴方の作る物にとても興味を示していまして」
「侯爵家の当主よね? あれに興味を持つとは思えないのだけど……」
商人が私の作る物に興味を持つのは分かる。
お金になるし、かなり価値のある物だと強く推していたから。
だけど侯爵家は別。
元辺境伯令嬢の私とはいえ、作る物が作る物なのに興味を持つなんて珍しい。
だってあれは、
「ただのポーションよね?」
城下町にも流通している回復薬のポーション。
それを”ちょっと”アレンジしただけの物をディゼ様が興味を持つとは信じられなかった。
「いえいえ。ディゼ様は薬草の研究に熱心のようで……趣味の一環みたいですが」
「はぁ……」
侯爵様にそんな趣味があるとは。
まぁ、私も趣味の延長でこうなったから似てはいるけど。
私は薬草栽培やポーション生成が趣味だ。
だだっ広い土地を持て余すのもなーと考えていた時、亡き母が薬草作りを趣味にしていた事をふと思い出し、私も始めた。
で、気づけばのめり込んで今ではオリジナルのポーションを生成するまでになってしまった。
それが資産となって追い出された私を支えているのだから、世の中何が役に立つか分からないわね。
「こちらへどうぞ」
とか考えながら馬車に揺られているともう目的地についたらしい。
「……わぉ」
でっか。
私がいたお屋敷も大きかったけどそれ以上だわ。
特に庭園は敷地の面積の半分くらいは占めていそう……しかも生えている植物全てが薬草。
相当の薬草好きなのだと察した。
「ライヌ、その人が例のポーションを作った女性かい?」
「その通りです。こちら、オレンジポーションの製作者であるノエル様でございます」
そしてこの次男は門の近くで律儀に私を待っていたらしい。
馬車から降りた私に手を差し伸べ、転ばないように支えてくれる銀髪の男性。
この方がディゼ・ファニング?
教育がしっかりしているのか、作法や仕草に上品さを感じる。
どこぞの伯爵家の息子とは大違いね。
「はじめまして、私はノエル・ヴァ……いえ、ただのノエルです」
スカートの裾を軽く持ち上げ会釈する私。
辺境伯令嬢だった頃の名残がまだ抜けていない。
これから貴族では無くなるというのに、大丈夫かしら?
「実は君が今度住む家というのは私の所有地でね……」
「え、そうなのですか?」
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「ふっ……」
あっ、商人が目を逸らして笑ってる。
わざと隠してたわね……趣味が悪い。
「よければ君の薬草栽培を見たいのだけど……大丈夫?」
「私でよろしければ……」
気の抜けた私の返事に、軽く拳をグッと握りしめながら口角をあげるディゼ様。
そんなに私と話すのが楽しみだったのだろうか……
面白いことなど何もないのに。
まぁ、いいか。
変な真似をせずいつも通り迎え入れればいいでしょ。
ディゼ様に案内されるがまま、私達は今度住む家まで歩いて向かった。
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