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9話 侯爵様の価値観がわかりません
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「ほぉ、ここがノエルの畑か」
新しい家。
新しい土地。
新しい畑。
植え替えたばかりの薬草の数々をディゼ様はじーっと観察していた。
時々唸るほど感心し、分かりやすく口角を上げながら。
一体何が起きているのだろうか。
貴族から追い出された私の新居を侯爵様の次男が楽しそうに見物している。
夢かしら?
色んな出来事があったとはいえ、流石にディゼ様が私に興味を持つという事実にイマイチ実感が湧かなかった。
「葉の色も綺麗だし余計な虫もいない。どうやってここまで?」
「えっと……毎日のお手入れにディゼ様の土地から取り寄せた良質な土、そして香辛料を混ぜた虫除けで何とかしております」
「なんと香辛料を……その発想は無かったな」
お母様の受け売りだけど。
しかし、この話しぶり本当に薬草が好きなのね。
「ディゼ様はどうして薬草がお好きなのですか?」
「んー……色々と理由はあるけど、民衆に広められる治療って言うのが一番かな?」
「治療?」
「聖女の祝福は一部の貴族にしか受けられない希少で高価な治療方法だ。しかし、薬草やポーションならば比較的安価だし民衆にも広めやすい。私はより多くの人が治療を受けられる環境を作りたいんだ」
ディゼ様の考えを聞いて、ここまで興味を持つ理由がなんとなく分かった。
この世界で最も効果的な治療方法は聖女の祝福だと言われている。
詳しくは知らないが未知の病を治し、重傷を完治させ、溜まり切った疲労を一瞬で消し飛ばすという。
最早おとぎ話のような内容だけど、実際に聖女と会った人から聞いた話だから本当みたいなのよね。
しかし、そんな聖女は何人もいるわけではなく、国に一人いればいい方。
治療費だって教会が示す金額はバカ高いし受けられるのは一部の貴族か大富豪のみ。
私みたいな貧乏貴族が受けられるような世界では無い。
「聖女様の需要も分かりますけどね……私みたいな傷を負った人からすれば特に」
「噂で傷アリ令嬢だなんて聞いたがまさか」
「えぇ。それが私です」
聖女の力なら私の傷ついた目も治るのだろうか。
何度も何度も夢を見たが手が届く事は無い。
結果、私は諦めた。
諦めるのが気が楽でよかったから。
「……美しいと思うのだが」
「へ?」
が、そんな私にディゼ様は意外すぎる感想を口にした。
「な、何を? お世辞はやめてください」
「お世辞ではないが……?」
「ああもう、薬草についてお聞きしたい事があるんでしたよね? 何でもお答えしますから!!」
私の強引で強気な態度に押されて話は薬草に戻る。
変に顔が熱い。
容姿を褒められた事なんて久しぶりだったからか、想像以上に動揺してしまった。
だけどこれはお世辞。
追い出されたとはいえ、貴族の女性に対するあいさつのようなものだ。
誤魔化すように何度も自分に言い聞かせ、私は淡々とディゼ様に薬草の説明を進めていった。
新しい家。
新しい土地。
新しい畑。
植え替えたばかりの薬草の数々をディゼ様はじーっと観察していた。
時々唸るほど感心し、分かりやすく口角を上げながら。
一体何が起きているのだろうか。
貴族から追い出された私の新居を侯爵様の次男が楽しそうに見物している。
夢かしら?
色んな出来事があったとはいえ、流石にディゼ様が私に興味を持つという事実にイマイチ実感が湧かなかった。
「葉の色も綺麗だし余計な虫もいない。どうやってここまで?」
「えっと……毎日のお手入れにディゼ様の土地から取り寄せた良質な土、そして香辛料を混ぜた虫除けで何とかしております」
「なんと香辛料を……その発想は無かったな」
お母様の受け売りだけど。
しかし、この話しぶり本当に薬草が好きなのね。
「ディゼ様はどうして薬草がお好きなのですか?」
「んー……色々と理由はあるけど、民衆に広められる治療って言うのが一番かな?」
「治療?」
「聖女の祝福は一部の貴族にしか受けられない希少で高価な治療方法だ。しかし、薬草やポーションならば比較的安価だし民衆にも広めやすい。私はより多くの人が治療を受けられる環境を作りたいんだ」
ディゼ様の考えを聞いて、ここまで興味を持つ理由がなんとなく分かった。
この世界で最も効果的な治療方法は聖女の祝福だと言われている。
詳しくは知らないが未知の病を治し、重傷を完治させ、溜まり切った疲労を一瞬で消し飛ばすという。
最早おとぎ話のような内容だけど、実際に聖女と会った人から聞いた話だから本当みたいなのよね。
しかし、そんな聖女は何人もいるわけではなく、国に一人いればいい方。
治療費だって教会が示す金額はバカ高いし受けられるのは一部の貴族か大富豪のみ。
私みたいな貧乏貴族が受けられるような世界では無い。
「聖女様の需要も分かりますけどね……私みたいな傷を負った人からすれば特に」
「噂で傷アリ令嬢だなんて聞いたがまさか」
「えぇ。それが私です」
聖女の力なら私の傷ついた目も治るのだろうか。
何度も何度も夢を見たが手が届く事は無い。
結果、私は諦めた。
諦めるのが気が楽でよかったから。
「……美しいと思うのだが」
「へ?」
が、そんな私にディゼ様は意外すぎる感想を口にした。
「な、何を? お世辞はやめてください」
「お世辞ではないが……?」
「ああもう、薬草についてお聞きしたい事があるんでしたよね? 何でもお答えしますから!!」
私の強引で強気な態度に押されて話は薬草に戻る。
変に顔が熱い。
容姿を褒められた事なんて久しぶりだったからか、想像以上に動揺してしまった。
だけどこれはお世辞。
追い出されたとはいえ、貴族の女性に対するあいさつのようなものだ。
誤魔化すように何度も自分に言い聞かせ、私は淡々とディゼ様に薬草の説明を進めていった。
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