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23話 そこまでかばわなくても
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「路頭に迷っていた所をディゼ様に拾っていただきました。今ではディゼ様が管理する研究所で一職員として働いております」
「ふぅん、職員ねぇ?」
じっと頭を下げ続ける。
そんな私にラブメア様は嬉しそうな声と共に近づいてくる。
「いつか没落するとは思いました。が、こんなに早く訪れるとは思いませんでしたわ」
明らかな挑発。
私の事はマゼンから色々聞いているはず。
勿論、悪い内容ばかりだと思うが。
傷アリの悪名はこんな所にも響いていたのですね。
「ラブメア、その辺にして頂きたい」
「あらディゼ、平民に固執するなんて珍しいわね。それとも彼女に惚れちゃった?」
「私にとって研究所の職員は大事な存在だ。それを侮辱されて黙っている私ではない」
「なぁるほど?」
そんな私とラブメア様の間にディゼ様が割って入る。
ディゼ様の声が少し冷たい?
気のせいですかね。
「いいわ。平民のノエルなんて眼中にありませんもの」
「馬車も来ている。ここからは歩きながらお話しよう」
「えぇー? もっとお話させてください~」
甘ったるい声が凄く不快。
男に媚びるような態度を見てるとイライラしてしまう。
「ふふっ……つまんないの」
何かを飛ばされた。恐らくホコリか何か。
頭を下げ続ける私に対して彼女の堪えたような笑いが聞こえてくる。
「ま、せいぜい己の醜さを実感するといいですわ」
そして吐き捨てるような悪口と共にラブメア様は去って行った。
(疲れた……)
貴族令嬢だった頃はこんな悪口が日常だった。
今更何を言われても、怒ったり泣いたりするような私ではない。
ただ疲れはする。
聞き飽きたというか、単純に不快な言葉はいつまでたっても不快だ。
できれば私だって聞きたくない。
「ノエル~!! あんなやつの言葉、間に受けなくていいからね?」
「わわっ!? あ、ありがとうございます」
小さくため息を吐いた途端、後ろからエリスさんが抱きついてきた。
「罵詈雑言には慣れているのでご心配なく。まぁ、言われ続けると疲れはしますが」
「それは大丈夫じゃないねー。ゆっくり休も?」
「いえ、まだお昼ですから……」
流石に中途半端な時間に帰るわけにはいかないので。
ただ、エリスさんの純粋な優しさは安心する。
「だけどディゼ様、かなーり怒っていたね」
「え?」
やっぱり怒っていたんですね……
マゼンの時といい、ディゼ様って意外と感情豊か?
「確かに研究所を悪く言われて、何とも思わないお方ではありませんが……」
「いやいや、あれは個人的な怒りだね。ノエルの事を悪く言っていたし」
「私ですか?」
ディゼ様は私の事をどうもよく見過ぎている気がする。
地位はないし、顔に傷はあるし、才能もせいぜい特殊なポーションを作るくらい。
え、もしかして私のポーションって凄い?
顔の傷なんて気にならないくらい、私のポーションが魅力的だったとか?
傷の部分を無視したと考えれば、今までの言動も納得できるかも。
「私の才能ってそこまで価値があるんですね。未だ実感できませんが」
「あー、うん……そうだけど、そうじゃない……」
「?」
やれやれといった顔をするエリスさん。
え、違うの?
ディゼ様の価値観がますますわからない。
彼の本心を理解できる日は来るのだろうか。
「ふぅん、職員ねぇ?」
じっと頭を下げ続ける。
そんな私にラブメア様は嬉しそうな声と共に近づいてくる。
「いつか没落するとは思いました。が、こんなに早く訪れるとは思いませんでしたわ」
明らかな挑発。
私の事はマゼンから色々聞いているはず。
勿論、悪い内容ばかりだと思うが。
傷アリの悪名はこんな所にも響いていたのですね。
「ラブメア、その辺にして頂きたい」
「あらディゼ、平民に固執するなんて珍しいわね。それとも彼女に惚れちゃった?」
「私にとって研究所の職員は大事な存在だ。それを侮辱されて黙っている私ではない」
「なぁるほど?」
そんな私とラブメア様の間にディゼ様が割って入る。
ディゼ様の声が少し冷たい?
気のせいですかね。
「いいわ。平民のノエルなんて眼中にありませんもの」
「馬車も来ている。ここからは歩きながらお話しよう」
「えぇー? もっとお話させてください~」
甘ったるい声が凄く不快。
男に媚びるような態度を見てるとイライラしてしまう。
「ふふっ……つまんないの」
何かを飛ばされた。恐らくホコリか何か。
頭を下げ続ける私に対して彼女の堪えたような笑いが聞こえてくる。
「ま、せいぜい己の醜さを実感するといいですわ」
そして吐き捨てるような悪口と共にラブメア様は去って行った。
(疲れた……)
貴族令嬢だった頃はこんな悪口が日常だった。
今更何を言われても、怒ったり泣いたりするような私ではない。
ただ疲れはする。
聞き飽きたというか、単純に不快な言葉はいつまでたっても不快だ。
できれば私だって聞きたくない。
「ノエル~!! あんなやつの言葉、間に受けなくていいからね?」
「わわっ!? あ、ありがとうございます」
小さくため息を吐いた途端、後ろからエリスさんが抱きついてきた。
「罵詈雑言には慣れているのでご心配なく。まぁ、言われ続けると疲れはしますが」
「それは大丈夫じゃないねー。ゆっくり休も?」
「いえ、まだお昼ですから……」
流石に中途半端な時間に帰るわけにはいかないので。
ただ、エリスさんの純粋な優しさは安心する。
「だけどディゼ様、かなーり怒っていたね」
「え?」
やっぱり怒っていたんですね……
マゼンの時といい、ディゼ様って意外と感情豊か?
「確かに研究所を悪く言われて、何とも思わないお方ではありませんが……」
「いやいや、あれは個人的な怒りだね。ノエルの事を悪く言っていたし」
「私ですか?」
ディゼ様は私の事をどうもよく見過ぎている気がする。
地位はないし、顔に傷はあるし、才能もせいぜい特殊なポーションを作るくらい。
え、もしかして私のポーションって凄い?
顔の傷なんて気にならないくらい、私のポーションが魅力的だったとか?
傷の部分を無視したと考えれば、今までの言動も納得できるかも。
「私の才能ってそこまで価値があるんですね。未だ実感できませんが」
「あー、うん……そうだけど、そうじゃない……」
「?」
やれやれといった顔をするエリスさん。
え、違うの?
ディゼ様の価値観がますますわからない。
彼の本心を理解できる日は来るのだろうか。
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