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幼児期
忍、徘徊する。
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「……暇」
なんとなく呟くが、返事はない。
あれから一時間くらい時間がたってるはずなのに誰も来ない。
ほんと暇。
人のうちを徘徊するなんて無作法だとは思ったが、子供だし、問題ないよね?と自己簡潔して部屋を出る。
どこの城だよ、と思うほど立派な日本家屋。
なんとなく一部屋一部屋 見て回る。
「旅館みたい……」
どの部屋も嗜好を凝らした趣ある室内は心休まる空間になっていた。
ふと見ると厠と書かれた部屋があった。
「これ、もしかしてトイレも ボット……」
ガラガラと開ける。
「な訳ないか」
和モダンな個室には なってるけど洋式トイレだった。
「お風呂は源泉かけながし?」
なんだか楽しくなってきて、ウキウキと歩きだす。
たぶん突き当たりの大きな格子戸が お風呂だ。
そう思って引き戸を開いた。
!!!!!
この世の中に こんな綺麗な人がいるのか?
いや、いる訳ない。
夜空のように煌めく黒髪、透き通るような白い肌。
意思の強そうな凛とした黒目。
まるで かぐや姫みたいだ……。
「いつまで見てらっしゃるの?」
ああ、声まで綺麗だ。
「たとえ子供といえど、覗きや痴漢で訴えられますわよ?」
「え?」
その言葉はハッとする。
腰まである黒髪で隠れてはいるが、彼女は全裸だった。
「ご、ごめんなさい!!」
ガラガラ!!と乱暴に引き戸を閉める。
もと来た廊下を走って戻る。
動悸が激しい。
思い出さないようにと脳内から追い出すが、それでも浮かび上がってくる肢体。
やば。ぼく、変態かも……。
ドタドタと走っていると、向こうから見慣れた女の子が歩いてきた。
「フライツさま!!」
満面の笑顔で手を振るブスッ子に毒気を抜かれる。
「……だからフライツじゃないし」
「あらためて お礼に行こうと思ったのですが、フライツさまは いらっしゃらないし、修斗さまは寝ていらっしゃるし、どうしようかと思っていたのです」
お会いできて良かったと笑う。
「別に なんにも してないし」
調べて連れてきたのは修斗だ。
「フライツさまに出会えなければ帰ってこれませんでしたもの!!感謝しても しきれませんわ!!」
「もう、いいし。てか、夕飯まだ?」
「お夕飯は、もう少し後ですわ。良かったらワタクシに お時間をいただけませんか?素敵な場所を見つけたのです!!」
「……また迷子になる」
「敷地内だから大丈夫ですわ」
有無を言わせず手をひかれる。
「とっても神秘的でビックリなさいますよ!!」
キラキラした笑顔で早く早くと引っ張る。
樹齢何十年なのかと思う大木に囲まれ、小さな泉が沸いていた。
ここだけ時の流れが違うような独特の雰囲気に圧倒されながら、なんとはなしに泉を覗きこむ。
「綺麗でしょ?とっても美味しい湧水なんですよ!!」
ブスッ子は楽しそうに話すが、ぼくは別のことを考えていた。
細く深く続く泉が、まるで龍の巣穴のように思えて身震いした。
まさか、ここが噂の龍の……。
「落ちたらヤバいね」
「大丈夫ですわ!!」
「……なんで言い切る」
「だって水が溢れてきてるんですもの。押し戻されますわ!!」
「…………」
子供って単純でいいな。
「ほら!!フライツさまも飲んでみて!!」
ブスッ子が両手に水を掬って差し出す。
「自分で飲めるし……」
「ほら!!」
強引に口許に運ばれ、嫌々ながら口をつける。
「「え?」」
瞬間、ブスッ子の手の中で水が輝き出した。
なんとなく呟くが、返事はない。
あれから一時間くらい時間がたってるはずなのに誰も来ない。
ほんと暇。
人のうちを徘徊するなんて無作法だとは思ったが、子供だし、問題ないよね?と自己簡潔して部屋を出る。
どこの城だよ、と思うほど立派な日本家屋。
なんとなく一部屋一部屋 見て回る。
「旅館みたい……」
どの部屋も嗜好を凝らした趣ある室内は心休まる空間になっていた。
ふと見ると厠と書かれた部屋があった。
「これ、もしかしてトイレも ボット……」
ガラガラと開ける。
「な訳ないか」
和モダンな個室には なってるけど洋式トイレだった。
「お風呂は源泉かけながし?」
なんだか楽しくなってきて、ウキウキと歩きだす。
たぶん突き当たりの大きな格子戸が お風呂だ。
そう思って引き戸を開いた。
!!!!!
この世の中に こんな綺麗な人がいるのか?
いや、いる訳ない。
夜空のように煌めく黒髪、透き通るような白い肌。
意思の強そうな凛とした黒目。
まるで かぐや姫みたいだ……。
「いつまで見てらっしゃるの?」
ああ、声まで綺麗だ。
「たとえ子供といえど、覗きや痴漢で訴えられますわよ?」
「え?」
その言葉はハッとする。
腰まである黒髪で隠れてはいるが、彼女は全裸だった。
「ご、ごめんなさい!!」
ガラガラ!!と乱暴に引き戸を閉める。
もと来た廊下を走って戻る。
動悸が激しい。
思い出さないようにと脳内から追い出すが、それでも浮かび上がってくる肢体。
やば。ぼく、変態かも……。
ドタドタと走っていると、向こうから見慣れた女の子が歩いてきた。
「フライツさま!!」
満面の笑顔で手を振るブスッ子に毒気を抜かれる。
「……だからフライツじゃないし」
「あらためて お礼に行こうと思ったのですが、フライツさまは いらっしゃらないし、修斗さまは寝ていらっしゃるし、どうしようかと思っていたのです」
お会いできて良かったと笑う。
「別に なんにも してないし」
調べて連れてきたのは修斗だ。
「フライツさまに出会えなければ帰ってこれませんでしたもの!!感謝しても しきれませんわ!!」
「もう、いいし。てか、夕飯まだ?」
「お夕飯は、もう少し後ですわ。良かったらワタクシに お時間をいただけませんか?素敵な場所を見つけたのです!!」
「……また迷子になる」
「敷地内だから大丈夫ですわ」
有無を言わせず手をひかれる。
「とっても神秘的でビックリなさいますよ!!」
キラキラした笑顔で早く早くと引っ張る。
樹齢何十年なのかと思う大木に囲まれ、小さな泉が沸いていた。
ここだけ時の流れが違うような独特の雰囲気に圧倒されながら、なんとはなしに泉を覗きこむ。
「綺麗でしょ?とっても美味しい湧水なんですよ!!」
ブスッ子は楽しそうに話すが、ぼくは別のことを考えていた。
細く深く続く泉が、まるで龍の巣穴のように思えて身震いした。
まさか、ここが噂の龍の……。
「落ちたらヤバいね」
「大丈夫ですわ!!」
「……なんで言い切る」
「だって水が溢れてきてるんですもの。押し戻されますわ!!」
「…………」
子供って単純でいいな。
「ほら!!フライツさまも飲んでみて!!」
ブスッ子が両手に水を掬って差し出す。
「自分で飲めるし……」
「ほら!!」
強引に口許に運ばれ、嫌々ながら口をつける。
「「え?」」
瞬間、ブスッ子の手の中で水が輝き出した。
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