ドラゴンに育てられた少年、生みの親を探して旅に出る

千耀

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第3章 武術大会編

7 ペンダント

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 テオドールがペンダントを、服の中から取り出そうとした時、

「失礼します」

 近衛騎士団の団長・レオンハルトが入ってきた。
 
「レオンハルト団長。どうして、こんなところに?」

 顔をこわばらせた子爵が、動揺を滲ませながら尋ねた。
 
「陛下の命により、そちらの少年を呼びに来たのです」

 レオンハルトはテオドールの前まで歩みを進め、
 
「私は近衛騎士団の団長、レオンハルトと言う。国王陛下が君に会いたがっている。私について来てくれたまえ」

 テオドールが首を横に振って拒否したので、レオンハルトが理由を尋ねると、

「約束した。エレナ、助ける――」
「な、何を言ってんだ。その件は後回しだ。貴様が戻るまで、待っていてやる。だから、すぐに陛下のもとへ行け!」

 エレナの件が国王の耳に入るのはマズイので、子爵は慌ててテオドールの言葉を遮った。
 テオドールが、状況を飲み込めず迷っていると、ジュリエットが竜語で、
 
『テオ。此処は妾に任せて、国王のもとへ行きなさい。エレナとグレース夫人たちも連れて行けば、心配ないだろ』
『わかったよ。母ちゃんが、そう言うのなら』

「みんな、一緒なら行く」

 テオドールは、レオンハルトにそう伝えた。
 エレナとグレース夫人、そしてアルフレッドは、ジュリエットに説得されて、テオドールについて行くことになった。
 レオンハルトがテオドールに、剣を置いて行くように伝えると、

「それならワシが剣を預かろう」

 と、子爵が手を差し出すが、それを無視してテオドールは『母ちゃん、頼むよ』と、ジュリエットに託した。
 テオドールたちが手当室から出ていくのを、子爵は忌々しげに見送る。
 一番のお宝を拝み損ねたあげく、エレナのお預けを食らった子爵は、

「くそっ! とんだ邪魔が入った」

 と、吐き捨てるように言った。
 そして振り向いた子爵は、ジュリエットにイヤラシイ視線を向けて、

「なかなかの上玉ではないか。どうだ、ワシの妾にならぬか。可愛がってやるぞ」
「今すぐ消え失せろ、下衆どもが。殺すぞ」

 ジュリエットは射るような視線で睨み恫喝した。
 
「このワシに、そんな口を利いて、ただでは済まぬぞ。これはお仕置きせねば、ならぬな。多少、手荒な真似をしても構わぬ。この生意気な小娘をワシの屋敷に連れていくぞ」

 子爵が従者の大男二人に、ジュリエットを攫うように命じた。
 刹那、ジュリエットは目にもとまらぬ素早さで剣を振るった。
 それに気づかなかった男たちが、いやらしい目つきでジュリエットに一歩歩み寄ったとき、彼らの服が裂けて、ズボンがずり落ちた。
 マヌケな表情で顔を見合わせる男たちに、ジュリエットが剣を向ける。
 それでようやく状況を把握した子爵たちは、悲鳴を上げて一目散に逃げ出した。
 ジュリエットは子爵たちを殺すつもりだったが、さすがに此処を血の海にするのはマズイと思い、踏みとどまった。

『ふん。これで邪魔者は片付いたな』
 
 そう呟いてジュリエットは出入口の扉を閉めると、ベッドに横たわる男のもとへ歩み寄る。
 そして男爵の唇に、ジュリエットは自身の唇を重ねた。
 
 
 レオンハルトは、闘技場に向かいながら、テオドールに用件を説明した。
 
「陛下がテオドール君の戦うところを見たいというので、近衛騎士団と手合わせしてほしいんだ。お願いできるかな?」

 アルフレッドが頷いたので、テオドールは引き受けた。
 テオドールは、アルフレッドに従うよう、ジュリエットから言われている。
 しばらくして悲鳴が聞こえたので、アルフレッドが振り返ると、服の破れた子爵たちが一目散に逃げていくのが見えた。 
 アルフレッドはジュリエットから、そのうち子爵たちは帰るだろうから、そうしたら奥様とお嬢様を、手当室に戻してよいと言われていた。
 本当にその通りになったので、アルフレッドは、
 
「レオンハルト様。申し訳ございませんが、奥様とお嬢様の体調が優れないので、手当室へ送り届けても、よろしいでしょうか」

 了承を得られたのでアルフレッドは、二人を連れて手当室に戻ると、扉をノックして中に入った。
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