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第7章 エルデン帝国編
8 式典
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功労を称え労う式典が行われるため、高位貴族が王城に招集された。
王城でオークハート男爵に出くわしたアウグスト辺境伯は嫌味っぽく、
「オークハート男爵、何故おられるのですかな。これから執り行われるのは高位貴族のみが参列する式典。下級貴族の貴殿は呼ばれてないはずだが」
「これはアウグスト辺境伯、お久しぶりです。私は彼らを連れてくるように命じられたのです。この二人は先の戦いにおける殊勲者なので――」
男爵はテオドールとジュリエットを伯爵に紹介した。
「はぁ? 殊勲者だと? まだ子供じゃないか。儂の軍隊ですら壊滅状態だというのに、馬鹿にしておるのか! 目障りだ、儂の前から消え失せろ。愚か者めが!」
これまでもアウグスト辺境伯は、下級貴族を見下して横柄な態度をとっていた。
さらに先の戦いで敵に敗れて甚大な被害を被り、虫の居所が悪かったので、男爵に怒りをぶつけたのである。
『テオ。辺境伯の口を黙らせてもよいか?』
『オレは構わないけど、男爵に迷惑が掛かるから、やめてくれ。母ちゃん』
ジュリエットが辺境伯を力づくで黙らせようとするのを、テオドールは阻止した。
「辺境伯閣下。彼らに無礼な振る舞いは、お控えください。彼らは王妃と国を救った英雄で、陛下が特段目に掛けておられます。もし彼らに仇なせば、陛下を敵に回すことになります」
男爵たちを迎えに来たレオンハルトが、アウグスト辺境伯を諫めた。
「ふん。近衛の団長だからって、生意気抜かすでないわ。儂の方が身分は上なのだからな。この若造めが」
レオンハルトを睨みつけ捨て台詞を吐くと、アウグスト辺境伯は立ち去った。
その後レオンハルトは、男爵たちを国王の私室へ案内した。
室内に一人で待っていた国王は、ジュリエットとテオドールに歩み寄り、
「ジュリエット、テオドール。済まなかった。許してくれ」
いきなり平伏して謝罪した。
国王が臣下の前で平伏して許しを請うなど、前代未聞の出来事で、男爵は慌てふためきながら、
「国王陛下。そのようなことは、おやめください」
「いや。二人はセリーヌと国を救ってくれた恩人だ。それなのに我は不義理なことをしてしまった。許してもらえるまで、いつまでも謝り続ける」
「テオドール君、ジュリットさん。何とかしてくれ。頼む」
男爵は二人に縋りつき懇願した。
『母ちゃん。国王を許してあげてよ』
『許すも何も、別に怒ってはおらぬのだがな』
ジュリエットは、彼女とテオドールを捕らえようとした国王の立場を理解できたので、
「うむ。国王の忠告に耳を傾けなかった妾にも非はある。人間を甘く見すぎて、危うく命を落とすところだったし、此の国に甚大な被害も出してしまった。痛み分けということで、すべてを水に流そうではないか」
目を潤ませながら国王は、ジュリエットが差し出した手を取り立ち上がると、
「今回の式典は、二人の功績を称えるもの。テオドールには、王配という称号を用意した」
「王配? テオが王女の婿になるってことか?」
「実はセリーヌがテオドールのことを好いておってな――」
「知っておる。毎日のようにテオに会いに来ていたからな」
「なら話が早い。テオドールをセリーヌの婿に――」
「断る。テオはやらぬからな」
「そんな……テオドールが王都を去ってから、セリーヌに責められ続けて困っておるのだ」
「知るか!」
けんもほろろにジュリエットは突っぱねた。
◇◆◇◆◇
その後、玉座の間で式典が厳かに執り行われ、ジュリエットとテオドールが顕彰された。
アウグスト辺境伯の無礼な振る舞いについて、レオンハルトから報告を受けていた国王は、参列した貴族たちに、
「此処にいるジュリエットとテオドールは、我が国を救った英雄である。彼らに仇をなす者は、国賊とみなし処罰する。それが王族や貴族であろうともだ。心しておくように」
まだ怒りが収まらないアウグスト辺境伯は、不満げな目を二人に向けていたが、国王に睨みつけられ、警告が自身に発せられたものだと察して縮み上がった。
「これまで諸国との関係を重視して、アウロス教を国教にしてきた。だがアウロス教は、人々を苦しめる邪教だ。ゆえに我が国は、土着信仰の神聖竜神教を国教とする」
国王は改宗することを宣言した。
王城でオークハート男爵に出くわしたアウグスト辺境伯は嫌味っぽく、
「オークハート男爵、何故おられるのですかな。これから執り行われるのは高位貴族のみが参列する式典。下級貴族の貴殿は呼ばれてないはずだが」
「これはアウグスト辺境伯、お久しぶりです。私は彼らを連れてくるように命じられたのです。この二人は先の戦いにおける殊勲者なので――」
男爵はテオドールとジュリエットを伯爵に紹介した。
「はぁ? 殊勲者だと? まだ子供じゃないか。儂の軍隊ですら壊滅状態だというのに、馬鹿にしておるのか! 目障りだ、儂の前から消え失せろ。愚か者めが!」
これまでもアウグスト辺境伯は、下級貴族を見下して横柄な態度をとっていた。
さらに先の戦いで敵に敗れて甚大な被害を被り、虫の居所が悪かったので、男爵に怒りをぶつけたのである。
『テオ。辺境伯の口を黙らせてもよいか?』
『オレは構わないけど、男爵に迷惑が掛かるから、やめてくれ。母ちゃん』
ジュリエットが辺境伯を力づくで黙らせようとするのを、テオドールは阻止した。
「辺境伯閣下。彼らに無礼な振る舞いは、お控えください。彼らは王妃と国を救った英雄で、陛下が特段目に掛けておられます。もし彼らに仇なせば、陛下を敵に回すことになります」
男爵たちを迎えに来たレオンハルトが、アウグスト辺境伯を諫めた。
「ふん。近衛の団長だからって、生意気抜かすでないわ。儂の方が身分は上なのだからな。この若造めが」
レオンハルトを睨みつけ捨て台詞を吐くと、アウグスト辺境伯は立ち去った。
その後レオンハルトは、男爵たちを国王の私室へ案内した。
室内に一人で待っていた国王は、ジュリエットとテオドールに歩み寄り、
「ジュリエット、テオドール。済まなかった。許してくれ」
いきなり平伏して謝罪した。
国王が臣下の前で平伏して許しを請うなど、前代未聞の出来事で、男爵は慌てふためきながら、
「国王陛下。そのようなことは、おやめください」
「いや。二人はセリーヌと国を救ってくれた恩人だ。それなのに我は不義理なことをしてしまった。許してもらえるまで、いつまでも謝り続ける」
「テオドール君、ジュリットさん。何とかしてくれ。頼む」
男爵は二人に縋りつき懇願した。
『母ちゃん。国王を許してあげてよ』
『許すも何も、別に怒ってはおらぬのだがな』
ジュリエットは、彼女とテオドールを捕らえようとした国王の立場を理解できたので、
「うむ。国王の忠告に耳を傾けなかった妾にも非はある。人間を甘く見すぎて、危うく命を落とすところだったし、此の国に甚大な被害も出してしまった。痛み分けということで、すべてを水に流そうではないか」
目を潤ませながら国王は、ジュリエットが差し出した手を取り立ち上がると、
「今回の式典は、二人の功績を称えるもの。テオドールには、王配という称号を用意した」
「王配? テオが王女の婿になるってことか?」
「実はセリーヌがテオドールのことを好いておってな――」
「知っておる。毎日のようにテオに会いに来ていたからな」
「なら話が早い。テオドールをセリーヌの婿に――」
「断る。テオはやらぬからな」
「そんな……テオドールが王都を去ってから、セリーヌに責められ続けて困っておるのだ」
「知るか!」
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◇◆◇◆◇
その後、玉座の間で式典が厳かに執り行われ、ジュリエットとテオドールが顕彰された。
アウグスト辺境伯の無礼な振る舞いについて、レオンハルトから報告を受けていた国王は、参列した貴族たちに、
「此処にいるジュリエットとテオドールは、我が国を救った英雄である。彼らに仇をなす者は、国賊とみなし処罰する。それが王族や貴族であろうともだ。心しておくように」
まだ怒りが収まらないアウグスト辺境伯は、不満げな目を二人に向けていたが、国王に睨みつけられ、警告が自身に発せられたものだと察して縮み上がった。
「これまで諸国との関係を重視して、アウロス教を国教にしてきた。だがアウロス教は、人々を苦しめる邪教だ。ゆえに我が国は、土着信仰の神聖竜神教を国教とする」
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