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君に会いたくて
甘味
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息をしなくては。空気を吸う、いつも無意識に出来ている事が今は難しい。
「答えは。」
アオイは右手を胸に当て真っ直ぐキシを見つめる。こんなときアオイは人の視線や表情などがよく目に入る。そして大概、口から出るより答えが何となく分かる。
「心…だって言いたいのかい?」
「はい。」
キシのシワのある頬が緩んだ。
「バァカだね。正真正銘のバカだよあんたは。」
シワのある口をすぼめて、煙管を突き立てる。口から出てくる言葉はどれもアオイを否定するものばかりだったが、その表情は嬉しそうである。
「だが気に入った。正解にしてやるんよ。」
抜けた腰が中々戻らない。尻餅をついているアオイに手を差し伸べるのは赤茶色の髪が特徴的なシェリー。大丈夫?と頭を右に傾げながらこちらを見下ろしている。
「大丈夫です。」
差し伸べられた手に捕まろうと手を伸ばすと凄い力で引っ張り、立たされた。女性とは思えないほどの膂力だ。ついアオイは、うおっ。と変な声が出て少し恥ずかしかった。恥辱を隠すそうと慌てて尻についたであろう埃を払った。
「ガキンチョ、私がもう一つ大嫌いなものを教えてやるよ。」
そう言って煙管を一つ吸うと口をすぼめて言った。「中身を見ない事。人間、外側の薄っぺらい所より内側の身の方よ。さっきあんたも言ったな。外見で判断すんなってよ。正しく!その通りよ。」
キシは嬉しそうにヤニで黄ばんだ歯を見せてにこやかに笑う。
「だが、そいつの中身を見るのは簡単ではないんよ。そこでガキンチョ、あんたに一つ頼みたい事がある。」
………
……
…
間が続く。頼み事は?と疑問に思うがここで口を挟むにはアオイの勇気が足りなかった。けれども結果として良かったのだろう。数秒後その間はキシの怒号で幕を閉じた。
「あんたの仕事だろよ、ガキンチョ。」
キシはクラゲの方を見て睨みつける。中々に怖い。
「ゴメンナサイ、バァチャン。デモ私モウ子供ジャナイヨ。」
言い訳が気に入らなかったのかキシは煙管の先でクラゲの柔らかな頬をグリグリと押す。
「私にとっちゃあんたもガキンチョなんだよ。さっさと仕事しな!!」
「ハ、ハイィ!」
踵を返して後ろの部屋へ何かを急いで取りに行った。何かが崩れる激しい音とクラゲの訛りのある悲鳴が聞こえてくる。
「オ、オ待タセシマシタヨ~。」
クラゲがそう言って持って来たのは一枚の手の平サイズの絵…にしては鮮明過ぎる。人の手でこんな物が描けるだろうか?という疑問。例え描けたとしても一体どれだけの時間を有すれば出来るのか。
「これは写真と言ってね。絵ではないんよ。まぁそれはいいとして、問題はこれなんよ。」
その写真には窓から飛び降りようとしている一人の人物が写っていた。その人物は暗がりに溶け込む為か黒い服を全身に纏っている。首には赤いチョーカー、フードを被っており顔は見えず口元だけが時々見える。
写真を撮った者が言うには身長は160後半で細身、声色からして男性としか分かっておらず、袖の内側に刃を隠し持っており素早い身のこなしで敵を切り刻み、至る所で盗みを繰り返していると言う。
男の特徴として夜にしか行動せず、首元のチョーカーが暗がりで赤く光り帯を成す事から紅い夜と呼ばれているんだとか。
「ガキンチョ、あんたにはコイツを引っ捕まえてもらうんよ。あんたがバカじゃないってんなら、この私にわからせて見せな。」
アオイに煙管を突きつけて口にくわえる。そして吐く。
「期限は三日、三日以内にそいつを捕まえるんだよ。分かったかい?そんならさっさと行くんだよ!」
その言葉を合図にクラゲは写真を渡し、忠実に機械的にアオイだけを速やかに外に追い出した。
「ソレジャ、ガンバッテクダサイネ。」
アオイは手を振られながら街の中心に戻っていった。
「キシさん、アオイはどうだった?」
ニヤニヤした顔を向けてカヅキは問いかける。
「馬鹿だよ、あのガキンチョは。あんたと同じ人種。」
煙管をくわえ煙を天井に吹きかける。
「冒険馬鹿ってやつよ。」
その言葉を聞いてまた笑う。嬉しそうに。面白そうに。
手がかりは一枚の写真。と言っても顔は見えず期間も三日という短期。そこらに居る一般人に手当たり次第に話を聞いても曖昧な返しや嘘、噂など。どれも信憑性はなく決定的ではない。どうしたものかとアオイは頭を抱えていた。
「どうしよう。もう夕方だよ。これだけ聞いてもまともな話が一つもないなんてさ。」
浜辺に座り込み愚痴を垂れる。他にもっとやらなくてはならない事がある気がするのだが何も思い浮かばない。
「考え方を変えましょう。写真の人物を探すのではなくて情報が集まる所を探しましょう。」
耳元から聞こえるのはニナ。腰の微量に赤く光る短剣の声が耳の通信機に届けられる。
「そう…だね。何かしら行動しないと時間は限られてるんだし。」
そう言い聞かせて立ち上がると、どこからかあわてふためく声が聞こえる。声と表現したがそれは違った。鳴き声だ。鳥の鳴き声。よく見ると岩と岩の間、旧暦の忌み子の漁業網に足を絡めとられている小鳥がいた。
《旧暦の忌み子、旧暦の愛し子》
旧暦、現在より前の時代、人々が今よりも発展して優雅に暮らしていた時に生まれた産物。忌み子か愛し子かを判断するのは曖昧で大差はない。結局の所は人に害があるか無いかによる所が大きい。
取ってやろうと近づくと同じように小鳥の声に気付いた人が居たようだ。その人は黒紫の髪をした女だった。
「たく気を付けろ、鈍臭い奴だなお前。」
不器用な女は網を外すのに苦戦しているようで、頭を悩ませていた。
「動くなよ。外せないだろ。」
そう言っても鳥に人の言葉が通じる訳もなくそんな人が居たらその人はきっと人ではないだろう。
「そんな雑にやったら小鳥が傷付く。貸して。」
横から入って来たアオイに一瞬嫌な顔もしたが、すぐに横にズレてその場を譲った。アオイは器用にゆっくりと小鳥の足から絡まった漁業網を解いてやった。
「お前器用だな。」
解放された小鳥は身体を身震いさせて解き放たれた感覚を存分に味わっている。そうした後二人の頭の上で旋回した後、何処かへ飛んで行った。
「助かったよ、俺不器用でさ。」
俺と称する女は、はにかみ笑い飛んで行った小鳥を見上げる。それから右手を差し出す。それを無言で握り返すアオイを見て口元を少し緩める。
「俺はラベン、さっきは助かったよ。俺がやってたら怪我させてたかもだしさ。」
「アオイといいます。」
普段は普通の子供、かつ人見知りという属性を持ち合わせているアオイは初対面の相手とは本来、あがってしまいお話にもならないのだ。
「それでは、僕やる事あるんで。」
下を向き立ち去ろうとしたとき、右手を強く引っ張られた。
「待てよアオイ。下は向かない方がいいぜ!」
白いパーカーの腹のポケットからアルミの平たい缶を取り出し中身を一つアオイに手渡した。
「それやるよ。」
それは虹色で見方によって色が変化した。口に入れると強烈な甘みが口に広がる。歯で押し潰すと弾力があり顎が疲れる。また噛む度に口が甘くなる。
「美味いだろ。俺、好きなんだ。」
そう言ってラベンも一つ取り出し口に放り込む。そうして一連の動作を終えると口元、歯を上下に動かしながら背を向け右手を振る。左手は腹のポケットに。膝の部分は転んでもしたのか皮の黒いズボンは擦り切れていた。サンダルの砂を踏む音が漣に打ち消されていく。
「待って!下さい。」
「ん?」
「実は聞きたいことがあるんです。」
何となくラベンの背中に寂しさを感じた。何故だろうかと自問する。彼女はあんなにも笑顔だったのに。
「それで聞きたいことってのは。」
アオイは試されている事と写真の事は言わなかった。その方が変に勘ぐられずに済むと思ったからだ。
「ある人を探してるんですけど、情報…話が集まる場所とか知らないですか?」
「話ねぇ、一つ知ってると言えばそうなんだが…」
知っているのなら何故勿体ぶるのか、理由があるのだろうがこっちは一刻も争う。早くしてくれと切に願うが心に押し留めて唾を飲む。
「お願い、します。知ってる事があればなんでも。お礼はしますので。」
物事は平等でなくてはならない。アオイは腰のポーチから巾着袋を取り出してお礼の準備をする。
「マジで!!くれんの!?やった!俺ってばついてる。」
金で事が進むならそれでいい。それが一番手取り早いと安堵していた。
「だが。」
今の今まで眼を丸くして嬉しがっていたのが一気に冷ややかな眼差しに変わる。
「お前が探しているその人はお前にとって大切な人なのか?」
大切。と聞かれればYESかNOで言うと勿論YESなのだが、この場合の大切な人と言うのは少し違う気がするが気にしてはいけない。
「そう。僕にとって大切な人だ。」
これが最善の筈だ。
「そうか。なら安心だ。」
冷たい視線は消える。納得したラベンは快く嘘偽りなく自身が知り得る事を話してくれた。
その場所はこの街の地下にあると言う。複雑に入り組んだ路地、迷わず進むには突き当たりの壁をよく見る事。始まりは大通りにある風の巣という喫茶店とカメっこランドという宿屋の間だという。
「ここがそうなのか。」
日は沈み、喫茶店『風の巣』は閉店している。隣の宿屋『カメっこランド』には人がまだ出入りしている。
「行きましょう。」
耳元でニナの男と女が混じった様な声がする。
「うん。」
一つ返事で一歩踏み出すとそこは真っ暗だった。
「答えは。」
アオイは右手を胸に当て真っ直ぐキシを見つめる。こんなときアオイは人の視線や表情などがよく目に入る。そして大概、口から出るより答えが何となく分かる。
「心…だって言いたいのかい?」
「はい。」
キシのシワのある頬が緩んだ。
「バァカだね。正真正銘のバカだよあんたは。」
シワのある口をすぼめて、煙管を突き立てる。口から出てくる言葉はどれもアオイを否定するものばかりだったが、その表情は嬉しそうである。
「だが気に入った。正解にしてやるんよ。」
抜けた腰が中々戻らない。尻餅をついているアオイに手を差し伸べるのは赤茶色の髪が特徴的なシェリー。大丈夫?と頭を右に傾げながらこちらを見下ろしている。
「大丈夫です。」
差し伸べられた手に捕まろうと手を伸ばすと凄い力で引っ張り、立たされた。女性とは思えないほどの膂力だ。ついアオイは、うおっ。と変な声が出て少し恥ずかしかった。恥辱を隠すそうと慌てて尻についたであろう埃を払った。
「ガキンチョ、私がもう一つ大嫌いなものを教えてやるよ。」
そう言って煙管を一つ吸うと口をすぼめて言った。「中身を見ない事。人間、外側の薄っぺらい所より内側の身の方よ。さっきあんたも言ったな。外見で判断すんなってよ。正しく!その通りよ。」
キシは嬉しそうにヤニで黄ばんだ歯を見せてにこやかに笑う。
「だが、そいつの中身を見るのは簡単ではないんよ。そこでガキンチョ、あんたに一つ頼みたい事がある。」
………
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間が続く。頼み事は?と疑問に思うがここで口を挟むにはアオイの勇気が足りなかった。けれども結果として良かったのだろう。数秒後その間はキシの怒号で幕を閉じた。
「あんたの仕事だろよ、ガキンチョ。」
キシはクラゲの方を見て睨みつける。中々に怖い。
「ゴメンナサイ、バァチャン。デモ私モウ子供ジャナイヨ。」
言い訳が気に入らなかったのかキシは煙管の先でクラゲの柔らかな頬をグリグリと押す。
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「ハ、ハイィ!」
踵を返して後ろの部屋へ何かを急いで取りに行った。何かが崩れる激しい音とクラゲの訛りのある悲鳴が聞こえてくる。
「オ、オ待タセシマシタヨ~。」
クラゲがそう言って持って来たのは一枚の手の平サイズの絵…にしては鮮明過ぎる。人の手でこんな物が描けるだろうか?という疑問。例え描けたとしても一体どれだけの時間を有すれば出来るのか。
「これは写真と言ってね。絵ではないんよ。まぁそれはいいとして、問題はこれなんよ。」
その写真には窓から飛び降りようとしている一人の人物が写っていた。その人物は暗がりに溶け込む為か黒い服を全身に纏っている。首には赤いチョーカー、フードを被っており顔は見えず口元だけが時々見える。
写真を撮った者が言うには身長は160後半で細身、声色からして男性としか分かっておらず、袖の内側に刃を隠し持っており素早い身のこなしで敵を切り刻み、至る所で盗みを繰り返していると言う。
男の特徴として夜にしか行動せず、首元のチョーカーが暗がりで赤く光り帯を成す事から紅い夜と呼ばれているんだとか。
「ガキンチョ、あんたにはコイツを引っ捕まえてもらうんよ。あんたがバカじゃないってんなら、この私にわからせて見せな。」
アオイに煙管を突きつけて口にくわえる。そして吐く。
「期限は三日、三日以内にそいつを捕まえるんだよ。分かったかい?そんならさっさと行くんだよ!」
その言葉を合図にクラゲは写真を渡し、忠実に機械的にアオイだけを速やかに外に追い出した。
「ソレジャ、ガンバッテクダサイネ。」
アオイは手を振られながら街の中心に戻っていった。
「キシさん、アオイはどうだった?」
ニヤニヤした顔を向けてカヅキは問いかける。
「馬鹿だよ、あのガキンチョは。あんたと同じ人種。」
煙管をくわえ煙を天井に吹きかける。
「冒険馬鹿ってやつよ。」
その言葉を聞いてまた笑う。嬉しそうに。面白そうに。
手がかりは一枚の写真。と言っても顔は見えず期間も三日という短期。そこらに居る一般人に手当たり次第に話を聞いても曖昧な返しや嘘、噂など。どれも信憑性はなく決定的ではない。どうしたものかとアオイは頭を抱えていた。
「どうしよう。もう夕方だよ。これだけ聞いてもまともな話が一つもないなんてさ。」
浜辺に座り込み愚痴を垂れる。他にもっとやらなくてはならない事がある気がするのだが何も思い浮かばない。
「考え方を変えましょう。写真の人物を探すのではなくて情報が集まる所を探しましょう。」
耳元から聞こえるのはニナ。腰の微量に赤く光る短剣の声が耳の通信機に届けられる。
「そう…だね。何かしら行動しないと時間は限られてるんだし。」
そう言い聞かせて立ち上がると、どこからかあわてふためく声が聞こえる。声と表現したがそれは違った。鳴き声だ。鳥の鳴き声。よく見ると岩と岩の間、旧暦の忌み子の漁業網に足を絡めとられている小鳥がいた。
《旧暦の忌み子、旧暦の愛し子》
旧暦、現在より前の時代、人々が今よりも発展して優雅に暮らしていた時に生まれた産物。忌み子か愛し子かを判断するのは曖昧で大差はない。結局の所は人に害があるか無いかによる所が大きい。
取ってやろうと近づくと同じように小鳥の声に気付いた人が居たようだ。その人は黒紫の髪をした女だった。
「たく気を付けろ、鈍臭い奴だなお前。」
不器用な女は網を外すのに苦戦しているようで、頭を悩ませていた。
「動くなよ。外せないだろ。」
そう言っても鳥に人の言葉が通じる訳もなくそんな人が居たらその人はきっと人ではないだろう。
「そんな雑にやったら小鳥が傷付く。貸して。」
横から入って来たアオイに一瞬嫌な顔もしたが、すぐに横にズレてその場を譲った。アオイは器用にゆっくりと小鳥の足から絡まった漁業網を解いてやった。
「お前器用だな。」
解放された小鳥は身体を身震いさせて解き放たれた感覚を存分に味わっている。そうした後二人の頭の上で旋回した後、何処かへ飛んで行った。
「助かったよ、俺不器用でさ。」
俺と称する女は、はにかみ笑い飛んで行った小鳥を見上げる。それから右手を差し出す。それを無言で握り返すアオイを見て口元を少し緩める。
「俺はラベン、さっきは助かったよ。俺がやってたら怪我させてたかもだしさ。」
「アオイといいます。」
普段は普通の子供、かつ人見知りという属性を持ち合わせているアオイは初対面の相手とは本来、あがってしまいお話にもならないのだ。
「それでは、僕やる事あるんで。」
下を向き立ち去ろうとしたとき、右手を強く引っ張られた。
「待てよアオイ。下は向かない方がいいぜ!」
白いパーカーの腹のポケットからアルミの平たい缶を取り出し中身を一つアオイに手渡した。
「それやるよ。」
それは虹色で見方によって色が変化した。口に入れると強烈な甘みが口に広がる。歯で押し潰すと弾力があり顎が疲れる。また噛む度に口が甘くなる。
「美味いだろ。俺、好きなんだ。」
そう言ってラベンも一つ取り出し口に放り込む。そうして一連の動作を終えると口元、歯を上下に動かしながら背を向け右手を振る。左手は腹のポケットに。膝の部分は転んでもしたのか皮の黒いズボンは擦り切れていた。サンダルの砂を踏む音が漣に打ち消されていく。
「待って!下さい。」
「ん?」
「実は聞きたいことがあるんです。」
何となくラベンの背中に寂しさを感じた。何故だろうかと自問する。彼女はあんなにも笑顔だったのに。
「それで聞きたいことってのは。」
アオイは試されている事と写真の事は言わなかった。その方が変に勘ぐられずに済むと思ったからだ。
「ある人を探してるんですけど、情報…話が集まる場所とか知らないですか?」
「話ねぇ、一つ知ってると言えばそうなんだが…」
知っているのなら何故勿体ぶるのか、理由があるのだろうがこっちは一刻も争う。早くしてくれと切に願うが心に押し留めて唾を飲む。
「お願い、します。知ってる事があればなんでも。お礼はしますので。」
物事は平等でなくてはならない。アオイは腰のポーチから巾着袋を取り出してお礼の準備をする。
「マジで!!くれんの!?やった!俺ってばついてる。」
金で事が進むならそれでいい。それが一番手取り早いと安堵していた。
「だが。」
今の今まで眼を丸くして嬉しがっていたのが一気に冷ややかな眼差しに変わる。
「お前が探しているその人はお前にとって大切な人なのか?」
大切。と聞かれればYESかNOで言うと勿論YESなのだが、この場合の大切な人と言うのは少し違う気がするが気にしてはいけない。
「そう。僕にとって大切な人だ。」
これが最善の筈だ。
「そうか。なら安心だ。」
冷たい視線は消える。納得したラベンは快く嘘偽りなく自身が知り得る事を話してくれた。
その場所はこの街の地下にあると言う。複雑に入り組んだ路地、迷わず進むには突き当たりの壁をよく見る事。始まりは大通りにある風の巣という喫茶店とカメっこランドという宿屋の間だという。
「ここがそうなのか。」
日は沈み、喫茶店『風の巣』は閉店している。隣の宿屋『カメっこランド』には人がまだ出入りしている。
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