八重

RADIO

文字の大きさ
7 / 8

成功方

しおりを挟む
『逆に変に隠れて逃げるより成功方で行った方が良いかもしれん』


大家の老夫婦に俺は夜に戸を叩く。

『夜分遅くに申し訳無い・・大学で・・こんなご時世だから・・要らない服や要らない物を集めて戦災孤児にって・・訳なんだけど・・お爺さん家にもう捨てても良い服なんかないか?』

大家の老夫婦は古い箪笥からボロの着物を数枚俺に渡してくた。


午前4時に八重にボロの着物と雪袴を履かせた、そして八重の腹に何重も布を巻かせていた。

その俺とても膝に穴の空いた国民服を身に纏って居る。

僕たちは朝5時に下宿を出た。

国民帽に穴の空いた国民服。

八重は汚れた着物に雪袴を纏い腹には何重にもボロ布を巻いて居る。

俺たちは遠くに買い出しに出かける若夫婦・・それも身重の夫婦姿になっていた。


途中で八百屋の重い自転車を拝借した。
八重を後ろに乗せて・・ゆっくりと品川を目指して自転車を漕いだ。

ここ根津から品川までは誰が見ても身重の夫婦姿であった。

「お兄ちゃん・・故郷に帰るには上野からじゃないの?」

『イヤそれはダメだ八重が故郷を組に話して居る以上は上野方面には既に見張りが何人もいるだろう・・
 このまま品川を抜けて川崎から横浜に抜ける・・そして出来るだけ西に行く!』

身重を装った八重は俺を見つめて居る。

なんとしても八重を自由にしなければならないと俺はそれだけだった。

わざとゆっくりと四日も掛けて何とか横浜を出た!

夜は橋の下に寝て、泣けなしの金で八重に腹拵えをしていた。

自転車での逃避行だった。

主要駅には絶対近寄らない事と決めていた。

八重もそれらしい奴らを見ては俺の腕を引っ張っていた。

俺と八重はゆっくりと焦らずに行った、途中でバスに乗っても終点の手前で降りるくらいに警戒して居た。

真鶴に着いた時には精も根も尽き果てていた。

空腹さえも忘れているくらいだった。

二人の身体はもうどうにもならないくらいになって居る。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あなたの片想いを聞いてしまった夜

柴田はつみ
恋愛
「『好きな人がいる』——その一言で、私の世界は音を失った。」 公爵令嬢リリアーヌの初恋は、隣家の若き公爵アレクシスだった。 政務や領地行事で顔を合わせるたび、言葉少なな彼の沈黙さえ、彼女には優しさに聞こえた。——毎日会える。それだけで十分幸せだと信じていた。 しかしある日、回廊の陰で聞いてしまう。 「好きな人がいる。……片想いなんだ」 名前は出ない。だから、リリアーヌの胸は残酷に結論を作る。自分ではないのだ、と。

親同士の決め事でしょう?

泉花ゆき
恋愛
伯爵令嬢であるリリアーナは学園で知り合った侯爵令息のアルフレッドから婚約を申し込まれる。 リリアーナは婚約を喜んで受け、家族からも祝福された。 長期休みの日、彼の招待で侯爵家へ向かう。 するとそこには家族ぐるみで仲良くしているらしいカレンという女がいた。 「あなたがアルの婚約者?へえー、こんな子が好みだったんだあ」 「いや……これは親同士が決めたことで……」 (……ん?あなたからプロポーズされてここへ来たんだけど……) アルフレッドの、自称一番仲のいい友達であるカレンを前にして、だんだんと疑問が溜まってきたころ。 誰よりもこの婚約を不服に思うリリアーナの弟が、公爵令息を連れて姉へと紹介しにくる。

わたしたちの庭

犬飼ハルノ
恋愛
「おい、ウェスト伯。いくらなんでもこんなみすぼらしい子どもに金を払えと?」 「まあまあ、ブルーノ伯爵。この子の母親もこんな感じでしたが、年ごろになると見違えるように成熟しましたよ。後妻のアリスは元妻の従妹です。あの一族の女は容姿も良いし、ぽんぽんと子どもを産みますよ」 「ふうん。そうか」 「直系の跡継ぎをお望みでしょう」 「まあな」 「しかも伯爵以上の正妻の子で年ごろの娘に婚約者がいないのは、この国ではこの子くらいしかもう残っていませんよ」 「ふ……。口が上手いなウェスト伯。なら、買い取ってやろうか、その子を」  目の前で醜悪な会話が繰り広げられる中、フィリスは思った。  まるで山羊の売買のようだと。  かくして。  フィリスの嫁ぎ先が決まった。 ------------------------------------------  安定の見切り発車ですが、二月中に一日一回更新と完結に挑みます。  ヒロインのフィリスが自らの力と人々に支えられて幸せをつかむ話ですが、  序盤は暗く重い展開です。  タグを途中から追加します。   他サイトでも公開中。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

私は貴方を許さない

白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。 前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

処理中です...